あらゆるものが聴き耳を立てているような気がした。《…略…》口笛は倉庫の隅々に吸い込まれるように消えていった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
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室内(空間)が静か
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前後の文章を含んだ引用
......グ・リズム・セクション……。遮るものひとつないガランとした冷凍倉庫に、口笛は素晴しく綺麗に鳴り響いた。僕は少し気を良くして次の四小節を吹いた。そしてまた四小節。あらゆるものが聴き耳を立てているような気がした。もちろん誰も首を振らないし、誰も足を踏みならさない。それでも僕の口笛は倉庫の隅々に吸い込まれるように消えていった。「ひどく寒い」ひととおり口笛を吹き終ってから、そう口に出して呟いてみた。反響した声はまるで自分の声には聞こえなかった。それは天井にあたり、霧のように地下に舞い下......
単語の意味
聞き耳・聴き耳(ききみみ)
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室内(空間)が静かの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
置時計が時を刻む音だけが響く。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
講義をきく教室のような静謐な場所
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
柱時計が止まったままなので、家の中は物音ひとつなかった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
会場は真夜中の墓場のように静まりかえった。
井上 ひさし / ブンとフン amazon
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直子はちょうど女学生が崇拝する教師の話でも聴くような様子で熱心に耳を傾けていた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
憐れな声が糸のように浮いて来る。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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