一面茶の木が鶯餅 を並べたように萌黄 の新芽で装われ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。
岡本かの子 / 東海道五十三次 ページ位置:16% 作品を確認(青空文庫)
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春
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前後の文章を含んだ引用
......くらも経たない時分と記憶する。 静岡辺は暖かいからというので私は薄着の綿入れで写生帳とコートは手に持っていた。そこら辺りにやしおの花が鮮 に咲き、丸味のある丘には一面茶の木が鶯餅 を並べたように萌黄 の新芽で装われ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。 私たちは奥座敷といっても奈良漬色の畳にがたがた障子の嵌 っている部屋で永い間とろろ汁が出来るのを待たされた。少し細目に開けた障子の隙間から畑を越して平凡な裏山が......
単語の意味
萌黄・萌葱・萌木(もえぎ)
仄々・仄仄(ほのぼの)
偽装・擬装(ぎそう)
萌黄・萌葱・萌木・・・芽吹いたばかりの草木、春に萌え出る草の芽の色。やや黄色みがかった緑色。
仄々・仄仄・・・わずかな暖かみや明るさを感じ、好ましい印象を受けるさま。ほんのり暖かい。ほんのり心暖まる。ほのかに明るい。うすうす。「仄」は訓読みで「ほの(か)」と読め、「わずかに感じられるさま」をあらわす字。同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
偽装・擬装・・・1.偽(いつ)り装(よそ)うこと。ある事実をおおい隠すための、装いや行動。他人の目をごまかすため、他の物事や状況を装うこと。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
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春の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
山に遅い春が来て、裸の木々が一斉に芽吹くとき。その寸前に、枝の先がぽやぽやと薄明るく見えるひとときがある。ほんのりと赤みを帯びたたくさんの枝々のせいで、山全体が発光しているかのような光景を僕は毎年のように見てきた。山が燃える幻の炎を目にし、圧倒されて立ちすくみながら、何もできない。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
ちかちか輝く薄緑のレースで飾られる美しい春の森
松谷みよ子 / オバケちゃん amazon
豊かな樹々の香りと野鳥のさえずりを風が運んだ
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
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柳の枝に遊ぶうぐいすが、金粉を散らしたように愛らしい
白洲 正子 / 能の物語 amazon
神去桜は、年月を経て苔むした幹をうねらせ、山頂の空いっぱいに枝を広げていた。 大木を取り巻くように、村人が弁当を広げている。花の天井の下で、各人が持ち寄ったおかずを自由につつき、酒を酌み交わす。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
豊かな樹々の香りと野鳥のさえずりを風が運んだ
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
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