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水中の生き物の比喩を使った文章の一覧(54件)
透明に近い躰(からだ)に糸くずほどの骨が透けて見える小さな魚
落合 恵子 / センチメンタル・シティ amazon
食用蛙が牛の遠吠えみたいに啼く
田辺 聖子 / 休暇は終った amazon
海老は甲冑をつけて倒れた海の武者
横光 利一 / 春は馬車に乗って amazon
お玉杓子が水の勢いに怺(こら)えるられぬようにしては、俄(にわか)に水に浸されて銀のように光っている岸の草の中に隠れようとする。そうしては又可憐な尾をひらひらと動かしながら、力に余る水の勢いにぐっと持ち去られつつ泳いでいる。
長塚 節 / 土 amazon
巨大な脱色したお玉杓子のような鮟鱇(あんこう)
北村 薫 / 水に眠る amazon
荒海に逆巻く波濤の怒号のような蛙の鳴き声
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
潮騒のような遠い蛙の声が、またたく星を頼りなく揺すぶる
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
蝉の抜け殻のような小さな蟹
中島 敦 / 環礁 ——ミクロネシヤ巡島記抄—— amazon
砂の亡霊のような小蟹
中島 敦 / 環礁 ——ミクロネシヤ巡島記抄—— amazon
普段はほのかな虹色に輝く鮭の腹が、産卵期には緋鯉のように真っ赤になる
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
待ち針みたいに小さな魚が群れになって泳いでいる
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
潮騒のような遠い蛙の声が、またたく星を頼りなく揺すぶる
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
いくつも鮒(ふな)が泳ぎ流れて来て、新茶のような青い水の中に尾鰭(おひれ)を閃めかしては、杭根(くね)の苔を食(は)んで、また流れ去って行く。
岡本 かの子 / 松葉牡丹「鮨」に収録 amazon
初夏の陽光は@略@金魚の硝子箱を横から照らして、底の玉石と共に水を虫入り水晶のように凝らしている。
岡本 かの子 / 花は勁し amazon
小蛙は二間も上の枝の上に、青い小さな一点となって、ちょうど草の葉っぱのようにくっついた。
坪田 譲治 / 風の中の子供 amazon
口の尖った意地の悪そうな、あの河童のような顔
志賀 直哉 / 菜の花と小娘「志賀直哉小説選〈1〉」に収録 amazon
月光に青白く光る刀のような長い魚
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
尾鰭(おびれ)のところに三枚の剃刀の刃のように鋭く硬い武器をもった魚
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
小魚の腹がナイフのようにひらめいた
開高 健 / パニック・裸の王様 amazon
頭と尻尾を弓のようにはねあげた赤い魚
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
藻や塵芥の下を潜って影のような魚がヒラヒラ動いている。
林 芙美子 / 風琴と魚の町 amazon
濁った水の底を幻影のように赤くするその魚
夏目 漱石 / 道草 amazon
六尺ほどの凍った魚が三四本丸太のように立てかけてあった。
藤枝 静男 / 犬の血 amazon
白壁の並んだ肥料倉庫の広場には針のように光った干魚が山のように盛り上げてあった。
林 芙美子 / 風琴と魚の町 amazon
鯛は太股に跨られたまま薔薇色の女のように観念し
横光 利一 / 花園の思想 amazon
鮪(まぐろ)は計画を貯えた砲弾のように落ちつき払って並んでいた。
横光 利一 / 花園の思想 amazon
拳でがんと一つ張られると、鱒(ます)は女の足のようにべっとりと動かなくなるのであった。
室生 犀星 / あにいもうと「幼年時代・あにいもうと (新潮文庫)」に収録 amazon
嘘つきのような口をあけたぎちぎちした鱒
室生 犀星 / あにいもうと「幼年時代・あにいもうと (新潮文庫)」に収録 amazon
若鮎はあの秋の雁のように正しく、可愛げな行列をつくって上ってくる
室生 犀星 / 幼年時代 amazon
あたかも王者のごとく泳ぎまわっていたのである。
鯉「日本近代短篇小説選 昭和篇1 (岩波文庫)」に収録 amazon
からだを横に倒しながら、尾鰭をはげしく打ちつけるようにした。(略、それは)鱗の汚れを拭い取っているように見えた。からだをマッサージしているようにもまた、時によっては、痒みを掻いているようにも見えた。
竹西 寛子 / 兵隊宿 amazon
綿菓子のようにふくらんで、風にのってながされている金魚もあった。
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
飛行機の翼燈のようにちいさくなった金魚
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
めだかの目はね、青いランプがもえているみたいに光るんだよ
松谷 みよ子 / 夜「童話・詩 全1冊 (松谷みよ子の本)」に収録 amazon
水中から銀片のように、シコイワシが撥ね上っている
田久保 英夫 / 海図 amazon
苦しいのか、平気なのか、馬のような顔はいかにも無表情なので、その気持まではわからない。
清岡 卓行 / 朝の悲しみ「アカシヤの大連 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
ガラス細工のような川エビ
開高 健 / パニック・裸の王様 amazon
川えびが脚を櫂のように動かして、泳いで行く。
外村 繁 / 澪標「澪標・落日の光景 (1962年) (新潮文庫)」に収録 amazon
潮が退くと牡蠣殻が模様のようにところどころ色取っている潟の柔らかい泥
正宗 白鳥 / 牛部屋の臭い (1971年) (雨の日文庫〈第6集 amazon
脇腹には病人のかさぶたのように貝殻がびっしりとこびりついている。
村上 春樹 / 風の歌を聴け amazon
きろきろきろきろと風船玉を擦り合わせるような蛙の声
長塚 節 / 土 amazon
食用蛙がヽぼろんぼろんと雨滴のように何時までも二人の耳についていた。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
二匹の金魚はいくつかのひれを微妙に動かしながら、ガラスで作られた池の中を涼しげに行き来していた。夏の光がその鉢の中で不思議な屈折を見せ、神秘に満ちた深海の一部をのぞき込んでいるような錯覚を起こさせた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
病人のかさぶたのように貝殻がびっしりとこびりついている。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
その他の風景を表す比喩表現
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