馬に食わせるほど

タマリスクの花がね、町や野原から赤紫色の煙がいっせいに立ち昇るみたいに咲いていた。まるでこの世に花はタマリスクしかないみたいに――。

中空には生徒の数に劣らない沢山の赤トンボが、まるでなにかの図案のように群れ飛んでいた。

（ポストはどこにでもある）ポストはどこにでもあり、かつ捜そうとするとなかなか会えない。心細い街角に不意にあったり。晴れた日も雨の日も夜中も、世界中に、まるで夜空の月がすべての水に映るようにポストはある。

食べきれないほどの量

じりじりと

蛆（うじ）のように頭数の多い

三角の山盛り

食べきれないほどの量

家宅捜索に乗り込むように、車内を探りはじめた。　ミミズに大量の蟻がどっと纏わりつき、一気に解体するかのような、手際の良さとおぞましさ、問答無用の強い力を感じる。