濁った味噌汁。

なし崩しに溶けていく味噌の濁流に潜む、すりつぶされた豆の残滓。

味噌のコクも砂糖の甘みも最初は主張しないのだ。自分は脇役と心得て、控えめに素材に寄り添っている。どんな味だい、はっきりおし、と迫れば際限なく逃げる。逃げられれば追うのが人情。追うほどに深みにはまる。気が付けば味噌どぶどろの底なし沼。

炭火で焼いたナスの香ばしさ、三つ葉の爽快な香り、深みと甘みにこだわった合わせ味噌が三位一体となった味わいは、まるで料亭で味わうお味噌汁のよう。

たっぷりの酒粕の甘みに豚肉の旨味がしっかりと加わった、豚汁仕立ての懐かしい粕汁。アクセントに唐辛子をきかせて、やさしさとキレのある味わいに仕上がっている。

（ホルモン汁）内臓をよく水洗いして、昆布を入れてよく炊いたので、本当に柔らかく臭みのない澄んだスープになった

焼きたてのご飯の上にほんのちょっと醤油をつけた海苔を乗せる。ほのかな磯の香り、香ばしい味わい、日本人のＤＮＡが反応している。ああ、うまい・・・

お節をつくり、荒ら家の畳を入替え、襖、障子を貼替える。これをしないと一年のけじめがつかず、さらにはまた、これから迎える新しい年への闘志がわいてこない。

（海鮮鍋）飲み込むと爽やかな海のような香りが鼻に抜けていく

カウンターの前でぐつぐつ煮えたすっぽん鍋を眺めていると、生唾を飲みたくなる