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地上の動物の比喩を使った文章の一覧(140件)
飼育室にはさまざまな小動物の発散するつよい匂いがただよっていた。その熱い悪臭はコンクリートの床や壁からにじみでて、部屋そのものがくさって呼吸しているような気がした。
開高健 / パニック amazon
藁のむれたような匂いを躰(からだ)いちめんからたてている
大江健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
生皮をペロリと剥いで赤い肉がむき出たような感じの犬や猫の足裏
遠藤 周作 / わが最良の友 動物たち amazon
鼬(いたち)が石をたたくような声をして鳴く
内田 百けん / 冥途 amazon
薄暗い空気の中を風の走るように茶色いものが飛び交う
吉村 昭 / 海の鼠 amazon
土竜(もぐら)の掘った塚が、老人の皮膚に盛り上がる血管のように、電光形を描いて地面に盛り上がっている
ジュール・ルナール / にんじん amazon
背中をまるくして、ぽんぽん飛ぶように追いかける犬
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
犬が、太った女が横坐りになったような格好で陽を浴びている
三浦 哲郎 / 素顔 amazon
割れたブリキ缶を叩くような犬の声
宮部 みゆき / 我らが隣人の犯罪 amazon
沼から湧いて出た獣の精かなにかのように薄気味が悪い黒犬
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
黒い岩のような牛の首筋
獅子 文六 / てんやわんや amazon
豆粒のような、おが屑を固めたような小さなウサギのふん
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
猫が、宇宙を呪うような陰気な唸り声で鳴く
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
馬のたてがみのざらざらした手ざわりが、棕梠(しゅろ)の毛のように手にまといつく
野間 宏 / 真空地帯 amazon
絶えず体を震わし、蹄を蹴り立てて、神経のかたまりのようにピリピリしている競走馬
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
背中をまるくして、ぽんぽん飛ぶように追いかける犬
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
犬が前足を立てたまま、青銅で作った置物のようにじっと座っている
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
ガラガラヘビが、非常に薄い金属の板がいくつも触れ合っているような音を立てる
庄野 潤三 / 静物 amazon
地底から風のように舞い上がってくる蝙蝠(こうもり)たちの凄い羽音
田辺 聖子 / 休暇は終った amazon
ピンポンの球そっくりの、殻がぶよぶよで柔らかい海亀の卵
勝目 梓 / 日蝕の街 amazon
ライラックの花が白孔雀の尾のよう
川端 康成 / 掌の小説 amazon
鯨のような悲しげな咆哮
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
皮はぎが、「キュウキュウ」と、靴が鳴るときのような声を立てて鳴く
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
黒光りする小山が理不尽にもむくむくと動いているかのような熊
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
水晶の笛のような鹿の声
宮沢 賢治 / 鹿踊りのはじまり amazon
鹿が驚いて一度に竿のように立ちあがる
宮沢 賢治 / 鹿踊りのはじまり amazon
紅を塗ったように尻が真っ赤な猿
子母沢 寛 / 愛猿記 amazon
先が二つに割れ、絶え間なくめろめろ動く炎のような蛇の舌
畑 正憲 / 天然記念物の動物たち amazon
大人の腕ほどもある太い尻尾の犬
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
ある朝起きてみたら猫は台所の隅で丸くなって死んでいた。たぶん本人にもよくわからないまま死んでしまったのだろう。体は冷えたロースト・チキンみたいにかちかちになり、毛なみは生きていた時よりもっと汚く見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
小憎らしい梅干婆さんのように、まことにおとなしくきょとんとしている。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
俊介は多頭の怪物ヒドラと闘っているようなものだと思った。ネズミが横行するのは山や畑だけではなく、町までが恐慌にまきこまれてしまっだのである。
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
猫のようなネズミ、それは料飲街の壁裏に住む特有の種族だ。
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
ネズミは地下水のようにつぎからつぎと林、畑、川原、湖岸、草むらのあらゆる隙から地表へ流れだして来てとどまるところを知らなかった。
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
数えきれないほどたくさん集まり、甲高い声で小学校のようにさわぎつつ食事をしていた。
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
鼠の尾は、鼠の身体とは別物の、ゴム製の鞭の先か何かのように、巻き上ったり、伸びたりした。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
小さな、硝子玉のように丸い黒い眼
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
人間にするとさしずめ巴里の御婦人ぐらいには見えぬこともない。
小沼 丹 / 黒と白の猫 amazon
喉をならし眼をつむり美女のように濡れた小鼻をふるわせて啼いている
大江 健三郎 / セヴンティーン「性的人間 (新潮文庫)」に収録 amazon
綿の吹き飛ぶような軽さで、暗い地上へひょいと降りて行った。
林 芙美子 / 女性神髄 (1949年) amazon
赤ちゃんねこはまるくなって眠っていました。わすれられたひとかたまりの毛糸のように……。
松谷 みよ子 / 黒ねこ四代「黒ねこ四代・火星のりんご ほか (松谷みよ子全集)」に収録 amazon
暗がりを獲物をもとめて歩く様子は堅固な建築物のように美しく、しかもゴムの柔軟さをそなえている。
大江 健三郎 / セヴンティーン「性的人間 (新潮文庫)」に収録 amazon
まるで矢のような早さで、石榴の枝から枝へ
林 芙美子 / 女性神髄 (1949年) amazon
さすが床屋のねこだけあって、そのぴかぴかつやのいいこと、香水でもふりかけたよう
松谷 みよ子 / 黒ねこ四代「黒ねこ四代・火星のりんご ほか (松谷みよ子全集)」に収録 amazon
石炭のようにつやつやとまっ黒
松谷 みよ子 / 黒ねこ四代「黒ねこ四代・火星のりんご ほか (松谷みよ子全集)」に収録 amazon
足で立つと、ちょうどペンギンのようながらになる白黒のぶち
松谷 みよ子 / 黒ねこ四代「黒ねこ四代・火星のりんご ほか (松谷みよ子全集)」に収録 amazon
沙魚(はぜ)のような毛並みの猫
稲垣 足穂 / 弥勒 amazon
毛虫のようにきたないから、ケムというくらいで
松谷 みよ子 / 黒ねこ四代「黒ねこ四代・火星のりんご ほか (松谷みよ子全集)」に収録 amazon
片脚を威嚇的に二、三回、敵に向って槍のように伸ばして
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
けしゴムみたいに小さな(猫の)足音
松谷 みよ子 / ジャムねこさん amazon
猟犬のような犬が、人間のようにじっとこちらをながめていた。
丹羽 文雄 / 顔 amazon
小さな黒い糸くず状の犬
椎名 誠 / 長く素晴らしく憂鬱な一日 amazon
モップのように乾いて艶のない灰色の毛を生やして
椎名 誠 / 犬の系譜 amazon
犬はごむ毬(まり)のように店員にとびついた
志賀 直哉 / 万暦赤絵 (1950年) amazon
いろいろのがいますよ。豆自動車のようなのやら流線型やら、オートバイのように元気なのやら、にぎやかなものですよ
小出 正吾 / 名犬コロのものがたり (幼年文学名作選 amazon
コロは小さな急行列車のようなかっこうで走ってきて
小出 正吾 / 名犬コロのものがたり (幼年文学名作選 amazon
まるで狼のような犬だ。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
素敵だなあ、あれは。まるで鹿みたいな感じだなあ
谷崎潤一郎 / 蓼喰う虫 amazon
たしかにかおがやつれましたよ。夕ヌキのようだったのが、キツネににてきたじゃありませんか。
小出 正吾 / 名犬コロのものがたり (幼年文学名作選 amazon
からだじゅうがまっくろなのです。ところが@略@しっぽの下からひざのへんまでだけがまっ白なので、なにか黒熊の赤ん坊が運動パンツをはいたようなかっこうでした。
小出 正吾 / 名犬コロのものがたり (幼年文学名作選 amazon
肋骨の見えた痩せた飼犬が夕暮れのおぼろな影に石膏のような色を見せて
田村 俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
両耳がリボンのように広く垂れている
大原 富枝 / ストマイつんぼ (1957年) amazon
二匹の小犬のヒクヒクと動く鼻の先だけが何か小さい二つの生物のように見えた。
志賀 直哉 / 暗夜行路 amazon
この犬の大きなあたたかい雑巾のような舌
倉橋 由美子 / ヴァージニア amazon
キツネが猫のように媚びたしぐさで首を金網にすりつける
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
まるで小さな火のようにキラめきつつ、彼の姿は見る見る視界のかなたに消えていった。
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
桜色の絹のような(牛の)乳の袋
和田伝 / 沃土
丸裸にされたヤギが、セルロイドの玩具のように見える。
林 芙美子 / 林芙美子文庫〈〔第9〕〉松葉牡丹 amazon
まるで毛皮のズボンをはいたような逞ましい輓馬(ばんば)
森田 たま / もめん随筆 amazon
やや薄暗くなった空気の中を、六頭の馬が鳥のように飛んでゆく。
阿部 知二 / 冬の宿 amazon
馬のたてがみのざらざらした手ざわりが棕梠(しゅろ)の毛のように手にまといつく
野間 宏 / 真空地帯 amazon
パリの老いぼれた馬車馬が、悲嘆にくれたクリスチャンのような、大きな美しい眼をよくしている
小林 秀雄 / ゴッホの手紙 amazon
象が前足を百姓娘のはにかみのように内輪につぼめ
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
象の鼻は尺取虫のように伸び縮みしている。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
さなだ虫のように巻いたりほぐれたりする。
鼻の頭も動物学教科書のさなだ虫の頭に似ている。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
鼻が巻き上がると、赤貝のような口が見える。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
唇は穏やかな海がなめらかな岩を舐めるようにペラペラと動く。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
後足を鳥居のように拡げて尿をした。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
眠りの神が背負って歩くぶわぶわの袋のように垂れ下がった象の尻が、ゆたりゆたりと竹林の日向を揺れて行った。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
象は調馬師の革鞭のような尻尾を、きりきり振り廻していた。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
雄鳥が蓑のような尾をさげて
中 勘助 / 銀の匙 amazon
夜、墨で描いたもののように門灯の表面にくっついている小さい先生
稲垣 足穂 / 弥勒 amazon
壁に似た灰色の、妙に薄気味悪い形をしたその動物の顔つきが、ちょうど鼠の子のような可憐な表情を持っている。
広津 和郎 / やもり「広津和郎全集〈第1巻〉小説 (1973年)」に収録 amazon
ササの枯れた茎のあいだで宝石のようにきらめくヘビの姿
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (1960年) (新潮文庫)」に収録 amazon
身長、二間、胴まわりの太いビールびんの錦蛇
サトウ ハチロー / 青春風物詩―ハチロー半生記 (1952年) amazon
頭だけが錐(きり)のように鋭く尖っている豪州産の蛇
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
セピア色の南方の小蛇は@略@陽炎のような赤い舌
井上 靖 / 猟銃・闘牛 amazon
亀の足の脇の下を擽ると、亀は二三尺動いた。まるで不思議な大きな石が動くように。
室生 犀星 / 幼年時代 amazon
彼(山椒魚)は彼自身のことをたとえばブリキの切屑(きりくず)であると思ったのである。
井伏 鱒二 / 山椒魚 amazon
土煉瓦(つちれんが)を引き起すと、青白い肌をした一匹の蠍(さそり)が蟹のような鋏を振り立ててへばりついていた。
火野 葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)」に収録 amazon
猫は宇宙を呪うような陰気な唸り声
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
犬はなお八釜(やかま)しく吠えたてて、仕舞には遠吠えをしたり、それに節をつけて人間の言葉の様な泣き方をしたりした。
内田 百けん / 東京日記「東京日記 他六篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
仔山羊が赤児のような声を出して啼いていた。
志賀 直哉 / 暗夜行路 amazon
ちょうど錆びついて滑りの悪くなった釣瓶を汲み上げるような
火野 葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)」に収録 amazon
豚と馬と牛と鶏と一緒にしたような声
火野 葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)」に収録 amazon
鎮守の森の大杉にかけたその巣は小枝を組んで籠のようになっていた。
中 勘助 / 銀の匙 amazon
あの犬は知らない人間が近寄ってきたら、地獄の釜の蓋でも開けたみたいに吠えまくるんだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
物音を聞いたのか、そのヘビは、噴水の栓を閉めたときのようにスーッと身を低くして、砂の上をなめらかに滑って行き、軽い金属音をたてながら石のあいだに潜りこんで、どこかに消えてしまいました。
サン=テグジュペリ / 星の王子さま amazon
七尾の右手が、右腕が異様に腫れ上がっていたからだ。腕を走る脈が肥大し、立体的な管となり、奇怪な模様となっている。 そう見えた。が、違う。 蛇が絡み付いていたのだ。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
慌しく己れの上体を米つきバッタのようにゼーロン(馬の名)の鬣(たてがみ)の蔭に翻しながら
牧野 信一 / ゼーロン amazon
置物然として丸まっている。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
お地蔵さんのように座布団の上で微動だにしない
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
首輪を付けてやる。野良犬は大人しかった。嫌がる素振りも見せず、衣装で着飾る女優のように、慣れた顔で座っていた。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
庭の小さな陽だまりでうずくまっていると、色あせた古い絨毯のようだ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
ロンドンの免税店に積み上げられたカシミヤのセーターのような色をしたまだ若い鼠
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
店員が猫を抱かせてくれた。上質のカシミヤのような手触わりで
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
二匹の猫は夢のかけらでも眺めるように僕の姿をじっと見つめていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
それはペットショップのウインドウの中を歩き回る真白い子犬で、その可愛いこと、可愛いこと、生きているヌイグルミのようだ
林真理子 / 言わなきゃいいのに… amazon
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