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雰囲気・空気の比喩を使った文章の一覧(53件)
生温かく湿った生き物のような夜の空気
松本侑子 / 植物性恋愛 amazon
「鱸(すずき)、けっこううまかったですよ」と僕は言ってみたが誰も返事をしなかった。まるで深い竪穴に小石を投げ込んだみたいだった。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
長らく人が立ち入っていない蔵のような陰鬱で黴(かび)臭い空気
七尾 与史 / 死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) amazon
娘の気持が暗くなると、家の中には雨洩りがするときに似た陰湿なものが漂いはじめる
有吉 佐和子 / 三婆 amazon
あたりの空気が飴のように粘りはじめる
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
あたりの空気が重みをもっていて、四方から圧し縮まってくるような息苦しさ
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
娘の気持ちが暗くなると、家の中には雨洩りがするときに似た陰湿なものが漂い始める
有吉 佐和子 / 三婆 amazon
宇宙がこの部屋ひとつになったような緊張が、部屋いっぱいに、はりつめる
坂口 安吾 / 散る日本 amazon
乾いた空気に扇を一振りしたような笑いが紛れ込む
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
緊張が森の樹々のようにびっしりたちこめる
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
家の空気が鉛のように重苦しい
内田 春菊 / ファザーファッカー amazon
空気が濃く重くドロリと液体化して、生温かい糊のようにねばねばと皮膚にまといつく
中島 敦 / 環礁 ——ミクロネシヤ巡島記抄—— amazon
澄んだ空気が冷たい水のように張りつめる
黒井 千次 / 群棲 amazon
その場の空気が、一瞬刃物のように光る
村松 友視 / 由比正雪 amazon
大気が油のように重くよどむ
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
ほんの毛筋ほど離れた気配
永井 路子 / うたかたの amazon
闇の中に氷のような殺気が走る
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
ナイロンの肌着や靴下のように、なよなとと滑っこい快さを感じさせる情緒
円地 文子 / 渦 amazon
谿谷(けいこく)にほとばしる清冽な水のような、勁(つよ)く奔流する情緒
円地 文子 / 渦 amazon
白けに白けて、空気がアイヴォリイ・ホワイトに近くなる
小林 信彦 / 神野推理氏の華麗な冒険 amazon
子供のころ、田舎のおじいさんの家に遊びに行って、古いお蔵を開けて嗅いだような、そんな臭いなの。いろんな古いものが混じり合って、じっと澱んでいるようなね。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
とても空気が重い。まるで鉛の箱に押し込められて海の底に沈んでいくような気がするの。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
彼が現われると有毒なガスのように暗鬱な空気が収容所に隈なく瀰漫(びまん)していった。
平林 たい子 / 大草原「日本の文学〈第48〉平林たい子,大原富枝 (1969年)地底の歌・秘密・桜・他 婉という女・大草原・他」に収録 amazon
この田舎びた大きな家の中には、先祖の霊の歩きまわる足音が絶えず聞えてくるとでもいうような憂鬱な空気が重くとざしていた。
石川 達三 / 三代の矜持 (1961年) amazon
反感や憤りが内へ内へと沈み込んで、二人の間の空気は、氷のように冷たくなった。
豊島 与志雄 / 理想の女 amazon
若い豹の毛皮にでも包まれているような、精悍で優婉な肌触りの空気
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集〈4〉 (ちくま文庫)」に収録 amazon
さかなのいろをした空気
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
空気ははっとするほど新鮮で、あたりには静寂が満ちていた。それにあわせて聴覚を調整しなおさなくてはならないほど深い静寂だった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
班内は全く陰うつで残忍な洞窟のようなところとなった。
野間 宏 / 真空地帯 amazon
家庭が枯れた畑のように感じられた。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
明るい筈の家庭内が陰気にしめりかえり、ぬるぬるとした蛇穴のようなむれ気が家内の隅々にたちこもっていて、すがすがした爽やかさはみじんも感じられない。
中山 義秀 / 醜の花「厚物咲・碑―他六篇 (1956年) (角川文庫)」に収録 amazon
鼻の穴からおなかの底まで、ずーっとしみわたって、まるで全身が透明人間になってしまいそうな感じ
小出 正吾 / ジンタの音「小出正吾児童文学全集 (3)」に収録 amazon
睫(まつげ)が凍った時のあの感触の、ひいやりした家庭
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
僕はしばらくそこに立って、景色に見惚れていた。風の音と、鳥の声しかない。息を吸い込めば、その音すら身体に取り込めそうだった。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
空気が重苦しくなった。立っている僕らが、それぞれ見えない綱を引っ張り合っているようだ。息苦しくなる。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
金魚が水面で口をパクパクさせている状態だろう。酸素が足らないのだ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
あたりの空気が静かに乾いたように明るい
川端 康成 / 掌の小説 amazon
その他の感覚を表す比喩表現
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