頬の皮を垂らした人

頬は少しふっくらとしており、そのふくれ具合が、不満を抱える指導者のようにも見え

レイ子はぼやけた目つきでわたしを見下ろしていた。頬や顎や目尻にたっぷりとついた脂肪が、彼女の感情を覆い隠しているようだった。

頬の豊かな子供

泣き腫らした女の顔

風に皮膚が一瞬たるむ

頬骨の張った顔。つり合うがっしりした顎。

例の六畳で鏡台に向かったが一日一日に変わって行くような自分の顔にはただ驚くばかりだった。少し縦に長く見える鏡ではあるけれども、そこに映る姿はあまりに細っていた。その代わり目は前にも増して大きく鈴を張って、化粧焼けとも思われぬ薄い紫色の色素がそのまわりに現われて来ていた。それが葉子の目にたとえば森林に囲まれた澄んだ湖のような深みと神秘とを添えるようにも見えた。鼻筋はやせ細って精神的な敏感さをきわ立たしていた。頬（ほお）の傷々（いたいた）しくこけたために、葉子の顔にいうべからざる暖かみを与える笑（え）くぼを失おうとしてはいたが、その代わりにそこには悩ましく物思わしい張りを加えていた。

少女らしい無邪気な桃色をしていた頬の色が、何となく淋（さび）しい薔薇（ばら）色に移り変って行くだけであったが、それだけの事でありながら、たった今まで十七八に見えていた、あどけない寝顔が、いつの間にか二十二三の令夫人かと思われる、気品の高い表情に変って来た。

削いだように肉の落ちた頬に頑固で神経質そうな性格がうかがわれる

その小さい計画を一つ一つ実現することによって、自分を支え、五十年の苦境に堪えている、生活的な女の顔

顎（あご）や頬（ほお）が涼（すず）しく削（そ）げ、整った美しい顔立ちである。

悪戯を見つけられた少女のように、顔を赧くしながら

紅を散らしたように顔が赤くなる

わたしのひざも 腿 も、とてもあたたかい。子供の体温は天使のように人をあたためるのだ。《…略…》こんな柔らかいものがこの世にあるなんて信じられない。どんなお菓子も布も、これを再現できない。