（人生を諦めた男は逮捕されたことに完結感を得る）私の右腕を 摑 んでおろし、手錠をかけた。何故か、こうなることをひそかにのぞんでいたような、小さな完結感があった。

細い麻繩で胴を縛られ、それはマントで隠すことを許されましたが、その麻繩の端を若いお巡りが、しっかり握っていて

（捜査に行き詰る）道はそこで途切れ、その先は深い森になっている。

前手錠に 腰紐 をくくられた猿回しの猿のような格好で、

繩目の恥辱

トラブルは雨のように空から降ってきた

（車がスピンする）雪子はブレーキを踏み込んだ。ハンドルを回す。車が、それに従い、回転する。 　どうにか停めようと必死だった。衝突した様子はない。早く停車させないと、とそればかりが気になった。 　遠心力に引っ張られるように車は回転していた。壁や電柱がすぐ脇に見えたが、ぶつかりはしないと高をくくっていた。 　スピンが永久につづくような気がした。

香炉にハシシを投げ込む。紫色の煙が上がりそれを吸う。

電車に轢かれて死んだ。《…略…》死体は何千という肉片となってあたりの野原に飛び散り

千年杉は、幹の左半分を乗りあげる形で大岩に激突し、弾かれた。前脚を上げた暴れ馬みたいに、ほぼ垂直に大きく跳ねあがる。