日本語表現インフォ > 比喩表現の一覧 > の比喩 > 事件・事故の比喩表現
事件・事故の比喩を使った文章の一覧(48件)
鶏小舎に鼬(いたち)が入りこんだような騒ぎ
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団 (〔正〕) (文春文庫 amazon
深い疲労が海のように全身をおしつつむ
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
体内の膿でも出たように事件が連続して起こる
遠藤 周作 / 何でもない話 amazon
池田屋事件の飛報を耳にして、長州藩内は鼎の沸くようであった
子母沢 寛 / 新選組始末記 amazon
森じゅうがひっくり返るような騒ぎ
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
建物の焼け落ちる轟きと、物のはぜ飛ぶつんざくような響きが、怒涛のように揉み返す
山本 周五郎 / やぶからし amazon
窓から悪戯をしているように赤い舌が覗いたり隠れたりする
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
火事がホンの狂言のようにすぐ鎮まる
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
火の壁をくぐって、亡霊のような人影がもつれ合いながらよろめき出る
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
屋台骨が火の中へ、紙細工のようにヒラヒラと呑まれて消える
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
炎が、生きているように黄金色に光りながら家をのむ
中上 健次 / 枯木灘 amazon
疲労した巨大な河馬のように横たわった大工場
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
株式暴落のような深刻な騒ぎ
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
どうも政治家筋がからんでいるらしい。ときどき闇の中で金バッチがきらっと光るんです。警察というのはね、敏感なんですよ、この光に。ちょっとこれが光ると亀みたいに首をひっこめちまう。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
ビルの屋上から飛び降りる女が頭に浮かんできた。顔は恐怖に歪んで遠去かる空を見ている。手と足を泳ぐ時のように動かしてもう一度上へ上がりたいと踠(もが)いている。結んでいた髪は途中で解け水藻のように頭の上で揺れている、大きくなる街路樹や車や人間、風圧で捩(ねじ)曲がった唇や鼻、まるで暑い真夏に汗をびっしり掻いて見る不安な夢のような光景が頭に浮かんでくる。黒白のスローモーション・フィルムのような、ビルから落ちた女の動き。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
冷たい僕のからだで足の先だけが熱を持っている。時々その熱がゆっくりと頭まで昇ってくる。果肉を剥がした桃の種のような熱の核は、昇ってくる時、心臓や胃や肺や声帯や歯茎に引っ掛かる。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
延べ三千人の捜査員を投じた組織捜査の巨大な網が、たった一尾の魚を捕るために引き揚げられる
横山 秀夫 / 半落ち amazon
焼け跡から吹きつけてくるザラザラした異様な風は、まるで不快な固物の撫で回すような感触を持っていた。
井上 友一郎 / ハイネの月「日本の文学 64 井上友一郎」に収録 amazon
街の火を眺めていた。その火は、今遠く地の底から地上を呼ぶ太陽のように@略@感じられていたのだ。
石原 慎太郎 / 行為と死 amazon
遠い沖で小さい漁船が火事を起こして、まるで篝火(かがりび)でも焚いているように真赤に燃え上がっているのが見えました。
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
焼け残りの庭木が五本か六本、半焦げで、掌みたいな変な具合に葉を茂らせてゐる。
丸谷 才一 / だらだら坂「横しぐれ (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
すずかけもすっかり芽ぶき、緑の美しい若葉が、火事の焔でゼラチンのように透けてみえた。
林 芙美子 / 松葉牡丹「林芙美子全集〈第13巻〉晩菊・松葉牡丹 (1951年)」に収録 amazon
地獄の釜の蓋を開けたような騒ぎになる
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
人の表皮細胞は毎日四千万個ずつ失われていくのだという事実を天吾はふと思い出した。それらは失われ、はがれ、目に見えない細かい塵となって空中に消えていく。我々はあるいはこの世界にとっての表皮細胞のようなものなのかもしれない。だとすれば、誰かがある日ふっとどこかに消えてしまったところで不思議はない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
秘密のスイッチをオンにするようなかちんという音が耳元で聞こえ、それから天吾の頭の中で何かがとろりと揺れた。まるで粥を入れたお椀を斜めに傾けたときのような感じだ。脳味噌が揺れているんだ、と天吾は思った。それは天吾にとって初めての体験だった――脳味嗜をひとつの物質として感じること。その粘度を体感すること。(家の外で鳴く)フクロウの深い声が耳から入って、その粥の中に混じり、隙間なく溶け込んでいった。@略@彼の脳味噌はとろりと重く、原始の海のように生命の萌芽を湛えていた。しかしそれは彼をどのような地点にも導かなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
あなた方は最前線に迷い込んで、地雷原に足を踏み入れてしまった民間人のようなものです。前にも進めないし後ろにも下がれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
深い霧がかかっていたせいで、よく見えなかったかもしれませんが、実際には崖っぷちの、あとほんの数センチのところまで、あなた方は歩を進めていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
家宅捜索に乗り込むように、車内を探りはじめた。 ミミズに大量の蟻がどっと纏わりつき、一気に解体するかのような、手際の良さとおぞましさ、問答無用の強い力を感じる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
大へんな人気をあおって初日は小屋の割れるようなさわぎになった。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
家が燃え始めると、ぽんぽん弾薬が爆竹のようにいつまでもなり出すのです。
火野 葦平 / 麦と兵隊 amazon
煮えかえるような騒ぎ
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
豆でも挽き立てるような騒ぎが湧き上る。
金 史良 / 光の中に amazon
蜂の巣をつついたような大さわぎ
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
トラブルは雨のように空から降ってきた
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
熟れすぎたトマトのようにつぶれてしまった筋肉
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
RV車が飛び出してくるのを雪子は確認した。左手の小さな小道から、それこそ示し合わせたように、出現した。巨大猪のような顔に見えた。野蛮な図体が雪子の運転する車に向かってきた。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
比喩表現のカテゴリ