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雪・霜・あられの比喩を使った文章の一覧(102件)
羽毛のような軽やかな雪が舞い降りる
三浦哲郎 / ユタとふしぎな仲間たち amazon
雲が吐き出す息のように、雪まじりの風が流れる
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
背中が汗のような融けた雪でびっしょり
室生 犀星 / 室生犀星作品集〈第9巻〉汽車で逢った女,餓人伝 amazon
空から小雪が舞い散り、いたずらのようにあたりを白くする
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
雪の上を、犬の足痕のような花弁の模様が点々と走っている
福永 武彦 / 風のかたみ amazon
灰色の雪が、煽れる情念のように渦を巻いてうねる
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
日当たりの雪の壁が雲母のように薄い氷になって重なる
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
繭(まゆ)の中の蚕のように人を包む雪
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
吹雪が原野の面を磨いて、一枚の鏡のようにまっ平らにする
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
雪が冷たく燃えるような輝きを増す
川端 康成 / 雪国 amazon
雪にぬれた家々の甍(いらか)から、陽炎のように水蒸気がゆらゆらと長閑(のどか)に立ち上る
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
夢の中にでもいるように、雪明かりが物の形を朧げに浮かび上がらせる
福永 武彦 / 風のかたみ amazon
降りたったホームには雪が舞っていた。雪というより、ほの白い風である
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
無数の白刃を振り回すように雪が飛ぶ
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
シベリア送りにあったロシア人の罪人のように、吹雪にジッと耐える
永倉 万治 / 恋はあせらず―You Can’t Hurry Love amazon
積もっている雪の肌が軽石のようにざらつく
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
枝から雪が滑って煙のように散る
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
砕け散った細氷がキャラキャラとガラスを混ぜ合わすような音を立てる
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
木桶の中の水に氷が張り、柄杓(ひしゃく)を持ち上げると月を突き刺したように薄い氷まで持ち上がってくる
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
雪を踏むと、キュッキュッとでんぷんを袋ごと押すような乾いた音をたてる
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
堅雪の表面がざらめのようにざらついている
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
雪に吸いとられた音という音が、そこらに潜んででもいるかのような静けさ
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
雪の鳴るような静けさ
川端 康成 / 雪国 amazon
凝固するような霜の夜が蒼ざめてくる
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
千万本の針のような霜柱
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
白いすだれが幾重にも垂れ下がって視界を鎖(とざ)す
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
壁を立てたように雪が視野を塞ぐ
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
部屋の灯りを吸って、雪の流れが光のような眩しい白さに変わっていく
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
砂塵のように、雪が人気のないホームに幾重もの襞(ひだ)となって流れている
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
空気はきりっとして澄み渡り、街角のいたるところに蟻塚のようにつみあげられ、排気ガスで灰色に染まった雪も、夜の街の光の下では清潔で、幻想的にさえ見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
雪はますます激しく降り、殆んど前もみえないくらいだった。街全体が冷凍された死体のように絶望的に固く凍りついていた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
道路の小砂利が塩を撒いたように霜柱に凍てついていた。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
窓の外は野も山も、薄化粧をしたような霜に凍てて
近松 秋江 / 黒髪 amazon
黄色な光が快よく鮮やかに満ちている晩秋の水のような淡い霜
長塚 節 / 土 amazon
ぐるぐると空間が廻転するように見えつつ飛び散る忙しい雪
長塚 節 / 土 amazon
靴が破れていた。そこへ針のような雪がはみこんでいる。
黒島 伝治 / 渦巻ける烏の群 amazon
浜の雪はめくりあがり、何枚もの薄紙みたいになりながら、村落に向かって飛んでくる
宮本 輝 / 幻の光 amazon
綿のようなやわらかい雪が、はじめは吸いとられるように土に消えていたが
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
降り落ちた雪もまた吹き上げられて、白い布のように飛ぶ。
川端 康成 / 二十歳「川端康成全集 第5巻 小説 5」に収録 amazon
景色は雪のために美しくはなく陰惨にみえた。街の風景の傷口をかくしている薄汚れた繃帯(ほうたい)のようにそれがみえた。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
宝剱岳の右手には、飛白(かすり)のように雪をつけて三ノ沢岳が
深田 久弥 / 四季の山登り (1963年) amazon
雪の凍みる音が鈴のようにきこえるのだ。
深田 久弥 / あすなろう「あすならう・オロツコの娘 (1954年) (現代日本名作選)」に収録 amazon
踏み固められてコンクリートのように光っていた。
中村 真一郎 / パニック「昭和文学全集〈22〉」に収録 amazon
溶け残った汚れた雪が岩のように固く凍りついている
北 杜夫 / 谿間にて「新潮日本文学 61 北杜夫集―楡家の人びと・他」に収録 amazon
薄陽の射した庭に、羽毛のような雪が、舞っていた。
林 芙美子 / 上田秋成「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
雪の鳴るような静けさが身にしみて
川端 康成 / 雪国 amazon
一面の雪の凍りつく音が地の底深く鳴っているような、厳しい夜景
川端 康成 / 雪国 amazon
雪片はごく薄い錫(すず)の箔をうちあてるような音を立てて
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
粉雪が夏の虫のように舞い狂っている
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
花びらのような牡丹雪が舞っている
田宮 虎彦 / 銀心中 (1961年) amazon
霰が二三度ふってきてから、国境の山々の姿は日に深く、削り立てたような、厚い積雪の重みに輝いていた。
室生犀星 / 性に眼覚める頃 amazon
川の上におちるのや、庭のおち葉をたたきながらはねかえる霰は、まるで純白の玉を飛ばしたようであった。
室生犀星 / 上田秋成「性に眼覚める頃」に収録 amazon
冬の吹雪する日は白い沙漠のような往来
森田 たま / もめん随筆 amazon
雪も歇(や)むんだ。空がさもがっかりしたようにぼんやりした。
長塚 節 / 土 amazon
サラサラと淡雪をふり落とす松の梢の上に高く、二三の星が深淵の底に光る金剛石のように寒くまたたいていた。
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
吹雪の夜のこういう松林の負傷の青は、車の前燈に染め出されると、稲妻のなかの女の裸体のように、実になまなましかった。
川端 康成 / 二十歳「川端康成全集 第5巻 小説 5」に収録 amazon
じさまもばさまも餓鬼(女の子)も野郎っ子(男の子)も狩り出され、降りしきる雪の中で墨絵のように動きまわっている。
森 敦 / 月山「月山・鳥海山 (文春文庫 も 2-1)」に収録 amazon
いつのまにか雪が降り始めていた。滑走路のライトがあたる部分にだけ斜めに、白い雪が落ちていくのが見える。それだけ切り取られた、まるで芝居の書き割りのような雪景色だった。
林 真理子 / 最終便に間に合えば「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
丘の家々は、石のように雪の下に埋れていた。
黒島 伝治 / 渦巻ける烏の群 amazon
自転車のタイヤが雪をくわえて鼠の鳴くように、きしんだ
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
吹雪は本物になり、うつ向いて歩くと、機械がただ動いているだけで、感情も何もない歩行であった。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
真白な雪の上に映え、たち並ぶ家々の軒並がくっきり影絵のように浮かび上っていた。
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
銃声のような鋭いみぞれの音
五木寛之 / 夜の斧 amazon
無理にこじ開けられた痛々しい傷跡のような赤土をいたわるように、所々を薄い雪がおおう
干刈あがた / 月曜日の兄弟たち「干刈あがたの世界〈2〉ウホッホ探険隊」に収録 amazon
雪の上を歩くとキュッキュッと澱粉を踏んだような音がする
三浦綾子 / 石の森 amazon
その他の風景を表す比喩表現
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