朝夕の空の模様が春めいて来た事をまざまざと思わせる。北西の風が東に回るにつれて、単色に堅く凍りついていた雲が、蒸されるようにもやもやとくずれ出して、淡いながら暖かい色の晴れ雲に変わって行く。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:74% 作品を確認(青空文庫)
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晩冬・春先
春の空
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前後の文章を含んだ引用
......た冬が老いる。――北風も、雪も、囲炉裏も、綿入れも、雪鞋 も、等しく老いる。一片の雲のたたずまいにも、自然のもくろみと予言とを人一倍鋭敏に見て取る漁夫たちの目には、朝夕の空の模様が春めいて来た事をまざまざと思わせる。北西の風が東に回るにつれて、単色に堅く凍りついていた雲が、蒸されるようにもやもやとくずれ出して、淡いながら暖かい色の晴れ雲に変わって行く。朝から風もなく晴れ渡った午後なぞに波打ちぎわに出て見ると、やや緑色を帯びた青空のはるか遠くの地平線高く、幔幕 を真一文字に張ったような雪雲の堆積 に日がさして、まん......
単語の意味
淡い(あわい)
単色(たんしょく)
春めく(はるめく)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
単色・・・他の色のまじっていない、ただ1色。
春めく・・・春らしくなる。春らしい気配が感じられる。
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この季節になると長く地の上を領していた冬が老いる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
窓を開けると柔らかい陽と草の匂いの交じった春の匂いがして、桜がつぼみをつけていること、これがしばらくすると満開の淡いピンクの空間をうみだすこと。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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桜がいかにも雪に洗われて咲いたという感じ
太宰治 / 津軽 amazon
春の空気は漠然と重く、そして皮膚をむずむずとさせた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
「冬」カテゴリからランダム5
冬の夜が錐(きり)のような霜を挟んでからりと明け渡る
夏目 漱石 / 門 amazon
音を立てずに肌を透す隠忍な質の冬
夏目漱石 / 門 amazon
冬の夜が錐のような霜を挟んでからりと明け渡る
夏目漱石 / 門 amazon
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