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人生の比喩を使った文章の一覧(114件)
われわれの日々には明るいところもあり、暗いところもあり、また緑に輝く日もあれば褐色ににごった時期もある
池澤夏樹 / 真昼のプリニウス amazon
「人生はビスケット缶だと思えばいいのよ@略@ビスケットの缶にはいろんなビスケットがつまってて、好きなのとあまり好きじゃないのがあるでしょ?それで先に好きなのどんどん食べちゃうと、あとあまり好きじゃないのばかり残るわよね。私、辛いことがあるといつも思うのよ。今これをやってくとあとになって楽になるわって。」
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
私たちは不完全な世界に住んでいる不完全な人間なのです。定規で長さを測ったり分度器で角度を測ったりして銀行預金みたいにコチコチと生きているわけではないのです。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
人生の網の上を巧妙に歩く
中村 真一郎 / 女たち amazon
幻覚の中を歩いているように日が過ぎる
伊藤 整 / 青春 (1960年) amazon
糸巻きの糸がだんだん減って行くように、生命の糸を繰り出し、今その終りに近づく
壷井 栄 / 大根の葉 (1960年) amazon
最後のチャンスに自分の生命の火を賭ける
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
渦巻く運命の潮が寄せてくる
獅子 文六 / てんやわんや amazon
春の野に匂う花粉のように、肉眼では見えない匂いのような美しさを人生に漂わせる
川端 康成 / 掌の小説 amazon
日毎に老いの傾斜を転げ落ちる
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
母親のない身の上は大海に漂う一葉舟にもひとしい
福永 武彦 / 風のかたみ amazon
天上から地獄へ投げ落とされた堕天使のように堕落する
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
最後のチャンスに自分の生命の火を賭ける
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
人生は短いかげろうのようなもの
井上 ひさし / モッキンポット師ふたたび amazon
人生の舵をしっかり握って手放さない
久間 十義 / ヤポニカ・タペストリー amazon
自分に迫る運命を男らしく肩に担い上げる
有島 武郎 / 小さき者へ amazon
自分をとり巻く若さという硝子のようなもの
伊藤 整 / 青春 amazon
白かった肌が、白布が日ごとに黄ばんでいくように少しずつ飴色に濁っていく
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
煎り豆に花が咲くようなことがそう度々あるはずがない
幸田 文 / おとうと amazon
牛馬のように働き、牛馬のように死んでいく
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
空想の虹に背を向ける
ジュール・ルナール / にんじん (1950年) amazon
繭(まゆ)の中で眠っている蛹(さなぎ)の生活のような半生
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
束の間にひらけた人生の小春日和
久間 十義 / ヤポニカ・タペストリー amazon
自分の境遇が、大川の満潮時分に棒杭のあたりに漂う塵あくたのように思える
今 日出海 / 天皇の帽子 amazon
一人一人にとって生死にかかわることが、暦の移ろいのように、坦々と動いていく
渡辺 淳一 / 白き旅立ち amazon
うすい磁器のようにこわれやすい運命を背負う
司馬 遼太郎 / 殉死 amazon
生ける屍のような毎日を鄙(ひな)びた田舎の旧家で送る
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
長い歴史を持っている人類は、今はもう因習の縄で木に縛りつけられた死骸になってしまっている
川端 康成 / 掌の小説 amazon
人生は運命の織りなす不思議な模様
ダニエル・デフォー / ロビンソン・クルーソー amazon
人生はB級映画のようなもの。途中で席を立とうとは思わないが、かといって二度と観たいとも思わない。
小林 信彦 / 世界でいちばん熱い島 amazon
人生は複雑な楽譜のようだ、とつくるは思う。十六分音符と三十二分音符と、たくさんの奇妙な記号と、意味不明な書き込みとで満ちている。それを正しく読み取ることは至難の業だし、たとえ正しく読み取れたとしても、またそれを正しい音に置き換えられたとしても、そこに込められた意味が人々に正しく理解され、評価されるとは限らない。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
俺が思うに人生ってのは、結局のところギャンブルなのよ。どんな仕事をして、どんな女の惚れて結婚して、その間に生まれたガキが熱海旅行に連れてってくれるか、夜中に突然バットで襲いかかってくるか、壮大なるギャンブルなのよ。それを自分でコントロールできるほど甘くないのよ、人生は。神様が投げたサイの目に従うしかないんだから。それが丁と出るか半と出るか、うちら人間にできることは、両手合わせて拝むだけ。だから勝ち組と負け組とかも本当はないんだよ。
劇団ひとり / 陰日向に咲く amazon
何処にあるのかは誰にもわからない。まだ大丈夫だろうと思っている、そして突然その分水嶺がやってくる。だれにもわからない。あるものは十二歳でピークに達する。そしてあとはあまりぱっとしない人生を送ることになる。あるものは死ぬまで上り続ける。あるものはピークで死ぬ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
振り返ってみると、それは人生ですらないような気がする。少し起伏はあった。ごそごそと登ったり降りたりはした。でもそれだけだった。殆んど何もしていない。何も生み出していない。誰かを愛したことはあったし、誰かに愛されたこともあった。でも何も残っていない。奇妙に平坦で、風景が平板だ。まるでビデオ・ゲームの中を歩いているみたいな気がする。パックマンみたいだ。ぱくぱくぱくと迷路の中の点線を食べていく。無目的に。そしていつか確実に死ぬ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
一人になると、僕の回りの光の色や風の匂いまでが僅かに--しかし確実に--変化したように感じられた。@略@僕は急に何も考えられなくなってしまった。頭の中で急速に重力が変化してしまったような感じがした。僕の思考はその重力の変化に上手くついていくことができなかった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
ホテルのカウンターで毎日毎日働いて人生を無駄に磨り減らしていくだけ。@略@時々ホテルに飲み込まれちゃうような気がする(。略)境界線が見えなくなっちゃうの。私という存在やら感覚やら私生活やらがホテルという宇宙の中にひきずりこまれて消えちゃうの。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
彼は都会の土では萎れ、郷土でやっと息を吹き返す、かの植物にも似た自分の宿命を観念した
中山 義秀 / 厚物咲 (1955年) amazon
神が人生の試験台にたたきつけた哀れなモルモット、彼女
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
何年となく続いて来たこの平穏無事で、水蜜桃じゃないが、尻の方から腐って来たような気がしているんだ。
志賀 直哉 / 邦子「志賀直哉全集 〈第6巻〉 沓掛にて 豊年虫」に収録 amazon
新しい森に放たれた動物と同じだ。自分の身を護り、生き延びていくためには、その場所のルールを一刻も早く理解し、それに合わせなくてはならない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
急流を下るボートに喩(たと)えるなら、俺は今舵をとるのに忙しくて、両手がはなせないんだ。だから君にオールを渡している。もし君ができないというのであれば、ボートは転覆し、俺たちはみんなきれいに破滅するかもしれない。@略@ボートから降りるのなら、もっと前に、流れがまだ静かなうちに降りるべきだった。@略@急流下りを楽しもう。そして滝の上から落ちるときは、一緒に派手に落ちよう。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
私の人生は実際には十歳から開始したのだ。それより前のことはすべて惨めな夢のようなものに過ぎない。そんな記憶はどこかに捨て去ってしまおう。しかしどれだけ努力しても、ことあるごとに彼女の心はその惨めな夢の世界に引き戻された。自分が手にしているもののほとんどは、その暗い土壌に根を下ろし、そこから養分を得ているみたいに思えた。どれほど遠いところに行こうと試みても、結局はここに戻ってこなくてはならないのだ、と青豆は思った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
あゆみは致死的な渦巻きの中心に向かって緩慢な、しかし避けることのできない接近を続けていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ある年齢を過ぎると、人生というのはものを失っていく連続的な過程に過ぎなくなってしまいます。@略@肉体的な能力、希望や夢や理想、確信や意味、あるいは愛する人々、そんなものがひとつまたひとつ、一人また一人と、あなたのもとから消え去っていきます。@略@あなたはもうそろそろ三十歳になる。これから少しずつ、人生のそういう黄昏{たそが}れた領域に脚を踏み入れようとしておられる。それが、ああ、つまりは年をとっていくということです。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
目を閉じて、一瞬のあいだに長い歳月を振り返り、見渡した。高い丘に上り、切り立った断崖から眼下に海峡を見渡すみたいに。彼女は海の匂いを感じることができた。深い風の音を聞き取ることができた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
このしみひとつない真新しい部屋にいると、自分が記憶と個性を剥奪された匿名の人間になったような気がした。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
人は希望を与えられ、それを燃料とし、目的として人生を生きる。希望なしに人が生き続けることはできない。しかしそれはコイン投げと同じだ。表側が出るか裏側が出るか、コインが落ちてくるまではわからない。そう考えると心が締めあげられる。身体中の骨という骨が軋んで悲鳴をあげるくらい強く。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
断崖に向かって走るレミングの群のように、私の買い物は破滅に向かって突っ走るのだ。
中村 うさぎ / ショッピングの女王 amazon
同じ人間が二本の映画でまったく別の人間を演じているのをながめるような違和感。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
サッカーで言えば、密集したゴール前にどういうわけかぽっかりとスペースが空き、そこに飛び込んできた気紛れなストライカーが点を決める、そんな具合に、織田一真は交際をはじめていた。あんなに必死に警戒していたのに、とディフェンス陣は、僕も含めて唖然とした。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
「ほとんどベルトの試着」のような状態で、王者陥落
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
橇(そり)で雪の坂道を下るような、スイスイした楽な暮し方
石坂 洋次郎 / 颱風とざくろ amazon
表情というやつは、生活が刻んだ年輪のようなもの
安部 公房 / 他人の顔 amazon
急な傾斜面に立っているような、いまにも転落して行く、安定のない生活
林 芙美子 / 浮雲 amazon
一生この家に年老いて家霊のようになって死んで行く
円地 文子 / 女坂 amazon
齢が遠慮なく自分の体を侵蝕している
大岡 昇平 / 花影 amazon
枯木のごとく、死灰のごとく、犬のごとく、てんとう虫のごとく暮したなら、生は無駄であろう。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
娘は何らの制肘(せいちゅう)を知らず、ただ草のように茫然と伸びた。
森田 たま / もめん随筆 amazon
まるで猫の眼に射すくめられた鼠のように、心を屈ませて、青春のよろこびさえもなく、おどおどしながら、一生をすりへらしてしまったおみね。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
素人の天文学狂が新星を見つけるように、たまたま
伊藤 整 / 氾濫 amazon
通り魔のように、やって来た運命の悪戯(いたずら)
舟橋 聖一 / 木石 (1949年) amazon
株なんかにうつつを抜かして生涯を送った生活が、いまでは馬鹿な芝居をみて来たような気もする。
林 芙美子 / 松葉牡丹「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
七十年の生活をふり顧ってみると溜桶の蛆虫が桶の壁を攀じ登っては落ち、攀じ登っては落ちして依然として汚物の中から脱け出られなかった姿の厭しさが考えられる。
中山 義秀 / 厚物咲 (1955年) amazon
人間と云うものは、鳥影のようなもので、若い時の血気も、すぐまた年をとり@略@結局はうやむやで死ぬ。
林 芙美子 / めかくし鳳凰「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
「人生ってのはエスカレーターでさ。自分はとまっていても、いつのまにか進んでるんだ。乗った時から進んでいる。到着するところは決まっていてさ、勝手にそいつに向かっているんだ。だけど、みんな気がつかねえんだ。自分のいる場所だけはエスカレーターじゃないって思ってんだよ」
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
僥倖だ。干からびた田に、気紛れで降り注ぐ雨と同じではないか。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
くねくねと曲がる道を、まるで先の見えない自分の人生のようだと感じながら、進んでいた。緩やかに下っていくところなどはさらに似ていた。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
世の中にはルートばかりが溢れている、とね。そう言ったよ。人生という道には、標識と地図ばかりがあるのだ、と。道をはずれるための道まである。森に入っても標識は立っている。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
人生に抵抗するのはやめた。世の中には大きな流れがあって、それに逆らっても結局のところ押し流されてしまうものなんだ。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
年老いて死を迎えようとした時に一体僕に何が残っているのだろうと考えるとひどく怖い。僕を焼いた後には骨ひとつ残りはすまい。@略@祖母が死んだ夜、僕がまず最初にしたことは、腕を伸ばして彼女の瞼をそっと閉じてやることだった。僕が瞼を下ろすと同時に、彼女が79年間抱き続けた夢はまるで舗道に落ちた夏の通り雨のように静かに消え去り、後には何ひとつ残らなかった。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
配電盤、砂場、貯水池、ゴルフ・コース、セーターの綻び、そしてピンボール……どこまで行けばいいのだろうと思う。脈絡のないバラバラのカードを抱えたまま僕は途方に暮れていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
引き潮のように翳りゆく自らの人生
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
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