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受話器をとおして沈黙が新月のように部屋にしのびこんできた。息づかいひとつ聞こえなかった。耳が痛くなりそうな完全な沈黙だった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:44% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
電話で話す
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前後の文章を含んだ引用
......はり読む」と男は言った。「今朝の日曜版の馬の写真は見ました?」「馬の写真は見たよ」と男は言った。「馬と騎手がまったく別のことを考えてるみたいに見えませんか?」 受話器をとおして沈黙が新月のように部屋にしのびこんできた。息づかいひとつ聞こえなかった。耳が痛くなりそうな完全な沈黙だった。「それが用件なのか?」と男が言った。「いや、ただの世間話ですよ。共通の話題があってもいいでしょう」「我々の共通の話題なら他にあるよ。たとえば羊の問題とかね」咳払......
単語の意味
新月(しんげつ)
新月・・・1.月が太陽と同じ方向にある瞬間。地球、月、太陽の順にまっすぐ並んだ瞬間。月齢が「0」になった瞬間。このとき、地球から月の方角を見ても、太陽の光は月の裏側に当たっているだけで、月は暗くて見えない。朔(さく)。
2.陰暦で、1を過ぎたころ、西の空に見える細い月。陰暦で、その月の初めて見える月。また特に、陰暦8月3日の月。
3.東の空に昇ったばかりの月。
2.陰暦で、1を過ぎたころ、西の空に見える細い月。陰暦で、その月の初めて見える月。また特に、陰暦8月3日の月。
3.東の空に昇ったばかりの月。
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
話が途切れてしまい、邦彦が何か話すことはないかと考えていると、まち子がぽつんと言った。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
ミュウは椅子に身体を沈めたまま、ずいぶん長いあいだ黙りこんでいた。語るべき言葉を探しているというよりは、始まりも終わりもない個人的な記憶の中にひたっているみたいに見えた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
希美子はヒューズが飛んでしまったかのようにうつむき、黙り込んだ。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
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電話で話すの表現・描写・類語(動き・反応・変化・現象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(話し相手が黙って、)ものすごく遠くの方で女が喋っている声が聞こえた。長い廊下の向こうの端から聞こえてくるような声だった。小さくて乾いていて、妙な響き方をした。内容までは聞き取れなかったが、それはとても辛そうな声に聞こえた。辛そうに、途切れ途切れにその声は話し続けていた。《…略…》まるで死人が語りかけているみたいだな、と僕は思った。長い廊下の端の方から死人が話しかけている。死んでいるというのが、どれほど辛いことなのかについて。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
室内に入ったのだろうか、結実子さんの声が突然聞き取りやすくなる。
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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「声・口調」カテゴリからランダム5
まどかは弾けた泣き声を上げた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
心のゆらぐ先をいちいち抑えるように言う
伊藤 整 / 青春 (1960年) amazon
吉川英治 / 銀河まつり
「動き・反応・変化・現象」カテゴリからランダム5
(電話が突然切れる)ただぼくは──」と言いかけたところで、ぷつんと電話が切れた。まるで誰かがなたでロープを叩ききるみたいに唐突に、暴力的に。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
その電話を無視して寝てしまうことも、ひとつの選択肢としてあった。《…略…》しかし電話のベルはそこにあるあらゆる選択肢を叩き潰すかのように、いつまでも鳴り止まなかった。このまま夜が明けるまで鳴り続けているかもしれない。彼はベッドから起き上がり、何かに足をぶっつけながら受話器を取った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
砂漠地帯で舞い上がった砂塵が霧のように降る
井上 靖 / 天平の甍 amazon
「電話」カテゴリからランダム5
べつに何もない」と僕は言って椅子に座り、左手に持っていた受話器を右手に移しかえた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
電話の向うで椅子にゆったりと座りなおし、脚を組んだような雰囲気が感じられた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
(黒電話)狭くて急な階段の裏にそれは設置された。 形容しがたい丸み、暗号めいたダイヤル、耳にフィットするよう計算された受話器のカーブ、可愛らしげにクルクルとカールするコード。そうした何もかもがどこかしらおもちゃめいていたが、僕は最初からそれが、ただものでないことにちゃんと気づいていた。 とにかくその黒色は特別だった。一点の濁りもなく、濃密で、圧倒的で、気高くさえあった。両手に載るほどの大きさなのに、何を 企んでいるのか分からないふてぶてしさと思慮深さを併せ持っていた。そこに一つ黒い 塊 があるだけで、階段裏の薄暗さが奥行きを増すようだった。
小川 洋子 / 先回りローバ「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
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