建物の明るみから前へ逆に照り返されて威厳を帯びた銅像が、シルエットになって見える。銅像の検閲を受ける銃剣の参差 のように並木の梢 が截 り込みこまかに、やはりシルエットになって見える。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:8% 作品を確認(青空文庫)
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並木道
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前後の文章を含んだ引用
......窓硝子に、眼を近々とすり寄せて、車外を覗 いてみる。 湖面を想像させる冷い硝子の発散気を透して、闇の遠くの正面に、ほの青く照り出された大きな官庁の建物がある。その建物の明るみから前へ逆に照り返されて威厳を帯びた銅像が、シルエットになって見える。銅像の検閲を受ける銃剣の参差 のように並木の梢 が截 り込みこまかに、やはりシルエットになって見える。それはかの女が帰朝後間もない散歩の途中、東京で珍しく見つけたマロニエの木々である。日本へ帰って二タ月目に、小蝋燭 を積み立てたようなそのほの白い花を見つけて、かの......
単語の意味
検閲(けんえつ)
銃剣(じゅうけん)
検閲・・・問題のない、基準に沿ったものであるか調べること。
銃剣・・・携帯用の銃の先につける、短い剣。接近戦で使う。
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並木道の表現・描写・類語(道・道路のカテゴリ)の一覧 ランダム5
木におおわれたトンネルのような道
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
(緑道)両脇には植えられたばかりの緑が整列している。まだ添え木がされている木々はまるで作り物みたいに綺麗で、綺麗過ぎて、緑の匂いがどこからも漂ってこない。まだ若い葉っぱたちが微かにこすれる音だけが、かろうじて聞こえていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
アーケエドのように枝を延ばした欅(けやき)並木
上林 暁 / 野「上林暁全集〈第3巻〉小説(3)」に収録 amazon
大学から駅まで続く道が好きだ。等間隔に植えられている木が道を囲んでいて、喩えるなら表参道から高級さをすっぽりと抜いた感じ。いろんなひとがいろんな話をしながら歩いて、いろんな形の人間関係が築かれただろうこの道は、なんだかすごく大切なもののように思える。
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
柳の並木も歯が抜けたように終っていた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
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「道・道路」カテゴリからランダム5
吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢 が日を遮 り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかを辿 ってゆくときのような、犇 ひしと迫って来る静寂と孤独とが感じられた。
梶井基次郎 / 筧の話
枯葉朽葉の散り敷いたじめじめした細道
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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