頭をおどけたようにして叩く

（あやとり）お互いの友情が手から手へ織りわたされるかのようにむつまじく遊ぶ

オートバイのように元気にはしゃぎ回る

（子供たちが）犬の仔のようにころがりあっている。

（ベッドで横になる）ベッドに横になった。それから、シーツに顔をこすりつけるようにして大きな伸びをした。マットの中で、スプリングがくすんだ音をたてた。

今起きかえったばかりの葉子が、はでな長襦袢（ながじゅばん）一つで東ヨーロッパの嬪宮（ひんきゅう）の人のように、片臂（かたひじ）をついたまま横になっていた。

俺たちはモーターのように無感覚で、疲労することを知らない道具である

生きる屍のように横たわる

私は蒲団を顔へずり上げて固く瞼（まぶた）をとじた。何もかもいやいやだ。

子供など 所詮、慰みものにすぎん。おのれの生きた証をそれにしか見いだせない男が、子を作り、後生大事に可愛がるのだ。

（幼い娘の）細くて茶色い髪の、赤ん坊みたいな匂い

傍（そば）で砂いじりしている子はおいたさんと呼ばれるほどの一くせありげないたずらっ子の男児（おとこのこ）

赤ん坊に毛の生えた程度の子供

花月園へ連れて行ってやりたいような可愛い児

らっきょが転がってもおかしい年頃

今思うと、あの頃はあまりにもいろいろなことがありすぎて、時間がどんどん過ぎてゆくような感じがした。それなのに、全然せわしない感じはしなかった。あの頃知り合った人々や一緒に過ごした人々、行った場所、なにもかもが濃密で、もしかしたらあれこそが遅くやってきた（弟にはとても早くやってきた）、青春というものなのかもしれない、とすら思う。

ぎゅっと抱きしめたいくらいあどけない男の子

乳歯がまだ一本も生え変わっていないくらいの、ほんの小さな少年

（少女の肩を抱く）睦子に近づき父親のように肩を抱いた。肩は細く、まだ子供で、ダブダブの私の上衣越しに背中を撫でると、背中の肉も薄かった。

身体をぼろ布のように丸めて

体を投げ出すように横たえる

まるで浜辺にうちあげられた人魚のようにしっかりとタオルにくるまったまま

ぶら下げてきた一升徳利を机の上に置くと、四人（の学生）は山賊のように胡坐（あぐら）をかいていた。

現メンバーは皆、背もたれにどっしりと体を預け、そのまま眠れるような体勢をとっている。大きく開いている真由の口からは、今にも 涎 が垂れてしまいそうだ。

私は睡眠薬がないと眠れない身体になってしまいました。

（自慰が終わって）サユリはそのままの姿で寝息をたてていた。それは、彼女の溜息と違って空気を暖めることはなく、部屋の温度は急速に下がって行った。

（寝ぼけた頭で考える）記号と象徴のちがいってなあに？」 　ぼくの頭の中をなにかの行列がしずしずと通り過ぎていくような、不思議な感覚があった。

（イヤホンでラップを聞き読書をしていたが）文字がぼんやりし、ラップが遠くに響いていた。うとうとしはじめていたのだ。

よくいるかホテルの夢を見る。 夢の中で僕はそこに含まれている。つまり、ある種の継続的状況として僕はそこに含まれている。夢は明らかに継続性を提示している。夢の中ではいるかホテルの形は歪められている。とても細長いのだ。あまりに細長いので、それはホテルというよりは屋根のついた長い橋みたいにみえる。その橋は太古から宇宙の終局まで細長く延びている。そして僕はそこに含まれている。 《…略…》ホテルそのものが僕を含んでいる。僕はその鼓動や温もりをはっきり感じることができる。僕は、夢の中では、そのホテルの一部である。 そういう夢だ。 《…略…》（夢から覚めて）手脚をゆっくりと伸ばしてみる。そして自分がただの自分であり、何処にも含まれてなんかいないことを確かめる。僕は何処にも含まれていない。でも夢の中の感触を僕はまだ覚えている。そこでは僕が手を伸ばそうとすれば、それに呼応して僕を含んだ全体像が動く。水を利用した細かい仕掛けのからくりのように、ひとつひとつ注意深く、段階ごとにほんの微かな音を立てながら、それは順番に反応していく。僕が耳を澄ませば、それが進行していく方向を聞き取ることができる。

密接な関係

ガラスの向こうの乗客は動物園の檻を覗き込むような格好で僕達を見ている

左手の五本の指のうち、中指と薬指とが弾丸の破片のために根元からもぎとられて指が影絵の狐のように三本しかなく

彼と話をしているのが心地良かった。こちらの言うことが、よく通じ、相手の言っていることがまた、よくわかったからである。

自分の体一部のように相性がいい