自分ひとりの懊悩 は胸の中の小箱に秘め、その憂鬱、ナアヴァスネスを、ひたかくしに隠して、ひたすら無邪気の楽天性を装い
太宰治 / 人間失格 ページ位置:8% 作品を確認(青空文庫)
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自分の気持ちをごまかす
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前後の文章を含んだ引用
......も知れないと思えば、ほとんど自分に絶望を感じるのでした。 人間に対して、いつも恐怖に震いおののき、また、人間としての自分の言動に、みじんも自信を持てず、そうして自分ひとりの懊悩 は胸の中の小箱に秘め、その憂鬱、ナアヴァスネスを、ひたかくしに隠して、ひたすら無邪気の楽天性を装い、自分はお道化たお変人として、次第に完成されて行きました。 何でもいいから、笑わせておればいいのだ、そうすると、人間たちは、自分が彼等の所謂「生活」の外にいて......
単語の意味
憂鬱(ゆううつ)
懊悩(おうのう)
無邪気(むじゃき)
胸(むね)
偽装・擬装(ぎそう)
装い(よそおい)
憂鬱・・・気分が落ち込んだ状態。重苦しい気分。メランコリー。
懊悩・・・悩み苦しむこと。思い悩むこと。煩悶。
無邪気・・・素直で悪気がなくかわいらしいさま。偽りやたくらみがなく心が綺麗なさま。
偽装・擬装・・・1.偽(いつ)り装(よそ)うこと。ある事実をおおい隠すための、装いや行動。他人の目をごまかすため、他の物事や状況を装うこと。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
装い・・・1.身なりや外観を整えること。美しく飾ること。目的や雰囲気に応じた飾り付け、身なり、設備などのこと。また、その姿。装飾。装束。よそい。
2.目にしたようす。趣き(おもむき)。風情(ふぜい)。
3.仕度をすること。準備をすること。
2.目にしたようす。趣き(おもむき)。風情(ふぜい)。
3.仕度をすること。準備をすること。
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愛子は、てのひらに残る麦茶の冷たさを感じることで、必死に戸惑いを隠そうとした。
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山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
いつの間にか、憂鬱な放課後を過ごしたこともすっかり忘れていた。女の子たちのねばねばの糸が、伊吹の体温で洗い流された感じがした。
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