(時化の船内)ハッチの上をザア、ザアと波が大股 に乗り越して行った。それが、その度に太鼓の内部みたいな「糞壺」の鉄壁に、物凄 い反響を起した。時々漁夫の寝ているすぐ横が、グイと男の強い肩でつかれたように、ドシンとくる。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:14% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......。 「糞壺」のストーヴはブスブス燻 ってばかりいた。鮭や鱒と間違われて、「冷蔵庫」へ投げ込まれたように、その中で「生きている」人間はガタガタ顫 えていた。ズックで覆 ったハッチの上をザア、ザアと波が大股 に乗り越して行った。それが、その度に太鼓の内部みたいな「糞壺」の鉄壁に、物凄 い反響を起した。時々漁夫の寝ているすぐ横が、グイと男の強い肩でつかれたように、ドシンとくる。――今では、船は、断末魔の鯨が、荒狂う波濤 の間に身体をのたうっている、そのままだった。 「飯だ!」賄 がドアーから身体の上半分をつき出して、口で両手を囲んで叫んだ......
単語の意味
大股(おおまた)
鉄壁(てっぺき)
大股・・・1.前後や左右に開いた股の開きが大きいこと。股の開きが大きくて、歩幅が広いこと。 ⇔ 小股(こまた)。
2.相撲のきまり手のひとつ。出し投げを打ったあと、相手が外側の足を出したとき、その足を内股から掬(すく)うように抱えて仰向けに倒す技。
2.相撲のきまり手のひとつ。出し投げを打ったあと、相手が外側の足を出したとき、その足を内股から掬(すく)うように抱えて仰向けに倒す技。
鉄壁・・・鉄の壁。非常に堅くて壊れにくい壁。転じて、非常に守りが堅いこと。
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嵐の中の船の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
波の背 に乗って四十五度くらいの角度に船首を下に向けながら、帆をいっぱいに開いて、矢よりも早く走って行く一艘 の船!
有島武郎 / 生まれいずる悩み
時々波の背に乗ると、スクリュが空廻りをして、翼で水の表面をたたきつけた。
小林多喜二 / 蟹工船
最初の 嵐 が襲ってきました。五月六日の夜のことです。強風がまず東南から吹きつけてきました。熟練した二十五人の水夫たちも 帆桁 をおろし 前檣 に小帆を揚げましたが、夜半には風波に舟を 委せるだけで、そのうち船の前方に裂け目が入り、浸水がはじまりました。ほとんど一晩の間、我々はこの裂け目に布をつめ、水を外にくみ出す作業を続けねばなりませんでした。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
船は波の動揺のまにまに勝手放題に荒れ狂った。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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機関室で、なつかしいエンジンの音がしている。手をはなしながら、私は沈黙ってエンジンの音を聞いていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
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虚空の隅々からあるだけの風を集めてたたきつけるような、ものすごい嵐
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
かすかな揺れであっても、じつは大地震が来るまえの予震で、いまこの瞬間にも地響きが聞こえて大揺れが起こり、部屋の隅までふっとばされるんじゃないかと身がまえる。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
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