教員の仕事は 反吐へど が出そうなくらい退屈だった。

身の置き所のない退屈に辟易する

純のいない日曜日の午後は、本当に時間がぼんやりうつむいているようだった。

（うんざりした顔）顔には、ため息を押し殺すような表情が 滲んでいる。

何となく手持ち無沙汰な、気だるい退屈さに包まれる。

黒ずんだ重い液体のようなよどみを心に感じる

油が尽きて段々と細くなっていく灯火を見ているような、はかない無力な気持ち

心にどしんと重たいものがかぶさったように重苦しい気分

重苦しい嘔吐のような気分

言葉に尽くせぬ数々の心の重荷

身体中がだるくなって、どこもかしこもかきむしりたくなるほどだるくなって

一気に読んだ。読む字はわかるのだが、字面から来るものが多すぎ、理性から溢れるという心持であった。

この本を二頁（ページ）と続けて読んだ事はない。

挙がった歓声を全部呑みこむほど大きな欠伸

自分らの生活が予定通りはじまっているというわけだが――伸子は、しかし、何だかその生活に、自分を馴らしてしまうことができずにいるのであった。例えばある一つの晩餐会がここにある。料理は勿論、金縁の献立通りに燕尾服の給仕によって運ばれている。招かれぬ客もいないし、主賓が欠けているわけでもない。乾盃から卓上演説まで、すべて遺漏なくプログラム通り運ばれている。しかも、始めから終りまでその席に連なり、プログラムの予定通りの進行の証人となっているうち、その会合全体のうちに、自分が何の趣味も意味も感ぜず、突然変な不安にうながされて周囲を眺めまわすような場合がある。はたの誰一人、自分の感じるような屈託は持っていないと云う発見で、彼は自分を慰め得るであろうか。逆に、ますます自分のその場にそぐわない感じを強めるのであろう。 　伸子もそれなのであった。