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あらしのあとの晩秋の夜はことさら静かだった。山内 いちめんの杉森 からは深山のような鬼気 がしんしんと吐き出されるように思えた。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:20% 作品を確認(青空文庫)
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夜のしじま(静けさ)
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前後の文章を含んだ引用
......開いた。あらしのために電線に故障ができたと見えて、眠る時にはつけ放しにしておいた灯 がどこもここも消えているらしかった。あらしはしかしいつのまにか凪 ぎてしまって、あらしのあとの晩秋の夜はことさら静かだった。山内 いちめんの杉森 からは深山のような鬼気 がしんしんと吐き出されるように思えた。こおろぎが隣の部屋のすみでかすれがすれに声を立てていた。わずかなしかも浅い睡眠には過ぎなかったけれども葉子の頭は暁前 の冷えを感じて冴 え冴 えと澄んでいた。葉子はま......
単語の意味
深山(みやま・しんざん)
鬼気(きき)
秋の夜(あきのよ)
晩秋(ばんしゅう)
深山・・・奥のほうの山。簡単に立ち入ることが出来ない奥深い山。
鬼気・・・鳥肌が立つほど不気味な気配。恐ろしい雰囲気。
秋の夜・・・秋の季節の夜。とくに、秋の夜の長いことをいう。
晩秋・・・秋の終わりごろ。秋の末。暮秋。陰暦9月の異名。
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夜のしじま(静けさ)の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
もう太陽の光が残っていない公園の静けさに、笑い声はすっと吸い込まれていく。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
夜が深くなっていた。ふくろうが鳴くわけでも、コオロギが羽根を擦る音が鳴るわけでもなく、島中がただ単純に呼吸を抑えていくようだった。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
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「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
西の空がかすかに赤かったが、それは街並に落ちるまでには至らなかった。光は、 暗澹 と横たわる大気を射抜く力も 失せ、逆にすべての光沢を 覆うかのように忍び降りては死んでいく。ときおり、狂ったような 閃光 が 錯綜 することはあっても、それはただ 甍 の雪や市電のレールをぎらつかせるだけで終わってしまう。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
深い溪谷が闇のなかへ沈む
梶井基次郎 / 闇の絵巻
どこの家もしんとして赤子の泣く声が時おり聞こえるばかりだ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
灰色に浮かびあがるぞっとするような女の顔があった
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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