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失敗・損失の比喩を使った文章の一覧(42件)
火のついている内輪もめに油をそそぐようなもの
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
毛糸がほつれるように次から次へと問題が現れる
阿佐田 哲也 / 麻雀放浪記〈1〉青春篇 amazon
乾し草の中からピンを捜し出すのと同じくらい厄介な問題
ミッシェル・ルブラン / モンタージュ写真 (1963年) amazon
歯車が食い違ったようなとどこおり
小島 信夫 / アメリカン・スクール amazon
心の中に柵を設けて、真実を寄せつけまいとする
マイ・シューヴァル / バルコニーの男 amazon
木から落ちた猿のようにすごすごと家へ帰る
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
幼稚園にいきたての子どものようにかわいい失敗
灰谷 健次郎 / 太陽の子 amazon
不安な赤いシグナルをめがけて突進しているような経済界の変動
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
蓋をされて、紐でしばられて、金庫の中に入っている。誰ももうほじくりかえしたりしない。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
数式の世界に逃げ込むことによって、現実というやっかいな檻を抜け出すことができた。頭の中のスイッチをオンにさえすれば、自分がそちらの世界に苦もなく移行できるという事実に、小さい頃から気づいていた。そしてその限りのない整合性の領域を探索し、歩きまわっているかぎり、彼はどこまでも自由だった。彼は巨大な建物の曲がりくねった廊下を進み、番号のふられたドアを次々に開けていった。新しい光景が眼前に開けるたびに、現実の世界に残してきた醜い痕跡は薄れ、あっさりと消え去っていった。数式の司る世界は、彼にとっての合法的な、そしてどこまでも安全な隠れ場所だった。天吾はその世界の地理を誰よりも正確に理解していたし、的確に正しいルートを選ぶことができた。誰もあとを追いかけてくることはできなかった。そちらの世界にいるあいだは、現実の世界が押しつけてくる規則や重荷をきれいに忘れ、無視することができた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
物ごとは望むとおりには進まなかった。世界はむしろ、彼がどんなことを望まないかをよく心得ているようだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ものごとはえらく入り組んでいる。混線した電話回線を通して話をしているみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
暗がりに巣を張り巡らせた毒々しい血吸い蜘蛛のように
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
論理の通らないことを論理的に説明するのはとてもむずかしい。六本木のオイスター・バーで本物の真珠に巡り合うくらいむずかしい。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
ブランド狂いだった私の、愚かしさと虚栄の記念碑的存在。
中村 うさぎ / ショッピングの女王 amazon
自分が慎重に運んでいた卵がすべて落ちて、割れたような感覚に襲われ
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
高所での綱渡りで、足を踏み外したかのような、寒気があった。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
漁師が網を張るように、塙の帰宅を待ち伏せ
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
もつれた糸のような困難
丹羽 文雄 / 顔 (1963年) amazon
強盗に身を落して、利欲のために人を殺してはいるものの、悪鬼のように相手の骨までは、しゃぶらなかった
菊池 寛 / 恩讐の彼方に amazon
思い通りのぞみ通りに事が成ったためしがいつあったのだ?どれもこれも、みんなもう少しというところで砂のように崩れ煙のように消え失せてしまった。
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
いくつかの座席を越えて便所へ辿りつくことは、アルプスの峻嶮(しゅんけん)を越えるが如きものだ。
小島 信夫 / 汽車の中「新潮日本文学 54 小島信夫集 小島信夫集 抱擁家族 アメリカン・スクール 吃音学院 他」に収録 amazon
困難が壁のように立ち塞がる
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
これでは翼をもがれた鳥も同然である。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
手が震える。必死にイアフォンのコードを引っ張り耳に突っ込む。麻薬中毒がドラッグを求める姿と似ていた。不安感が自分を押し潰す前に、クスリを投与しなくてはいけない。クスリは耳から注入する。ウォークマンの再生ボタンを押した。 病院の名は、「ビートルズ」だ。この場合の薬剤師はきっと、「ジョージ・ハリスン」で、薬の名前は、「HERE COMES THE SUN」だった。 ボリュームを上げ目を閉じ、じっと聴く。「It's All Right」と繰り返される。豊田はそれを自分の中で何度も繰り返した。「大丈夫だ。大丈夫だ。It's All Right」と繰り返し、不安感を取り除いていく。二回同じ曲を聴く。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
入口があって出口がある。大抵のものはそんな風にできている。郵便ポスト、電気掃除機、動物園、ソースさし。もちろんそうでないものもある。例えば鼠取り。@略@後足を針金にはさんだまま、鼠は四日めの朝に死んでいた。彼の姿は僕にひとつの教訓を残してくれた。 物事には必ず入口と出口がなくてはならない。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
長い間こんな不自然な身体で生活してきましたから、いろいろな部分に無理がたまっているんです。みかん箱の中のたった一個の腐ったみかんが、周りの元気なみかんを全部腐らせてしまうようなものですね。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
その他の感覚を表す比喩表現
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