朝日を受けて銀を流したように光る海

Ｋ君はまた、朝海の真向（まっこう）から昇る太陽の光で作ったのだという、等身のシルウェットを幾枚か持っていました。

波が上げる飛沫（しぶき）は曇った朝景色の中の鮮やかな白

朝の海だけが 綺麗 でした。海は幾つかの小さな島をその沖あいに点在させて、うす陽をうけて針のように光り、浜を嚙む波が白く泡だっていました。

逆光線の船は完全に影絵

闇にほのかに光る水面

雨脚にたたかれて海の上一面が菊石になる

30 分ばかりそこに横になって、少しだけうとうとと眠ったが、そのあいだビーチをおとずれる人間はひとりもいなかった。そのうちにぼくは不思議なくらいしんとした気持ちになってきた。その浜辺はひとりぼっちで訪れるにはあまりにも静かであり、あまりにも美しすぎた。そこにはある種の死に方を想い起こさせるものがあった。

ときおり風がなぎ渡り、川面に光の 襞ひだ を走らせた。

（川は）小さな 渦 をいくつも作っていた。渦は流水の 気紛きまぐれに従って形を変え、消えては現われ、渦巻きながら流れて行き、また引き戻されるように、 溯行そこう して来た。