外を吹く風は冷たく、気温は十二月上旬にしてはずいぶん低かった。暖冬、という下馬評を覆そうと躍起になっているのか、と七尾は思いたくなった。空がうっかり気を許し、締めていた紐の口を弛めれば、雪でも降ってきそうな気配が満ちている。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル ページ位置:95% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
冬
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......くないですけど、何ででしょうね。念のため、一番端の改札を通ってください」と言ってくる。「こういうのは慣れています」七尾は自嘲気味に顔を歪め、切符を受け取った。 外を吹く風は冷たく、気温は十二月上旬にしてはずいぶん低かった。暖冬、という下馬評を覆そうと躍起になっているのか、と七尾は思いたくなった。空がうっかり気を許し、締めていた紐の口を弛めれば、雪でも降ってきそうな気配が満ちている。 漆ヶ原駅近くの、スーパーマーケットにいた。広い店内には食品、日用雑貨から文房具や玩具まで並んでいる。特に買いたいものがあったわけでもなかったが、和菓子を持って......
単語の意味
躍起(やっき)
弛む2(たゆむ)
暖冬(だんとう)
躍起・・・むきになること。必死になること。
弛む2・・・いやになって、心の緊張がゆるむ。努力を怠る。なまける。
暖冬・・・平年よりも暖かい冬。
ここに意味を表示
冬の表現・描写・類語(冬のカテゴリ)の一覧 ランダム5
空気がかちんかちんとちぢかんで、高台をうずめている木立が氷花のように澄む
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
蛙は体を凍てつかせて地中に眠り、兎は白い衣に着替える
高橋三千綱 / 涙 amazon
このカテゴリを全部見る
「冬」カテゴリからランダム5
冬の夜が錐のような霜を挟んでからりと明け渡る
夏目漱石 / 門 amazon
冬の月が夜気を白刃のように凍らせる
川端康成 / 掌の小説 amazon
同じカテゴリの表現一覧
冬 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ