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声・口調の比喩を使った文章の一覧(747件)
ガラスが割れるのではと思われるほどの高い声が店内に響き渡る
せきしろ / 去年ルノアールで 完全版 amazon
「私、あなたのしゃべり方すごく好きよ。きれいに壁土を塗っているみたいで。」
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
夕立といっしょにかみなりが落ちるようにはっきり云う
山本 周五郎 / やぶからし amazon
耳の穴にむかってしゃべりかけた。まるでマイクロフォンのテストをしているようなしゃべり方だった。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
世界中の細かい雨が世界中の芝生に降っているようなそんな沈黙が続いた。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
透明の樹脂のような分厚い沈黙に閉じ込められる
宮部 みゆき / とり残されて amazon
あひるのように間断なく喋る
高樹 のぶ子 / 光抱く友よ amazon
油紙に火がついたように際限もなくしゃべる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
アルミニウムをぽあんぽあんとしなわせるような声
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
わかったようなわからないような禅問答みたいな言い方
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
まわりがしんとなってしまうような荒々しい言い方
内海 隆一郎 / 人びとの情景 amazon
窓のブラインドを風が鳴らすような、軽い言い方
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
長い空白があるのに、何日かぶりで会ったようなさりげない言い方
西木 正明 / 『幸福』行最終列車 amazon
暗い中にすとんと自分を落とし込むような言い方
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
短刀でひと突きするような大胆な物の言い方
中村 真一郎 / 女たち amazon
袈裟がけに斬って捨てたと思える言い方
高橋 治 / 女たち amazon
にべもない、というコトバはこういうときに使うのです、というサンプルのような言い方
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
友達に一年ぶりに再会したような物の言い方
伊集院 静 / 三年坂 amazon
日記に書き込んだ文章を暗誦(あんしょう)するように一息に言う
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
喉に詰まったものを吐き出すように言う
南条 範夫 / いつかあなたが amazon
猫が獲物を弄(もてあそ)ぶような言い方
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
自信を持って断言するように、一語一語に力を込めてはっきり言う
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
一語一語を慎重に息でくるむような言い方
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
活字を並べてそれを一個ずつ区切るような言い方
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
心のゆらぐ先をいちいち抑えるように言う
伊藤 整 / 青春 (1960年) amazon
無骨で無口な夫が、錆びた蝶番(ちょうつがい)をこじ開けるようにして言う
干刈 あがた / ゆっくり東京女子マラソン amazon
伝令の馬のように白い息を吐きながらやって来る
安岡 章太郎 / 質屋の女房 amazon
マラソン選手が決勝点へたどりつくような、激しい息づかい
中村 真一郎 / 夜半楽 (1959年) amazon
口の中に砂利をつめ込まれたように、ううっとうなり声をあげる
池田 満寿夫 / 10フランの恋人 amazon
喉の石が飛礫(つぶて)となって口から飛び出したような大声
連城 三紀彦 / 恋文 amazon
湿った絹糸のような優しい声
獅子 文六 / てんやわんや amazon
叫ぶ声がか細い糸になって朝の空気の中に伝わってくる
黒井 千次 / 春の道標 amazon
彼らはまるで涸れた井戸に石でも放り込むように僕に向って実に様々な話を語り、そして語り終えると一様に満足して帰っていった。@略@誰もが誰かに対して、あるいはまた世界に対して何かを懸命に伝えたがっていた。それは僕に、段ボール箱にぎっしりと詰め込まれた猿の群れを思わせた。僕はそういった猿たちを一匹ずつ箱から取り出しては丁寧に埃を払い、尻をパンと叩いて草原に放してやった。
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
沈黙を拳で突き破るような勢いで、いらだたしく言う
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
牛のように押し黙って答えない
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
満ちてくる潮のように、あるいは引いていく潮のように一心に歌う
灰谷 健次郎 / 太陽の子 amazon
叫び声が唄でも歌っているように続く
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
歌声が集まって一つになり、つむじ風のように部屋に立ちのぼる
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
単調な歌声が、風に消えて行く狩の角笛の音のように、ほそぼそといつまでも響く
中島 敦 / 悟浄出世 amazon
物憂く単調で何の芸もない念仏のような歌声
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
聞こえもせぬ遠い船の人を呼ぶような、悲しいほど美しい声
川端 康成 / 雪国 amazon
玉を転がすような笑い声
井上 靖 / 風林火山 amazon
唸りがあたりの空気を間断なく皺立たせる
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
口振りに棘が埋まっている
黒井 千次 / 群棲 amazon
口々に叫んでいた言葉が一つに合して、海鳴りのような叫びに変わる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
「むうー」という、ふんづけられたガマガエルの発するような呻き声をたてる
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
声が湿った土の底に吸い込まれていくかのように低く呻くように言う
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
死の世界のように永遠の沈黙に包まれる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
鳥が餌をついばむような調子で質問を続ける
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
少しの間、沈黙の絵の具が流れた。その色はきれいなグレイだった。
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
トラクターのエンジンがかかったような笑い声
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
赤頭巾の狼の声のような嗄(しゃが)れた声
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
狼の遠吠えのような声が、喉の奥からひっきりなしにしぼり出される
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
月の光を浴びたコヨーテが叫んでいるような細く、鋭い、現実のものとは思われぬ響きを持った叫び声
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
割れ鐘のような声が、落雷の直撃のように脳天をおそう
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
ロックコンサートの会場にいるときのように大声で話す
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
彼方に広がる都会のパノラマの隅々にまで響き渡るような大声
原田 宗典 / 十九、二十(はたち) amazon
どこかの殿様かと疑われる鷹揚な言葉つき
芥川 龍之介 / 邪宗門 (1977年) amazon
奥行きの全くない、ただの板切れでも耳に押しつけているような沈黙
黒井 千次 / 群棲 amazon
笑い声やおしゃべりが、ガラスの破片のようにキラキラ飛び散る
長崎 源之助 / ゲンのいた谷 amazon
変声期前の少年のように甘くて優しい声
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
百の言葉を煮詰めたような重さをこめて問いただす
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
女のように優しい声
夏目漱石 / 坊っちゃん
貝がらをすり合わせるような奇妙な声で笑う
五木寛之 / CM稼業 【五木寛之ノベリスク】 amazon
藻のようにそよいでやまぬ女の舌
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
甘ったるい香りが沁みこんだような声
鷺沢 萠 / 葉桜の日 amazon
カキのように黙りこむ
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
掛け声が、リズミカルに空に散っていくように、耳に快くうつ
藤枝 静男 / 或る年の冬 或る年の夏 amazon
客席後方の壁に突き刺さるような鋭く透る掛け声
井上 ひさし / イサムよりよろしく amazon
鶏がわめき合っているような掛け声
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
火事場を見つけたように金切り声を上げる
現代の文学〈17〉安岡章太郎 amazon
風の向きが変わったように、ふっつりと話をやめる
小島 信夫 / アメリカン・スクール amazon
風が沸くようなひやかしの声があがる
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
囁き声が、蘆(あし)の葉に渡る風のようにどこからともなく起こる
芥川 龍之介 / 邪宗門 (1977年) amazon
涼風のような楽観した言い方
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
肩にモッサリとかぶさって来るような気配が感じられる口調
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
凱歌をあげるような笑い声が廊下を遠ざかって行く
中村 真一郎 / 夜半楽 amazon
調子の狂った楽器のような、ひどく嗄(か)れた声が止めどもなく迸り出る
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
厚い壁のように手に触れそうな沈黙が、二人を遠く他人のように隔てている
森 瑤子 / 風物語 (1984年) amazon
鬼神も泣き出そうかという割れ鐘の大音声
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
渋紙の上に砂利を撒いたような声
今 東光 / 東光金蘭帖 amazon
声変わりの最中の、紙の破けるような声
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
神がかりに入った巫女のごとくつぶやく
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
時ならぬ歓呼の声が、打ち上げ花火のように、春の潮のどよめきのように起こる
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
花にむらがる夏の蜂のように、一斉にワアーッと歓声を挙げる
中島 敦 / 悟浄歎異 —沙門悟浄の手記— amazon
子供の歓声のように軽く明るい声
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
言葉が次々と、機械が旋回するように出てくる
司馬 遼太郎 / 最後の将軍 amazon
雉子の啼くくらい突き刺すような声が聞こえる
福永 武彦 / 風のかたみ amazon
狐につかれたように、とめどもなくおしゃべりがはじまる
太宰 治 / 灯籠 amazon
言葉の一つ一つに水晶の珠を截(き)るようなきびしさがある
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
笑いこけているように聞こえる奇妙な声を立てて男泣きする
阿部 昭 / 千年 amazon
ユーモアを讃えるオホホ笑いの霧がたちこめる
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
振りしぼるような声が、夜のしじまを切り裂くように響く
つか こうへい / この愛の物語 amazon
殺菌されたような清潔な喋りかた
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
笑い声が銀の弓弦が鳴るように胸を震わせる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
細い金属の線を思わせる、繊細な微かに震えを帯びた感じの声
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
棒杭のように押し黙る
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
ヴァイオリンの弦のように、哀しげに震える声
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
オフィスで使いたくない香水のように軽く乾いた声
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
声が自信と憎悪で西瓜(すいか)の切り口のように赤く濡れる
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
ミント・シャーベットみたいな声
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
商品を客に不当に値切られた商人のような声
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
床の下から鳴き出した虫のような憐れな声で呟く
横光 利一 / 春は馬車に乗って amazon
潤いのにじむ、涙に湿ったような声
山本 周五郎 / やぶからし amazon
少女の、どこか危な気のある爽やかな声
干刈 あがた / ウホッホ探険隊 amazon
声がひゅうひゅうと隙間風のようにかすれる
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
臨終間際の浪曲師のような掠れ声
永倉 万治 / 恋はあせらず―You Can’t Hurry Love amazon
露天の叩き売りのような低くてかすれた声
椎名 誠 / 新橋烏森口青春篇 amazon
金管楽器を思わせる輝きや張りのある声
五木寛之 / CM稼業 【五木寛之ノベリスク】 amazon
コントラバスのような太い声
徳永直 / 太陽のない街
水を吸いこんだ笛のように震える声
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
声帯にパラフィン紙でもはりつけられたような哀れっぽい声
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
頭のうしろから噴出するようなおそろしくカン高い声をだす
椎名 誠 / 新橋烏森口青春篇 amazon
クリスタル・グラスを打つような声
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
声が甲高く夜の空気に突き刺さる
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
背骨から出すような声
中上 健次 / 枯木灘 amazon
天井にヒビが入るようなカン高い声
高橋 三千綱 / 涙 amazon
脳天に穴が開いてそこから吹き出てくるような声
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
硝煙と血潮の中で兵隊を叱咤する鬼将軍のような声
椎名 麟三 / 深夜の酒宴・美しい女 amazon
細い金属の線を思わせる、繊弱な微かに震えを帯びた感じの声
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
声が経文を読むように暗い
笹沢 左保 / 終りなき鬼気 amazon
声が感嘆符を打ったように浮かんで残る
庄野 潤三 / プールサイド小景・静物 amazon
二人の声が木霊のように重なる
福永 武彦 / 草の花 amazon
声が紐のように絡み合う
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
獲物めがけて飛ぶ矢のように声が放たれる
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
声が不協和音のように耳底に残る
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
声をゴムバンドのように空中に弾き飛ばす
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
秘密を打ち明けるように声をひそめる
落合 恵子 / センチメンタル・シティ amazon
子供の歓喜のような軽く明るい声
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
小声ながら腸(はらわた)を絞るような声で呼び懸ける
二葉亭 四迷 / 其面影 amazon
腰の折れた瓦斯(ガス)のような声を立てる
室生 犀星 / 舌を噛み切った女 (1957年) amazon
ふがふがと空気の抜けたゴム毬(まり)をつぶすみたいな声
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
むりやり景気をつけているような力のこもらない声
三田 誠広 / 僕って何 amazon
極度に感情を押し殺した、泥の底から湧くような声
高井 有一 / 北の河 amazon
遅まきテープの声を聞くみたいな、間の抜けた、ある意味では気味悪い声
森 瑶子 / 風物語 (角川文庫 amazon
テープの回転速度を間違えたような、間のびした声
赤川 次郎 / 泥棒物語 amazon
カケス(鳥の名)のような声でしゃべる
住井 すゑ / 夜あけ朝あけ amazon
鳥がうたうような、まるみのある声音
司馬 遼太郎 / 最後の将軍―徳川慶喜 amazon
耳にひびいてくる雲雀(ひばり)のような話し声
三浦 朱門 / 犠牲 amazon
夜鳥の鳴くような嗄(しゃが)れた声
芥川 龍之介 / 邪宗門 (1977年) amazon
淋しい波音のような声の響き
吉本 ばなな / キッチン amazon
咽喉を毀(こわ)した角力取(すもうと)りのように荒い声
川端 康成 / 掌の小説 amazon
咽頭を使いつぶした旅芸人のようにつぶれた声
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
声が乾いて、風できしむ古い扉のよう
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
なめ茸(たけ)のどろりとした汁が舌の脇に残っている声
黒井 千次 / 群棲 amazon
喉の奥にひび割れがあるのではないかと思えるような、妙に耳ざわりな声
椎名 誠 / 新橋烏森口青春篇 amazon
耳の中が綿飴でいっぱいになるような声
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
声が芝居の役者のセリフのようによく通る
深沢 七郎 / 深沢七郎コレクション 流 amazon
舌の先に氷を載せたような(冷たい)口調
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
おはじきほどの大きさの声
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
低い蜂の唸るような活気の無い声
田山 花袋 / 田舎教師 amazon
忘れていた畏(おそ)るべき古代の魔人の名でも口にするように、苦りきって答える
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
言葉が猫の手のように柔らか
野間 宏 / 真空地帯 amazon
小鳥がさえずるようにはばかりなくしゃべる
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
ぴしりと語尾を折るような喋り方
五木寛之 / 私刑の夏 【五木寛之ノベリスク】 amazon
長老たちが、ふがふがとゴム管をつぶすような声で喋る
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
懺悔聴聞僧(ざんげちょうもんそう)に懺悔する罪人のような口調で言う
井上 ひさし / イサムよりよろしく amazon
女どもが鵲(かささぎ)のようにべちゃくちゃさえずる
トルストイ / トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 amazon
コヨーテの啼き声のような、しだいに高まってゆく哀調のある叫び声
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
棺の蓋も開くかと思われるような絶叫
有吉佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
叫び声が遠くから、バイオリンのいちばん高い音の細い鋭さをもって、針先のように鼓膜をつく
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
笑い声のような短く高い叫び
中島 敦 / 斗南先生 amazon
叫び声が豆の木のつるのようにするすると伸びる
山田 詠美 / ハーレムワールド amazon
女がいきなり細い首をたてて嘶(いなな)くように一声叫ぶ
黒井 千次 / 群棲 amazon
風に木の葉のざわつくようにささやき交わす
森 鴎外 / 山椒大夫 amazon
接吻でもしそうな熱烈さで囁く
古井 由吉 / 栖 amazon
ささやきがハチの羽音のように舞い上がる
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
ひ、ひ、と猿のような笑い
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
川べりの水禽(みずどり)たちのように、騒がしくお互いに相談する
三島 由紀夫 / 潮騒 amazon
満ちてくる潮のように、まるいは引いていく潮のように一心に歌う
灰谷 健次郎 / 太陽の子 amazon
歓呼の声が春の潮のどよめきのように起こる
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
唐辛子を舐めすぎたときのような嗄れ声
井上 ひさし / イサムよりよろしく amazon
竹林をわたる風のような、いつか耳を傾けずにはおけないような、低いしゃがれ声
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
言葉が審判の声のようにするどく耳の奥で聞こえる
山本 周五郎 / やぶからし amazon
言葉の調子が、槍の穂先のような鋭さで胸許を深く突き刺して来る
井上 靖 / 風林火山 amazon
ソプラノが、固まった空気を突き抜けるような鋭さで伝わってくる
壷井 栄 / 大根の葉 (1960年) amazon
厚い石壁のような沈黙
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
部屋に降りた沈黙は息苦しく、深い悲しみに満ちていた。そこにある無言の思いは、地表をえぐり、深い湖を作り出していく古代の氷河のように重く、孤独だった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
ゆっくりと(小指にはめた)指輪を回してた。まるでラジオのチューニングをしているみたいに。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
長い時間をかけて、氷を溶かすようにゆっくりと、ひとつひとつ
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
もの静かで能弁な沈黙だった。僕はそれまで、沈黙というのはただじっとだまっているだけのことだと思っていた。@略@変な言い方だとは思うけれど、耳を澄ませれば彼の頭が最高速度で回転している音が聞こえそうだった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
夜の闇が何処かから部屋の中に忍び込んできて、羊水のように彼のスマートな体をすっぽりと包んでいるみたいに僕には感じられた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
喧騒が僕の頭の中で大きくなったり小さくなったりした。まるで現実との接触が近づいたり離れたりしているみたいに。彼の端正な十本の指がテーブルの上にきちんと組み合わされていたのを覚えている。現実との接触が遠くはなれると、それは精巧な細工みたいに見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
様々な人間がやってきて僕に語りかけ、まるで橋をわたるように音を立てて僕の上を通り過ぎ
村上 春樹 / 風の歌を聴け amazon
伝令の馬のように、白い息を吐きながら
安岡 章太郎 / 悪い仲間 amazon
旱天(かんてん)に喘ぐ魚のように、彼は怒鳴った。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
首に巻いた長すぎるマフラーの端を自分の足で踏みつけてしまい、「ぐえ」と窒息寸前のカエルのような呻き声。
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで 2 amazon
「買うときには、決断が必要でした」、退役した参謀が過去の作戦について語るような口調で運転手は言った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
運転手の話し方には何かしらひっかかるものがあった。常に大事なものごとをひとつ言い残したようなしゃべり方をする。@略@そして話し終えたあとに、含みのある小さな沈黙の塊が残った。車内の狭い空間に、それがミニチュアの架空の雲みたいにぽっかり浮かんでいた。@略@彼女はその小さな雲を追いやるように発言した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
書物の大事な一節にアンダーラインを引くように、運転手はゆっくりと繰り返した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
いったん黙り込むと、月の裏側にある岩みたいにいつまでも黙っている。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
口にするひとつひとつの言葉に、サイズの合った楔(くさび)のような的確な食い込みが感じられた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
「ニチヨウのあさはあいている」と疑問符のない質問を彼女はした。「あいている」と天吾は答えた。まるで手旗信号で話をしているみたいだ、と天吾は思った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
その質問は彼女の意識の領域のどこにも着地しなかった。それは意味性の縁を越えて、虚無の中に永遠に吸い込まれてしまったようだった。冥王星のわきをそのまま素通りしていった孤独な惑星探査ロケットみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
音量は変わらなかったが、前よりも声は冷たく硬くなっていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
いったん言葉が途切れると、沈黙はまるで決められた運命のように、その部屋に重く腰を据えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
話すに連れて、老婦人の顔が特殊な赤銅色の輝きを帯びていくのを青豆は目にした。それに連れていつもの温厚で上品な印象は薄れ、どこかに消えていった。そこには単なる怒りや嫌悪感を超えた何かがうかがえた。それはおそらく精神のいちばん深いところにある、硬く小さく、そして名前を持たない核のようなものだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
ふかえりは電話口でしばらく黙っていた。何かを手近の棚に載せてじっと眺めているような沈黙だった。好印象と胸のかたちの関係について、考えを巡らせているのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
声の調子をテストしているみたいに、ゆっくりとした口調で言った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
砂袋のように重い沈黙
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
相手の声には怒りも恨みがましさもこもっていなかった。そこに含まれているのは何か違う種類のものだった。個人的な感情というよりは、客観的な情景のようなものだ。たとえば見捨てられて荒れ果てた庭とか、大きな洪水のあとの河川敷とか、そんな情景だ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
この男が抱いている感情が真空のような役割を果たして、あたりのすべての音波を吸収してしまうのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
それは深い水の底にひとつだけ沈んだ黒い石のような、重い沈黙だった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
声は前よりいくらか小さくなっていた。背後にいる誰かが手を伸ばしてボリュームをしぼったみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「リトル・ピープルはもうさわいではいない」、と彼女は言った。まるで前線の報告をするクールで有能な斥候(せっこう)兵みたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
二人はテーブルをはさんで向かい合って夕食を食べた。会話というほどのものは交わされなかった。彼らは倦怠期を迎えた夫婦のように、黙々と料理を口に運びながら、それぞれに別のことを考えていた。あるいは何も考えていなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ふかえりはただ沈黙をまもっていた。その沈黙は細かい粉のように、空中にひそやかに浮かび漂っていた。それは特殊な空間から現れた蛾の群れが、ついさっきまきちらしていった粉だ。その粉が空中に描くかたちを天吾はしばらくのあいだ眺めていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
機械で合成して作ったような事務的な声
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
老人はそう言うと、口を開けずにコゲラのような声で笑った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
深い海の底の貝みたいに、どこまでも頑なに沈黙を守っておられる。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
沈黙がある。まだ文字が彫られていない石版のような沈黙だ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
干上がった湖の底のような沈黙がある
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
中年の男の声だ。それほど大きくはない。いくぶんしゃがれてもいる。しかしその中心には堅い芯のようなものがあった。しっかりと焼いて丁寧に乾燥させられた煉瓦の持つ堅さだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
言葉遣いこそ丁寧だが、そこには有無を言わせぬ響きがあった。その声は冷蔵庫に長いあいだ入れっ放しにしておいた金属製のものさしのようにどこまでも硬く冷ややかだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
長い沈黙が降りる。細長い部屋の向こう端まで歩いて行って、辞書を手にとって何かを調べ、また戻ってくるくらいの時間がある。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
表情を欠いた中立的な声だ。高くもなく低くもない。硬すぎもせず柔らかすぎもしない。飛行機の発着時刻や株式市況を告げる声だ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
話のネタのために毎日を生きているみたいだった。とにかく〝しーん〟が怖くて、ボートに浸水してくる冷たい沈黙の水を、つまらない日常の報告で埋めるのに死に物狂いだった。指のここ怪我した、昨日見たテレビおもしろかった、朝に金魚死んだ。一日あったことを全部話しても足りず、沈黙の水はまたじわじわと染みてくる。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
くそ真面目な顔で、一生懸命に言う。日頃ぼけていて、一瞬正気に戻ったおじいちゃんを見ているような気持ちになる。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
しばらく吉住は、なにもしゃべらずに麻理子が話し出すのを待っていた。部屋の中に沈黙が降りた。吉住にはそれが雪のように天井からゆっくりと舞い降りてきて、麻理子のベッドのシーツに降り積もるような錯覚を覚えた。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
オーケストラの演奏が終わった時、誰もが息を呑み、場内が静まり返る。一呼吸置いてから、いっせいに喝采の拍手が鳴る。まさにそれと同じように、周囲はしんとして、それから悲鳴が鳴った。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
悲鳴はすぐには出ない。人々の無言が、透明の、無音の爆発を起こすかのようだ。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
声は、自信と憎悪で、西瓜(すいか)の切り口のように赤く濡れていた。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
竹の筒を吹いたように唸ったり
和田伝 / 和田伝全集 第2巻 amazon
龍の中にいる小鳥の訴えを聞かされたような心持がした。
夏目 漱石 / 明暗 amazon
ふしぎに澄んだ、天上の音楽のようなお声
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
屈託のない朗らかな混声が、色の絹糸を選り分けるように一つ一つ心よく聞き分けられた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
石膏のように無言だった。
曽野 綾子 / 遠来の客たち amazon
大洋のどん底から湧き出すような、重々しい沈黙
前田河広一郎 / 三等船室「現代日本文学大系 (59)」に収録 amazon
喉の渇いた獣のようにあえぎつづけて
芥川 竜之介 / 地獄変 amazon
たたきつけるような口調
梅崎 春生 / 桜島 amazon
「あはははは」としゃぼん玉のような笑い声を真正面から浴びせた。
十一谷義三郎 / あの道この道
蓋をした田螺(たにし)のように松尾医師の口はそれきり動かなかった。
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
猫の鳴き声のような言葉で
清水 義範 / 蕎麦ときしめん amazon
撲(なぐ)りつけるような口調
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
声の調子さえもおとろえて力のない雨だれの音のような退屈な講義
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
秋の月夜の風の中で細く慄える鈴虫の声のような、やさしい声
村上知行 / 殉情の人
投げつけるような口調でそう鋭く言った。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
気の短い父が癇癪をおこして噛みつくようにいう。
中 勘助 / 銀の匙 amazon
咽喉(のど)を裂いたように絶叫した。
火野葦平 / 糞尿譚 amazon
まるで楽器でも奏でるような声
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
先方の言うことは燕のように早口で、こまかいことまでは通弁にもよく分らない。
島崎 藤村 / 夜明け前(全) amazon
牛のようにおし黙って
藤沢 周平 / 麦屋町昼下がり amazon
一瞬、凍るような厳しい沈黙が、校庭を支配した。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
甲高く鳥の叫ぶような声が切れ切れに聞こえた。女の笑い声のようだ
日野啓三 / 夢の島 amazon
おびえた、犬のような悲鳴に似た哀れな声
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
物のこわれやすい上皮をそっと撫でてみるような、当りさわりもない無駄話
阿部 知二 / 黒い影 (1950年) amazon
床の下から鳴き出した虫のような憐れな声
横光 利一 / 春は馬車に乗って amazon
涎(よだれ)を流すような唸り方
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
破鐘(われがね)のような蛮声
井伏 鱒二 / さざなみ軍記 amazon
雨に濡れた鹿苑寺の大きな黒い瓦屋根のような沈黙の重みが私の上に在った。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
低い押しつけられたような声
梅崎 春生 / 桜島 amazon
からだのありかとほとんどかかわりなく、闇の中にひろがりきって、闇そのものの呻きのようにふくらんでは引く。
古井 由吉 / 水「古井由吉自撰作品 2 水/櫛の火 (古井由吉自撰作品【全8巻】)」に収録 amazon
夏のそよ風のような優しい声
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
サンド・ペーパーでも擦るようなしゃがれ声
山本 周五郎 / 青べか物語 amazon
咲(え)み割れるような、今の女中の笑い声が揺れて来る。
徳田 秋声 / 新世帯 amazon
空気をひっかくような甲高くかすれた笑い声。
日野 啓三 / 夢の島 amazon
「きききき」と夜行性の動物が鳴くような声で男たちの笑う声が聞こえた。
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
毒を吐くようにつぶやいた。
川端康成 / 山の音 amazon
低い、嗄(しわが)れた声が、銹(さ)びたゼンマイのほどけて行くような感じで、ゆっくりと繰り返しました。
なだ いなだ / 童話ごっこ amazon
二人とも手術を受けたあとのように黙りあっていた。
林 芙美子 / 骨「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
今までの積み重なッた不平不愉快が一時に爆発し、洪河の決潰する勢いをもって暗雲に純之助に喰ってかかった。
内田 魯庵 / くれの廿八日「くれの廿八日 他一篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
ぽきっと木の枝を折ったように無愛想な答え方
北条 民雄 / いのちの初夜 amazon
獣のような声を出して、詩を吟じ始めた。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
老人のようにしゃがれた声
梅崎 春生 / 桜島 amazon
ぽつりと豆かなんかを一粒畳の上にほうり出したように云った。
里見 トン / 桐畑 amazon
押しつぶすようなうめきを上げ
富田 常雄 / 姿三四郎〈上巻〉 amazon
家鴨(あひる)のような鼻にかかった声をだして喚(わめ)いている
坂口 安吾 / 白痴 amazon
ヘイタイサンという言葉のオランダ訛りの発音が、私の耳を打楽器の響きのように、叩きました。
なだ いなだ / 童話ごっこ amazon
ある種の鳥類のような笑い声
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
鬼界ヶ島に流された者同士のように、時々お互いに顔を挙げて窓の透けたところを見るだけで、二人はまた枕に頭を沈める。
林 芙美子 / 骨「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
絹糸のように細く澄んだ声
田宮 虎彦 / 絵本 (1951年) amazon
艶消のような柔かい沈黙
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
あんまり喚き声が大きく、天地も張り裂けんばかりであった
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
弾んだ調子の声は、私の沈滞した心のなかで、花火のようにはじけて、私の眼のまえを明るませてくれた。
中村 真一郎 / 遠隔感応 amazon
頭脳に針を刺すように響いた。
徳田 秋声 / 黴 amazon
ねっとり吸い付いてくるような吉田の節回し
井上 友一郎 / 受胎「受胎―他二篇 (1956年) (角川文庫)」に収録 amazon
石のように無言のまま
池谷 信三郎 / 橋 amazon
締められる鶏のような声で泣き出した。
村上 龍 / 卵「トパーズ (角川文庫)」に収録 amazon
ねこの毛をなでるような声
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
水底のような沈黙
片岡鉄平 / 綱の上の少女
マラソンでもしているように、胸が喘いだ。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
声変りの最中の、紙の破けるような声を出した。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
唇のところで言葉がぼうちょうして形がゆがんで出るかのような勢でわめきつづけた。
野間 宏 / 真空地帯 amazon
懐からとり出した紙きれを、目の高さにひろげて持ち、卒業式の答辞を読む時のようにまじめくさった調子で読み出した。
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
虫が匍(は)うような沈黙が来た。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
親切な口調で、背を撫でてやるようにやさしく言った。
石川 達三 / 蒼氓 amazon
人間の肉体そのものが響きへと鍛え上げられたような、重苦しくて艶やかな声だった。
古井 由吉 / 谷「古井由吉自撰作品 2 水/櫛の火 (古井由吉自撰作品【全8巻】)」に収録 amazon
喉の奥で圧(お)しつぶされたような低い声
大江 健三郎 / 死者の奢り amazon
潮の鳴るような歓呼のさけび
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
春の独活(うど)のような指先を唇に当てて声を立てるなと、宗輔に命じて
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
息を抜かれたように黙っていた。
横光 利一 / 頭ならびに腹 amazon
傷ついた熊のように、いつまでも唸るほかはない
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
彼の喉の裏側にビロウドでもはってあるかのような、インド人特有の声
なだ いなだ / 童話ごっこ amazon
絹針のように細く鋭い女の叫喚(さけび)
田村 俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
鍵のかかった抽斗(ひきだし)のように黙りこんでいる
池谷 信三郎 / 橋 amazon
胸や腹に波の起伏のような烈しい呼吸を打たせ
石坂 洋次郎 / 山のかなたに (1954年) amazon
ぎあぎあ蛙のような声変りをつづけた。
室生 犀星 / あにいもうと「幼年時代・あにいもうと (1955年) (新潮文庫)」に収録 amazon
風に木の葉のざわつくように囁きかわしている。
森 鴎外 / 山椒大夫 amazon
房子は黙っていたが、その姿は、いろんな風に泡立って来る感情を小さなコルクの栓で蓋をしている罎(びん)みたいだった。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
化石したようにしんとして
小栗 風葉 / 深川女房 amazon
乾いた咽喉に貼りついた声を引き剥がすように呟く。
黒井 千次 / 群棲 amazon
咽喉から渦捲く煙のように洩れて出るその憤りの声
夏目 漱石 / 道草 amazon
真新しい絹のこすれるような、細く掠れる
古井 由吉 / 狐「古井由吉自撰作品 2 水/櫛の火 (古井由吉自撰作品【全8巻】)」に収録 amazon
喉を裏返しにしたような奇声を発して
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
やさしい一息に続く言葉で、そよ風のように囁きました。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
マグネシュームを燃すような瞬間的な唸き声が全身から飛び出た。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
ホトトギスの声をもっと陽気にしたような声で笑って
木山 捷平 / 長春五馬路 amazon
君は相変らず舌が達者だ。蝉のようによくしゃべる
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
石でも喰ったように黙りこくって
岡本 かの子 / 鶴は病みき amazon
この捕虜は犬の遠吠えに似た声で、長く、途切れ途切れに呻く
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
石で刻まれたみたいに黙ってる
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
生埋めにされる人間のように、ああ生きたいとうめいていた。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
喉を獣のように鳴らし
古井 由吉 / 水「古井由吉自撰作品 2 水/櫛の火 (古井由吉自撰作品【全8巻】)」に収録 amazon
誰にも煩わされる事なく、越年する草木のように黙って暮したい。
森田 たま / もめん随筆 amazon
棒杭のように押し黙っていた。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
まるで喉につまっていた栓がとれたように、英語がすらすらとしゃべれた。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
始めも終も無い煙のようなお饒舌(しゃべり)を続けて来た
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
クラリオネットが鳴るような生き甲斐を感じた
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
熱にうかされた人のようにまくし立てて
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
笛を吹くような唸り方で夢にうなされていた。
林 芙美子 / 林芙美子 放浪記 amazon
ばばあの唸り声がブザーのように聞えてきました
倉橋 由美子 / 蠍たち amazon
低い声で呼ばれた自分の名が矢のようにわたくしの心に、体に刺さった。
大原 富枝 / 婉という女 amazon
しずかな、ひきこまれるような沈黙が、室の中に漲った。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
貝が蓋をしたように、ぴたりと黙ったりした。
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
鳥の鳴くような叫び声
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
胸の中から最後の空気を吐き出すように、つぶやいた
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
もの憂く単調で、何の芸もない念仏のような歌声だった。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
発情した牝のように激越に熱情をこめて叫んでいる。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
花にむらがる、蜜蜂のように、五人の女は、余念なく、喋りあった。
林 芙美子 / めし amazon
ゆっくりと牛が草を噛むような調子でこたえた。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
なにやらさけんだその口に、まっしろな硬い歯ならびが礦石(こうせき)のように光った。
石川 淳 / 黄金伝説 amazon
フフフフと、木を磨り合せるような短い笑い声を洩らした。
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
けだものの遠吠えにも似たものであった。
島木 健作 / 癩 amazon
声にはあの確信と自信とが重い石のようにこもっていた。
遠藤 周作 / 影法師 amazon
小波のようにお喋りする。
小沼丹 / 椋鳥日記 amazon
出あいがしらに頬を擲(なぐ)るように冷たい口調
尾崎 一雄 / まぼろしの記 amazon
妙に落着いた一字一字を彫りつけるような口調で言った。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
岩のように黙っていました。
新美 南吉 / 牛をつないだ椿の木 amazon
昆虫の生態を報告するように、何ら感情をまじえずに、話してきかせる
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
こわれた楽器のような沈黙
安部 公房 / 他人の顔 amazon
子供さんは皆しきりに巣立ちした鳥が囀るように絶間なくしゃべっている
森田 たま / もめん随筆 amazon
凄惨(せいさん)な野獣のようなうなり声
平林 たい子 / 施療室にて「こういう女・施療室にて (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
天井を打ち貫(ぬ)くような鋭い笑声をあげた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
釣師はいずれも木像のように黙っている
永井 荷風 / すみだ川「すみだ川・新橋夜話 他一篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
数珠玉のようにつながって老婆の口からほとばしり出る意味の分らない言葉
竹西 寛子 / 少年の島「兵隊宿 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
一つ一つの言葉に注意して、綿か布にくるんだように、あたりを柔かに話す
大仏 次郎 / 宗方姉妹 (1954年) amazon
絶え間なく客を呼ぶ声も、あたかも鳥の高音を張るように景気づいていた。
加能 作次郎 / 世の中へ amazon
彼女は全く沈没したように呻いた。
金 史良 / 光の中に amazon
客達のささやき声が心地良い耳鳴りのように聞こえてきた。
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
テレビの天気予報みたいな良い声
村上 龍 / トパーズ amazon
動物園のはっぴをきた男が、両手をアフリカゾウの耳のようにひろげて、さけんでいる
小出 正吾 / ジンタの音「小出正吾児童文学全集 (3)」に収録 amazon
胆力が欠けている。先生と大きな声をされると、腹の減った時に丸の内で午砲(どん)を聞いたような気がする。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
ボソボソとつぶやくようにして、こうつけ足した。ちょうどこわした彫像のかけらを集めるような調子で――。
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
杉村なんか放送局みたいにうるさい奴だし
平林彪吾 / 鶏飼いのコムミュニスト
石のように黙っていた。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
まるで中学生を叱る先生のように、むうっと押黙って居られる
森田 たま / もめん随筆 amazon
歌はすこぶる悠長なもので、夏分の水飴のように、だらしがない
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
取引先に言うみたいに言う
岩井 恭平 / サマーウォーズ amazon
水辺で休んでいる動物のようなのんびりした口調
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
「この島に足りないものは何だ」と言ってきたのだ。錆びたナイフで、無理やり突いてくる印象がある。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
「誰かから手紙が届くと嬉しいだろ」彼は物理法則の説明をするかのように、断定をした。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
ゆるやかに流れる川がそっと、親指ほどの波を立てるような声
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
彼の発する言葉があまりに、冷たいので、息が吹きかかった空気がその場で凍っていくのではないか、とも思えた。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
彼女たちは去っていった。規模は小さいが、れっきとした竜巻のようだった。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
それきり桜(人名)は口を閉ざした。今日喋る分については、すべて使ってしまったとでもいうように、押し黙った。まるで、本物の桜の樹になったかのように、静かだった。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
興奮していた。回路が切れたように喚きつづける。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
青年の声は雫のようだった。滴り落ちるように、ぽつりぽつりと床に垂れる。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
言葉は疲れ果て、地の底から湧いたよう
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
ぐるるっ、という音がして貝原はきょろきょろと周囲を見回した。教室のどこかにライオンでも飼っているのかと思ったら、隣の武藤の唸り声なのであった。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
機銃掃射のように発せられる質問
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
声はしかし、マグニチュード8の地震の最中に呟かれたように怒りで震えている。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
壊れたスピーカーのように現場の凄惨さを克明に語り続けた。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
ガムでも嚙みながら喋っているような、異様に粘っこい声
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
百メートルを全力疾走した後のように息が上がっている
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
彼女はしばらく黙った。砂漠のような沈黙の乾きの中に僕の言葉はあっという間もなく飲みこまれ、苦々しさだけが口に残った。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
彼女たちはいつも交互にしゃべった。まるでFM放送のステレオ・チェックみたいに。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
今年の冬は雪が少ないからスキーはあきらめなさい、とでも言う時のような実にあっさりとした言い方
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
まるでボーリング・レーンの端からスプリットの7ピンと10ピンに話しかけられてるみたいだった。
村上 春樹 / 1973年のピンボール「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
「はっ、馬鹿か……」 眉間に皺を寄せ呪詛のように呟く
羽田 圭介「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
速射砲のような言葉の洪水
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
絹布の肌触りのような静かでやさしい語り口
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
一人で波のように切れ目なく喋った後
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
求めてるのはわたし自身じゃないのよ。わたしの中の『妊娠』が求めてるの。ニ・ン・シ・ンなのよ。だからどうにもできないの」 @略@『妊娠』という言葉を、グロテスクな毛虫の名前を口にするように、気味悪そうに発音した。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
部活動の練習内容が命じられるような軽々しさだった。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
車のギアが上がるように、どんどん口が滑らかになってくる。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
早口で、質問の矢によって、二十年以上付き合いのある友人を刺そうとしているかのよう
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
「いいか、よく聞いておけよ」まるでその一言でこの世のすべての法則を証明できるとでも言うような自信満々の声だった。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
居合抜きの稽古のような声
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
たった今土の底から立ち上がったようなくぐもった声
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
冷酷な検事が求刑を前にして急に愛想がよくなるように、言葉に丸みを持たせる
武田泰淳 / 風媒花 amazon
その他の感情を表す比喩表現
その他の感覚を表す比喩表現
その他の人物を表す比喩表現
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