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人間関係・地位の比喩を使った文章の一覧(137件)
「・・・どうせ、私のことなんかどうでもいいんでしょ」
マリアがそういった瞬間、大沢は平手で頬を叩いていた。
誰かを叩くなんて生まれて初めてのことだった。
自分の中にそんな暴力衝動があるなんて思いもしなかった。
目の前には頬を押さえているマリアがいた。
瞳には涙を浮かべ、小刻みに震えている。
唇にはうっすらと血がにじんでいた。
繊細なガラス細工を壊してしまったような後悔と罪悪感が沸いてきた。
428 ~封鎖された渋谷で~ amazon
悪魔の背に乗っているように、いつ振り落とされるかわからない
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
沼辺の葦のように、集まれば互いにただざわざわと騒ぐだけの村人
長塚 節 / 土 amazon
お互いの友情が手から手へ織りわたされるかのようにむつまじく遊ぶ
中 勘助 / 銀の匙 amazon
人間たちを、ひとかけらのパン切れをかついでまわる蟻のようにこき使う
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
疾走する駿馬と騎手のようにぴったりと呼吸がかよいあう
森 瑤子 / 傷 amazon
下手糞を相手にしながら、勘のいい馬のようにピタリと息を合わせる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
小さな生き物をいじめる猫のように、みだらな快感を味わう
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
蜥蜴(とかげ)が守宮(やもり)を追い詰めるように、なぶり、いたぶる
伊集院 静 / 三年坂 amazon
年齢のひらきのある者が、桶の中の芋のようにもまれて、思いがけない友人関係ができてくるのは、かけがえのないよろこび
臼井 吉見 / 自分をつくる amazon
一層相手の疑惑を増すような卑屈な態度
今 日出海 / 天皇の帽子 amazon
鏡のように母の挙措言動がそのまま子供の上に反映する
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
お母さんが笑うと、ぱっと子らの心に花が咲く
住井 すゑ / 夜あけ朝あけ amazon
風に漂う落ち葉のような、もろい男女のつながり
林 芙美子 / 晩菊・水仙・白鷺 amazon
男と女のあれこれなんて、波乗りみたいなもので、一度いい波を逃したら、次の波が来るのは、半年後か二年後か
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
気持ちの需要曲線がピッタリ一致する
連城 三紀彦 / 恋文 amazon
オモチャのようなたわいもない関係
坂口 安吾 / 母の上京 amazon
親子の関係が、いつも緊張を孕んだ情愛のなかの秤(はかり)のように懸かっている
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
利休は衆星の中の月の如く輝き、群魚の率いる先頭魚となって悠然としていたのである
幸田 露伴 / 骨董 amazon
二人のあいだに、近づきたいけど近づけない生け垣ができてしまう
岡田 なおこ / 薫ing(イング) amazon
仔犬のような小学生たちと遊戯する
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
霧か霞のかたまりみたいにフワフワの感じの関係
富岡 多恵子 / 砂に風 amazon
冷ややかな壁が父と子の間にはさまったような感じ
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
二人の心が紙一枚の隙もなく結びつく
山本 周五郎 / やぶからし amazon
潮のような見物が渦を巻く
菊池 寛 / 藤十郎の恋 amazon
他人の弱みにつけこんでダニみたいに喰らいつく
宮本 輝 / 夢見通りの人々 amazon
畳屋の使う太い針をからだに一刺しされるたびに、強烈な電気に触れたように、からだが句読点ぐらいにギュンと瞬間に縮まる
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
讐敵(しゅうてき)のように憎悪し合うほど険悪きわまる仲
海音寺 潮五郎 / 武道伝来記 amazon
二人の間で、ヴァイオリンの弦が切れるように、何かがぷつんと切れる
森 瑤子 / 傷 amazon
親しさの底に零点一の余剰が細い亀裂を走らせている
連城 三紀彦 / 恋文 amazon
五人全員で集まり、共に行動することを心から楽しんでいる@略@ちょうど五人でなくてはならないのだ。それ以上であっても、それ以下であってもならない。正五角形が長さの等しい五辺によって成立しているのと同じように。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
若木が地中から養分を吸い上げるように、思春期に必要とされる滋養をつくる(人名)はそのグループから受け取り、成長のための大事な糧とし、あるいは取り置いて、非常用熱源として体内に蓄えた。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
夜に活動する孤独な鳥が、どこかの無人の屋根裏に、昼間の安全な休息場所を求めるように。@略@人の心は夜の鳥なのだ。それは静かに何かを待ち受け、時が来れば一直線にそちらに向けて飛んでいく。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
宇宙の暗い空間に浮かぶ二つの遊星のようにごく自然に引き合い、そして離れていく
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
第一次大戦開戦直前の列強関係図みたい
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
ガラスの向こうの乗客は動物園の檻を覗き込むような格好で僕達を見ている
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
反感や憤りが内へ内へと沈み込んで、二人の間の空気は、氷のように冷たくなった。
豊島 与志雄 / 理想の女 amazon
キツネが猫のように媚びたしぐさで首を金網にすりつける
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
彼らは沼辺の葦のように集まれば互いにただざわざわと騷ぐ
長塚 節 / 土 amazon
自分の延長線上にあるような存在である。手足と同じだ。そこには自他の区別がない。だから自分が起きていれば、相手も起きているはずだという思いこみがある。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
私が警察官をしているってわかったとたんに、普通の男ってみんなするする引いちゃうんだ。蟹が波打ち際を逃げていくみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
食べ物も十分に与えられず、家畜同然に扱われてきた
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
激しい家庭内暴力が繰り返されることになった。娘は徐々に自尊心と自信を失い、追いつめられ、鬱状態に入り込んでいった。自立する力を奪い取られ、アリ地獄に落ちたアリのように、そこから抜け出すことができなくなった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
アパートには電話がひとつ、テレビがひとつあり、それらは玄関のわきにある共同のホールに置かれていた。ホールにはまた古いソファ・セットとダイニングテーブルがあった。女たちの多くは、一日の大半の時間をその部屋で過ごしているようだった。しかしテレビがつけられることはほとんどなかった。テレビがついていても、音量は聞こえるか聞こえないかという程度だ。女性たちはむしろ一人で本を読んだり、新聞を広げたり、編み物をしたり、額を寄せて誰かとひそひそ声で語り合うことの方を好んだ。中には一日絵を描いているものもいた。そこは不思議な空間だった。現実の世界と、死後の世界の中間にあるかりそめの場所みたいに、光がくすんで淀んでいた。晴れた日にも曇った日にも、昼間でも夜でも、同じ種類の光がそこにはあった。
@略@四人の女たちが丸いテーブルを囲み、額を寄せ合うようにして、小声でひそひそと話し合っていた。青豆の目には、それは現実の風景には見えなかった。彼女たちは架空の絵画の構図をとっているみたいに見えた。タイトルは「秘密を分かち合う女たち」といったものになるかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
(階級社会。幹部と下っ端)羊の群れと変わりがない。羊飼いと犬に管理され、朝には放牧場に連れて行かれ、夕方には宿舎に戻されて、
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
フリーのライターだかジャーナリストだかが、血の臭いを嗅ぎつけた鮫みたいにうようよ集まってくる。小さなボートが鮫の群れに取り囲まれている情景を、天吾は頭の中で想像した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
そのような居心地の悪さを抑制するために彼は、自分の中のある種の領域をうまく囲い込んでおかなくてはならなかった。別の言い方をするなら、心の部屋のいくつかをしっかり閉め切っておかなくてはならなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
カフェテリアは混み合っていたが、牛河の座っている六人掛けのテーブルには誰ひとり同席していなかった。レイヨウたちが山犬を避けるのと同じように、自然な本能に従って、学生たちは(異様な雰囲気を持つ)牛河をよけていた。
(略、彼は、)カフェテリアの人混みの中に消えていった。彼が歩いていくと、その道筋にいる男女の学生たちは自然に脇によって道をあけた。村の小さな子供たちが恐ろしい人買いを避けるみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
命令されるままに動いていたただの兵隊さんです。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
そのカラスは夕方になるといつも(窓際)やってくる。@略@社交的な訪問みたいなものだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
理不尽な強風に翻弄される木の葉のごとき彼女たち。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
あの長く続いた苦難の日々こそ、私たちに固い団結をもたらしてくれたのだ。たとえ別の星に移されても、私たちはすぐにお互いを仲間として認めあえるに違いないほどに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼らには薄い膜が張られている。笑顔や絡まる視線などでちょっとずつ張られていく膜だ。膜は薄くて透けているのにゴム製で、私が恐る恐る手を伸ばすと、やさしい弾力で押し返す。多分無意識のうちに。そしてそんなふうに押し返された後の方が、私は誰ともしゃべらなかった時よりも、より完璧に独りになる。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
「楽しかったね。あー、今日のこと、早くみんなに話したいなあ。」 暗闇の中に絹代の言葉が浮いて、ぼうっと光る。みんな。そうか、今こんなに近くで話しているというのに、絹代にとっての世界は、私やにな川ではなく、彼女のグループの〝みんな〟なんだ。長い夏休みは私と絹代の間にさらに距離を生むだろう。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
転校した友人から便りがあったかのような喜びを覚える。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
わたしたちはプレゼンしてもらう側なんだからね。嫌な言い方だけれど、あちこちから求婚される姫のような
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
玉葱をむくようになかなかつきあいにくいのである。むいてもむいても皮があり、うっかりしていると泣かされる。
森田 たま / もめん随筆 amazon
居間の椅子に坐って父親を猿山(さるやま)のように心得ている四つくらいの男の子に、背中にのぼられ
曽野 綾子 / たまゆら amazon
男の友人は西洋のお酒のように、月日がたてばたつ程まったりとした味の出てくるものである
森田 たま / もめん随筆 amazon
この二本の大木のように、根をともにする伴侶があれば、世に逆って生きてもよい
大岡 昇平 / 逆杉 amazon
娘たちの仲間は@略@その日その日の吹く風につれて、舗道にこぼれあつまっては、また散ってゆく柳の葉っぱのように、顔をあわせて、一緒に遊んでは、つぎの日はまた知らぬ顔の、そんなものとはちがっている。
田村 泰次郎 / 肉体の門 amazon
運命という河の中に踏み当り拾い上げた石のように、他にまぎれもなく、確かなものに感じられた
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
忠誠心の不足が部内の非難のまととなり、猿に士官服を着せたようなものだとまで言っている向きもある
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
屋根を支える柱のように自分たちをかばってくれている父親
大仏 次郎 / 宗方姉妹 (1954年) amazon
彼女は他者の存在がハリボテのように感じられ
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
犬の仔のようにころがりあっている。
丹羽 文雄 / 顔 (1963年) amazon
奴隷のように仕えて来た
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
お友達は一人去り二人は結婚をするという風に、櫛の歯が抜けて行くように私の側から消えて行く。
富田 常雄 / 姿三四郎 地の巻 amazon
見送るウメは、まるで胸の中のもの全部をこそげとられて了(しま)ったような、絶望的な、うつろな気持だった。
妻たち(網野菊)「現代日本文学全集〈第39〉平林たい子,佐多稲子,網野菊,壷井栄集 (1955年)」に収録 amazon
足の裏に踏みつけた飯粒のような古女房
幸田 露伴 / 連環記 amazon
ああ、もうおりんはいなくなってしまうのだと思うと村全体がかさかさに乾(ひ)からびてしまうような気がした。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
仔犬のような小学生たちと遊戯をして
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
元気な、スクスクと伸びた竹のような子供に、育てたかった。
獅子 文六 / 胡椒息子 (1953年) amazon
風に漂う落葉のようなもろい男女のつながり
林 芙美子 / 晩菊 amazon
親爺(おやじ)という老太陽の周囲を、行儀よく廻転するように見せている。
夏目 漱石 / それから amazon
父母の監督によって仕切られた家庭という(鳥)籠
夏目 漱石 / 明暗 amazon
網の目のような膨大な人脈
椎名 桜子 / おいしい水 amazon
学校に残って、助手、助教授になり、そして教授になるということは、烏が白鳥になろうとするものだ
伊藤 整 / 灯をめぐる虫「伊藤整作品集〈第7巻〉火の鳥,灯をめぐる虫,たわむれに,生きる怖れ (1958年)」に収録 amazon
闇の中を遠ざかってゆく船をひとり見送っているようだ。
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
カカシは巨大な島の支えだった。指標であり、夜に灯る明かりであり、方角を知らせる磁石だった。それを失った住人たちは、事実を受け止められず、動転している。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
白河の頭の上に、車椅子を押す秘書係、高木真奈美の端正な顔がある。彼女の大きな瞳が、白河のもう一つの目であるかのように大部屋を見渡していく。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
お互い相手をそよ吹く風ぐらいにしか感じられないほどに、親しい。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
様々な人間がやってきて僕に語りかけ、まるで橋をわたるように音を立てて僕の上を通り過ぎ、そして二度と戻ってはこなかった。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
双子は缶詰のオイル・サーディンのような形に並んでベッドにもぐりこんだまま
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
おばさんという人種にはいらいらする。いつでも自分がか弱い被害者だと思っているから。@略@十分強そうなのに、自分たちのことをか弱いと信じ込んでいるところ、そして迷惑をこうむっているのはこっちなのに若い男というだけでこっちが加害者あつかいされる。年齢はいっているのに、全身を羽毛で覆われている、むくむくのひな鳥。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
括約筋のように、どこまでも伸び続ける顔の広さは芸能界にとどまらない。
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
彼は頭を深く垂れ、首と肩の間に竹ぼうきをはさむので、掃除している時は大事な何かを思い悩んでいるように見える。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
音楽がどのように美しくともやがて終わるように、二人の関係も終わる
高橋和巳 / 我が心は石にあらず amazon
股の上で鮮魚のようにぴたぴたと嬰児が跳ね回る
有吉佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
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