尋恵は寝入りばなに目を覚ました。一瞬、姑が呼んだのかなと寝ぼけた頭で考えたが、すぐにあり得ないことと気づいた。 　上が騒がしい。

ななめにしいた蒲団の上には、天窓の朝陽がキラキラ輝いていて、埃が縞のようになって私の顔の上へ流れて来る。

（寝起きで）胃が目覚めてない

弟が降りてきた。 　恐ろしく不機嫌そうに寝ぼけていて、死人のように青くて、声をかける気にもならなかった。 「まだ寝る。」 　たずねてもいないのに、答えるのがいやそうに彼は言った。《…略…》不機嫌というより、本当に眠くて話すのもおっくうだ、という感じだった。

銀は赤子を起きぬように、莢（さや）からぬけるように少しずつからだを抜いて出 した。

寝返りをうつとベッドがわずかにぎしりと音を立てる。

襟もとまですっぽり絹蒲団をかぶって、朽ち木のように寝ている

長椅子には頭の禿げかけた中年男が乾燥魚みたいな格好で寝転んでいた。

（夢を見ていると）そこに肉体の現実が割りこんできた。ビールを飲みすぎて、トイレに行きたくなったのだ。

頭も目も冴えていてちっとも眠くない