一面若葉をつけた矮樹林（わいじゅりん）の間を、汽車は走った。それらは、緑の波のように、列車の左右で泡立ち戦いだ。

ざっざっざっと巨大なホースで水を撒いているような音を立てて、雨が頭の上のトタン屋根の上を走っていく音が聞こえる

森のなかは、青い氷のように空気が流れていて、気持ちよかった

この辺一体に藻（も）や蘆の古根が多く、密林の感じである。

すごく遠くまで続く、陽も通しはしないうっそうとした森

空一面の吹雪は、風の工合で、白い大きな旗がなびくように見えた。

ガラス窓の外で、雪が唸り始めた。

雪の乱舞

氷雪まじりの強風に打ちのめされる

霜に犯されかかった鬢（びん）のあたり

街を見回す。白、灰色、黄緑色、黄土色、と私は学校で使う絵の具に書かれた色の名前を思い出しながら呟く。この街のほとんどは、この四つの色で塗り潰されている。 　この街のイメージカラーは白なんだよ、と、引っ越してきたばかりのころ、父が教えてくれた。清潔で、ニュータウンという新品の街のイメージにぴったりだからだろうか。確かに、駅も、駅前の広場も、学校も、全部真っ白だった。 　街の奥にある森の深い緑や凄みのある黒ずんだ土などは、どんどん街に塗り潰され、淡い四色に飲み込まれていく。

雨気をふくんだ叩きつけるような重たい風が崖の上から吹きおろしていた。

頭に火山礫の色を戴（いただ）い厳めしい姿で、富士が窓一面にかぶさって来る

町全体がどこか眠ってでもいるかのような、瀬戸内海に面したある小都市

黒いこんもりとした雑木林

吹雪は本物になり、うつ向いて歩くと、機械がただ動いているだけで、感情も何もない歩行であった。

（冷凍庫に冷やしていたウォッカの）壜 についた霜が、握りしめた手のかたち通りに水になって垂れた。

雪笹山の背に薄墨をながしたように雨雲が走ったと思うと、パラパラと檐（のき）をたたく霰の音がきこえはじめた。

白魔に襲われる

来た方がまるで灰いろで穴のやうにくらく見えたのです。