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風のぬるい春の晩が――妙に彼の血を駆り立てた。
吉川英治 / 無宿人国記 ページ位置:36% 作品を確認(青空文庫)
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春の夕方・夜
春の風
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前後の文章を含んだ引用
......た。 「はてな、俺は恋を? ……」 一度思った女は、きっと、命がけでも取ってきた一角の経験と興味が、また、春と一緒に、胸の中に、頭を擡 げだした。水っぽい春の月――風のぬるい春の晩が――妙に彼の血を駆り立てた。 だが、恋はしても、恋には悩まない一角だった。いや、悩んでいる時間すら持たない男だった。押 というか、自信というか、ぶつかってゆく。――その手で、お里も、ほかの多......
単語の意味
妙(みょう)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
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