なにをどうしたら、なんの手がかりもない太い幹を登れるのかわからない。俺はとりあえず、幹に腕をまわし、左足から生えた刃を樹皮に引っかけようとした。チェーンソーと、足につけた昇柱器が重くて、思うようにならない。ようやく少し体が持ちあがる。横綱の胸を借りる幕下力士みたいな、情けない恰好だ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 ページ位置:12% 作品を確認(amazon)
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木登り
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前後の文章を含んだ引用
......であるだけだ。「どうした、はよせんか」 ヨキは幹の真ん中あたりに蟬のようにへばりついたまま、まだ地面に立ってもじもじしていた俺を見下ろした。 早くと言われても、なにをどうしたら、なんの手がかりもない太い幹を登れるのかわからない。俺はとりあえず、幹に腕をまわし、左足から生えた刃を樹皮に引っかけようとした。チェーンソーと、足につけた昇柱器が重くて、思うようにならない。ようやく少し体が持ちあがる。横綱の胸を借りる幕下力士みたいな、情けない恰好だ。 と、次の瞬間、昇柱器の刃がすべり、俺は顎を幹にこすりつけながら地上に逆戻りした。「なにをやっとるねぃな」 ヨキがため息をついた。するすると木を下りてロープをは......
単語の意味
体(からだ)
胸(むね)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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木登りの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
腰を支点にすると腕の力はそんなにいらない。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
河川敷を十キロ走って、わたしの心臓はバクバクと悲鳴をあげた。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
胸のなかで何かが崩壊するような動きがおきて、それがそのまま目から涙になって溢れ出る。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(涙で)海面の中にいるように風景が滲んで見える
高橋 三千綱 / 涙 amazon
城戸は、ただ表情でだけ、曖昧に反応した。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
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