TOP > 人物表現 > 男性・女性 > 夫婦


カテゴリ検索 単語の意味
形だけは、夫婦でありながら、かたき以上に、のろいあっているこの男女ふたり
吉川英治 / 野槌の百 ページ位置:12% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
夫婦
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......さんの事を、忘れないで、いるせいでしょうよ」 「いったな」 「いいましたとも」 「どれ……」  と笛ぶくろを、帯にはさんで、三五兵衛は先にあるき出した。  どうあろうと、形だけは、夫婦でありながら、かたき以上に、のろいあっているこの男女ふたりが、とぼとぼと、二俣尾ふたまたおから青梅宿おうめじゅくをぬけて通ったのは、あくる日だった。  宿しゅくを出て、裏街道をだらだらと下がってくると、もう、海みたいな武蔵野が、ながめられる。峠とは......
ここに意味を表示
夫婦の表現・描写・類語(男性・女性のカテゴリ)の一覧 ランダム5
押すかさわるかの、いささかの力でピチッとかかってしまう錠のように、圭子は夫の良造とは二十年前何の理窟もなく相寄って一個となり
平林 たい子 / 鬼子母神「筑摩現代文学大系 (41) 平林たい子・円地文子集 地底の歌 こういう女 嘲る 盲中国兵 鬼子母神 私は生きる 花散里 ひもじい月日 くろい紫陽花 男のほね 妖 二世の縁 他」に収録 amazon
(入院中の爺さんをお見舞いに来て爺さんに怒鳴られて)老婦人は顔を伏せてちぢこまっているが、別にしょんぼりしている様子でもない。四十年も五十年もこの調子でどなりつけられてきて、何も感じなくなっているのだろう。《…略…》 (婆さんが言う)「すみませんねえ。うるさい、きたない年寄りで……」 テーブルの下の棚から、やっと「突き匙」が出てきたときには、吉田老は怒り過ぎたのか、いささかぐったりとしていた。姿勢をしゃんと正さず、半分起きた状態で果物を口に運ぶために、喉仏から鎖骨のあたりに果汁がぼたぼたこぼれ落ちる。婆さんはそれを見て、またしきりに〝きたない〟〝きたない〟と繰り返すのだった。 最初のうち、おれはこの老夫婦の会話をほほえましく聞いていたのだ。昔ながらの封建的だが駄々っ子のような亭主と忍従型の老妻とのやりとりとして。 誤算だった。 婆さんの顔は、押さえきれない喜びに輝いていた。 婆さんは、いまやじっくりと復讐を楽しんでいるのだった。愚鈍を装って、傲慢な夫の神経に、一本一本細い針を突き立てている。ののしられ、婢(はしため)あつかいされ続けたこの半世紀の間、婆さんはじっとこの日を待ち続けて耐えてきたのだろう。いまや、吉田老に残された武器は、どなり慣れた口だけだ。それも所詮は空砲だ。婆さんはいま、案山子の正体を知ったカラスになって、じわじわと一本足の吉田老に近づいていくのだった。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon関連カテ復讐・仕返し・見返す患者・病人・けが人夫婦
このカテゴリを全部見る
「男性・女性」カテゴリからランダム5
カテゴリ検索 単語の意味
同じカテゴリの表現一覧
男性・女性 の表現の一覧 
人物表現 大カテゴリ
表現の大区分