何かにじむような熱い気持ちが、じんわりと 湧いてくるのがわかった。それはふたりの間に蒸気のように漂う気配だった。

夢にみるほど恋いこがれて

（欲情）たとえば狭い 廊下 で 偶然 出会頭 に滝人名と 衝突 しかけることがある。そして両方でちょっとまごついて危うく身をかわし、ようやくすり抜けて行き過ぎるような場合がある。そういう時彼は胸でドキドキと血の動くのを感ずることがあった。それは不思議な 悩ましい快感であった。それが彼の胸を通り抜けて行く時、彼は興奮に似た何ものかで自分の顔の 紅くなるのを感じた。

なにを見ても、なにを読んでもひとりの女に結びついてしまう

めくるめく恋の炎に身を焦がす

（服を脱がされる）するりと尻が剥き出しにされる。上半身もたくし上げられて、腕の付け根と首に拘束衣のようにパジャマの上着が絡む。《…略…》脚の下半分と首から上に絡みつくパジャマを、陣治は取り去ろうともしない。惨めなトルソーだ。

（初恋の人への想いが、）長いあいだずっと変わることなく僕の意識の中心にいた。僕という存在にとってのひとつの大事なおもしの役割を果たしていた。

唇に唇を重ねる。

僕はもう一度唇を重ねに行った。今度は自然と舌を絡ませていた。彼女の歯並びを確認し、舌の動きを追っているうちに、もう何がなんだかわからなくなってくる。ただ気持ち良いという感覚だけが今の僕だった。

かりそめの情事とも呼べないような結びつきで、事故のように妊娠する