桜の葉に包まれた水羊羹が、ひんやりと冷えたのを口にするとき、子どもごころにも、夏を感じた
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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羊羹(ようかん)
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前後の文章を含んだ引用
......夏など、祖父に、「氷のブッカキを買っておいで」 と、いわれ、十銭ほども氷を買ってくると、祖父は、その半分を薬罐の麦茶へ入れておき、残る半分で、水羊羹を冷やす。 桜の葉に包まれた水羊羹が、ひんやりと冷えたのを口にするとき、子どもごころにも、夏を感じたものであった。 冬になると、駄菓子屋で〔煮こごり〕を売る。私は、これが大好物であった。 鮫の切りくずや皮をきざみ、濃い目の出汁に入れ、これに少量の寒天を入れ、箱......
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羊羹(ようかん)の味、おいしさを伝える表現・描写(和菓子のカテゴリ)の一覧 ランダム5
玉のように半透明に曇った肌が奥のほうまで日の光を吸い取って、夢見る如きほの明るさを伴っている感じ。あの色合いの深さ、複雑さは、西洋にお菓子には絶対に見られない。
谷崎潤一郎 / 陰翳礼讃 amazon
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戦争の時代を過ごし、昨今のお菓子売り場を垣間見る折などこんなにさまざまの菓子が、豊富にあっていいのかな、と奇妙な感慨にとらわれることがある。が、また、ガラスケースに飾られ、綺麗に包装された菓子類は、どれもこれも同じように画一的で、いきいきとした生彩がない、と思う。かつて露店の菓子はすべて「駄菓子」に相違なかったけれど、何かしら夢があり、いうなれば、何より「芸」があった。「作る」だけではなく、「売る」にさえ芸があった。
安田 武 / 昭和 東京 私史 amazon
桜の葉で覆った桜餅を口に入れると、あたり前の話だがまず葉っぱが歯にあたる。《…略…》その塩っぽい葉がピリリと破れたあと急に口の中全体が甘くなり、その甘さのところどころにまだ塩っぽい葉っぱがシャリシャリと残っている。その塩っぽさはただの塩の味ではなく、塩漬けになって発酵した塩分の味だ。桜餅は、”お新香つきの和菓子”。
東海林さだお / コロッケの丸かじり amazon
(菓子箱の)中には艶のいい栗饅頭が一杯、見事な坊主頭を並べてゐだ。
石坂 洋次郎 / 暁の合唱 amazon
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