(養分を根から吸い上げる木の根)根は貪婪 な蛸 のように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のような毛根を聚 めて、その液体を吸っている。
梶井基次郎 / 桜の樹の下には ページ位置:42% 作品を確認(青空文庫)
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根・根っこ
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前後の文章を含んだ引用
......う。 馬のような屍体、犬猫のような屍体、そして人間のような屍体、屍体はみな腐爛 して蛆 が湧き、堪 らなく臭い。それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている。桜の根は貪婪 な蛸 のように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のような毛根を聚 めて、その液体を吸っている。 何があんな花弁を作り、何があんな蕊 を作っているのか、俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるよ......
単語の意味
貪婪(どんらん・たんらん)
毛根(もうこん)
蛸・章魚(たこ)
貪婪・・・非常に欲深いこと。また、そのさま。貪欲。
毛根・・・生えている毛の、皮膚より内側にある部分。地肌の中にある、髪の元となる組織のこと。根元部分のふくらんだ所が栄養を受けとり、細胞分裂が行われて毛が伸びる。
蛸・章魚・・・1.タコ目(八腕類)、海にすむ8本足の軟体動物。とくに真蛸(まだこ)を指す。胴のように見える頭から、吸盤をもつ脚が直接生える。烏賊(いか)にある触腕は持たない。敵に襲われると煙幕のように拡がる墨を吐いて逃げる。イギリスでは「悪魔の魚」と呼ばれて避けられていた。食用。
2.(「蛸」の表記のみ)蛸胴突(たこどうつき)の略。土を固め、またくいを打ち込むのに使う道具。
3.(「蛸」の表記のみ)蛸配当(たこはいとう)の略。
2.(「蛸」の表記のみ)蛸胴突(たこどうつき)の略。土を固め、またくいを打ち込むのに使う道具。
3.(「蛸」の表記のみ)蛸配当(たこはいとう)の略。
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櫟の根が、病菌に犯されたのであろう、大きな瘤のように膨れているのを発見した。
上林 暁 / 野「上林暁全集〈第3巻〉小説(3)」に収録 amazon
根が、老いた蛇の肌のように灰白色に乾いてささくれだって、しぶとくうねっている
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青い毛のような草の根
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(木の根が養分を吸う)毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆく
梶井基次郎 / 桜の樹の下には
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