書物にも、紗 のような薄い布が掛けてあって、書物の題名は殆 ど読み分けられなかった。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:73% 作品を確認(青空文庫)
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布・生地
ぼんやり見える
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前後の文章を含んだ引用
......り、あっさりと野菊の花を活 けた小さな床があった。 西洋室の二方にはライブラリ型の棚があり、其処には和洋雑多な書籍が詰っていた。だが、机の上の山積の書物にも書架の書物にも、紗 のような薄い布が掛けてあって、書物の題名は殆 ど読み分けられなかった。かの女がやや無遠慮にその布を捲 ろうとすると、規矩男は手を振って「今日は書物なんかにかかわり度 くはないですよ」と止めた。 「だけどあなたは随分読書家なんでしょう」 「......
単語の意味
紗(しゃ・さ)
紗・・・生糸を織って作られた、軽くて薄い織物。向こう側が透けて見えるほど目が粗く、夏の衣類などに使われる。うすぎぬ。
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幽霊よりも影のうすい姿を現わした。
小林多喜二 / 蟹工船
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(テーブルクロスにアイロンをかける)テーブルクロスを広げ、数学者にふさわしくそれを目分量で十六等分し、一つ一つのブロックを順々に片付けていった。 まず霧吹きの水を二度噴射させ、熱すぎないか手をかざして確認し、一番めのブロックにアイロンを押し当てる。把手をぎゅっと握り、生地を傷めないよう慎重に、しかしあるリズムを持ってアイロンを滑らせてゆく。眉間に力を込め、小鼻をふくらませ、自分の思い通りに皺がのびているかどうか、凝視している。そこには丁寧さがあり、確信があり、愛さえもがある。アイロンは理にかなった動きをする。最小の動きで最大の効果が得られる角度とスピードが保たれている。博士のテーマである優美な証明が、その古びたアイロン台の上に実現している。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
日本の文学者が、好んで不安という側からのみ社会を描き出すのを、舶来の唐物のように見なした。
夏目 漱石 / それから amazon
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波の上を旋回する鳥のように眼を光らせて
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
二人の目はぶっつかるように合った。
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
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