ただ怖いのは、柳の枝が 陽 にさらされては次の瞬間大風に揺れるように、桜が咲いては散るように、時がたっていくこと。 西日のさしこむこの部屋に、寝転んでビデオを見ている彼の背に、この空気に別れを告げて夜がやってくること。ただそれだけのことがいちばんかなしい。
吉本 ばなな / 血と水「とかげ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:96% 作品を確認(amazon)
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失恋・恋人と別れる
時間の経過
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前後の文章を含んだ引用
......さと、昭のしなやかな固さが、陰陽のひとつのうずになって続いてゆく様を見ていよう。 彼がお守りを作れなくなっても、私には水商売でも何でもあるし、貧乏も怖くない。 ただ怖いのは、柳の枝が陽にさらされては次の瞬間大風に揺れるように、桜が咲いては散るように、時がたっていくこと。 西日のさしこむこの部屋に、寝転んでビデオを見ている彼の背に、この空気に別れを告げて夜がやってくること。ただそれだけのことがいちばんかなしい。「晩は長寿庵のそばにしようよ。」 と昭が言った。「いいわよ。」 と私は答え、生きているかぎり続くそのかなしみをひととき忘れて、それが決してなくならないということ......
単語の意味
大風(おおふう)
西日(にしび)
背(せ)
大風・・・1.横柄。態度がえらそう。無礼でいばっている感じ。
2.心が広くて、小さいことを気にしないさま。
2.心が広くて、小さいことを気にしないさま。
西日・・・西に傾いた太陽の光。とくに、真夏の変わらず衰えない夕方の日差しについていう。
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失恋・恋人と別れるの表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
雨晴れて簑(みの)を脱ぎ、水尽きて舟を棄つるような気分で女に別れて
幸田 露伴 / 連環記 amazon
(恋人と付き合い始めたが期待外れにときめかない)邦彦との関係に対して、浮き立つものを感じられなくなっていた。 期待に胸を膨らませて観に行った映画が、タイトルが映し出された時こそ感動が押し寄せてきたものの、上映時間が進むにつれ、「あれ?」と退屈を覚えずにいられなくなり、「いや、これから面白くなるはずだ」「だって、いい監督だもの」と自分に言い聞かせ、挽回を期待し、けれどそれでも気に入らない点ばかりが増していくような感覚だ。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
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澱みに広がる水の輪のように、緩慢で怠惰な時間が過ぎる
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
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ほんの一分の間にしても、時の歩みと云うものが驚くほど遅々として、無限に長く感ぜられる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
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二人とも汗にまみれ、その汗を身体にぬりたくるように抱き合ってみたりした。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
うせ人のものだと思うとその小さな手も、細い首もやたら白く見えたものだ。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
(遠距離恋愛)「もう私になんか電話しないで。私、長距離電話料金に値するような人間じゃないのよ」
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
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