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言葉を交わすの比喩を使った文章の一覧(154件)
カバのあくびみたいに「べーつにー」と返事をする
岡田 なおこ / 薫ing(イング) amazon
あやつり人形みたいにとびあがって敬礼する
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
チョーチンアンコウのあくびみたいに「バー、カッ」と言う
岡田 なおこ / 薫ing(イング) amazon
思いつく言葉を掻き集めるようにして、とりあえずなにか言う
黒井 千次 / 春の道標 amazon
体の奥から一筋の糸を慎重に紡ぎだす感じで口を開く
高樹 のぶ子 / 光抱く友よ amazon
彼らはまるで涸れた井戸に石でも放り込むように僕に向って実に様々な話を語り、そして語り終えると一様に満足して帰っていった。@略@誰もが誰かに対して、あるいはまた世界に対して何かを懸命に伝えたがっていた。それは僕に、段ボール箱にぎっしりと詰め込まれた猿の群れを思わせた。僕はそういった猿たちを一匹ずつ箱から取り出しては丁寧に埃を払い、尻をパンと叩いて草原に放してやった。
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
明るく鮮やかな色を部屋中にぶちまけるように喋り続ける
鷺沢 萠 / 大統領のクリスマス・ツリー amazon
月の光のように、くまなく過去のことを告白する
白洲 正子 / 能の物語 amazon
おできから膿がほとばしり出るように、言わずにいられない
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
牧師が説教をしているような演説
西木 正明 / 標的 amazon
ホテルのおせっかいなボーイのごとく説明する
野坂 昭如 / アメリカひじき・火垂るの墓 amazon
彼女の上手な話は、メルヘンのように美しい
佐藤 春夫 / 佐藤春夫 amazon
じっと人の目を見つめ、切々と、縷々と、思いの丈を訴える
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
蚊の羽音くらいしかならない自己主張
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
嘘から真実への階段を一段ずつ上りつめるように、ゆっくりと喋る
連城 三紀彦 / 恋文 amazon
喉から腸(はらわた)を引きずり出すような覚悟で言う
萩原 葉子 / 蕁麻の家 amazon
よく予習してきた生徒のように喜々として答える
池澤 夏樹 / シネ・シティー鳥瞰図 amazon
剃刀で物を断ち切るように言う
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
聞こえよがしに言う声を潮騒のように聞く
永井 路子 / うたかたの amazon
周囲の人のやりとりを、異国の言葉でも耳にするような気持ちでぼんやりと聞き流す
三田 誠広 / 僕って何 amazon
謎めいた楽の音に聞き入るがように話に聞ほれる
真継 伸彦 / 鮫 amazon
言葉が急に固い木片にでもなったかのように咽喉につっかかる
黒井 千次 / 春の道標 amazon
気の抜けた風船玉のような返事
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
クライアントを説得するような熱意で女性を口説く
永倉 万治 / 星座はめぐる amazon
好奇心にかられた猫が獲物にじゃれるしつこさで聞きほじる
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
口上を読み上げるように料金システムの説明をする
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
声が投網のようにかぶさる
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
声が、氷を頬張ったように咽喉につかえる
泉 鏡花 / 高野聖・眉かくしの霊 amazon
断水になっていた水道の水が久しぶりに空気をおしのけて出てくるときのように、(言葉が)うまく出てくれない
小島 信夫 / アメリカン・スクール amazon
喋る言葉がぎごちなく、沈黙の中からそのつどどぎまぎと投げ出すよう
古井 由吉 / 杳子・妻隠(つまごみ) amazon
しゃべるコトバが早射ち二挺拳銃みたいになだれおちる
田辺 聖子 / 返事はあした amazon
喉もとにせり上がってくる熱い言葉のかたまりを、グラスの中の液体と一緒に飲み下す
落合 恵子 / センチメンタル・シティ amazon
心の内の泥のような言葉を吐く
梅本 育子 / 桃色月夜 amazon
ずっとたまっていたほこりをぽろりと払うように言葉を吐く
谷村 志穂 / ハウス amazon
言葉が羽搏(ばた)く鳥のように、いたずらにあちこちと見苦しく飛び廻る
伊藤 整 / 青春 (1960年) amazon
ざわざわと木の葉をかき乱しているふうな長ったらしい言葉
伊藤 整 / 青春 amazon
話がフランス刺繍の一針一針のように、細かく途切れなく連なって行く
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
好奇心にかられた猫が獲物にじゃれるしつこさで聞きほじる
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
ジャーナリストのような鋭敏さで状況を報告する
中村 真一郎 / 女たち amazon
一緒に食事をしていた坂本がそこで口を開いた。まるで洞窟の入り口を塞いでいる重い岩をどかせるみたいにおずおずと。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
でもそこで言葉が突然ふっと消えてしまった。遠くの方で誰かが電話のコードを引き抜いたような感じだった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
彼と橋本先生が触角の打ち合いのような教育論を交えていた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
運転手の話し方には何かしらひっかかるものがあった。常に大事なものごとをひとつ言い残したようなしゃべり方をする。@略@そして話し終えたあとに、含みのある小さな沈黙の塊が残った。車内の狭い空間に、それがミニチュアの架空の雲みたいにぽっかり浮かんでいた。@略@彼女はその小さな雲を追いやるように発言した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
書物の大事な一節にアンダーラインを引くように、運転手はゆっくりと繰り返した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
その質問は彼女の意識の領域のどこにも着地しなかった。それは意味性の縁を越えて、虚無の中に永遠に吸い込まれてしまったようだった。冥王星のわきをそのまま素通りしていった孤独な惑星探査ロケットみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
音量は変わらなかったが、前よりも声は冷たく硬くなっていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
「残念ながら、あまり好ましくないニュースがひとつある」と小松は言った。そしていかにも意味ありげに間を置いた。彼の一対の目が、暗闇の中でマングースの瞳のようにきらりと光るところが、電話口で想像できた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
まずは観測気球のような簡潔で中立的な声明を出しておいて、しばらく成り行きを見る。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「そう思うのは私ひとりじゃない」、彼女はその構文の精度を確認するみたいに反復した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
本のページのあいだにしおりをはさむみたいに、僅かに間をあけた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
とりわけその表現が天吾を戸惑わせた。そこには暗く湿ったぬめりに似たものが感じられた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
(末端にいる者には詳しい情報は降りてこない)たっぷりとした情報の水源も、私のところまで下りてくるころには、ぽつんぽつんというしたたりみたいなものに細っています。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「今夜のことはいっさい他言無用にしていただきたいのです」と坊主頭は言った。そして少し間をとり、そのメッセージが青豆(人名)の意識に定着するのを待った。撒いた水が乾いた地面にしみこんで、そのあとが消えてしまうのを待つように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
復唱した。「三かいベルをならしてそれからきる。そしてもういちどかけなおす。でんわをとる」古代の石碑の文句を翻訳しながら読み上げているように聞こえた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
受付の女性がやってきて、(毛嫌いしている)牛河という人があなたに会いに来ていると教えてくれた。彼女は歓迎されないニュースを伝える心優しい使者のように、申し訳なさそうにそう言った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
尋ねても教えてはもらえなかった。質問はたくさんあるのに、回答は少ない。不均衡な貿易みたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
二人のコミュニケーションには、接続の悪い長距離電話で会話をしているようなあやふやさがあった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「テンゴくん」と彼女は繰り返した。外国語の単語の発音を練習するみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女が求めているのは、自分の感情を天吾にしっかり送り届けるという、ただそれだけのことだ。それは小さな固い箱に詰められ、清潔な包装紙にくるまれ、細い紐できつく結ばれている。そのようなパッケージを彼女は天吾に手渡していた。 そのパッケージを今ここで開く必要はない、と少女は無言のうちに語っていた。その時がくれば開けばいい。あなたは今これをただ受け取るだけでいい。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
大きな碇のように重い説得力だ。すべての船はその大きさと重さに相応しい碇を持つ。@略@あの男は確かに大きな船を思わせる人間だった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
頭の中で繰り返し復唱した。修行僧が山のてっぺんにある岩の上に座って、大事なマントラを唱えるみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女の耳には質問の適正・不適正を感じ取る特別な弁がついていて、それが半魚人の鰓蓋(えらぶた)みたいに、必要に応じて開いたり閉じたりするのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「保険会社の調査員」と運転手はこれまで食べたことのない料理を味わうときのように、口の中で注意深くその言葉を繰り返した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
頭に浮かんだことを片端から口に出しながら考えをまとめていく傾向がある。そして(聞き手の)天吾はそんな彼のために、言うなればテニスの壁打ちボードのような役割を果たしてきた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
論理の通らないことを論理的に説明するのはとてもむずかしい。六本木のオイスター・バーで本物の真珠に巡り合うくらいむずかしい。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
混じり合った種類の異る豆を選りわけるみたいに、間を取って用心深く言葉を選んだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
何かを言わなくてはと天吾は思う。しかし言葉は出てこない。彼の唇は微かに動いて、相応しい言葉を空中に探し求める。でもどこにもそんなものは見つからない。さすらう孤島を思わせる白い吐息のほかに、唇のあいだから出てくるものはない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
私はうまく口を挟めない。縄跳びの八の字でうまく縄の中に入れないみたいに、口を開いたり閉じたりしているうちに、
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
外交そのものだぞ。宗教も歴史も違う、別の国だ、女房なんて。それが一つ屋根の下でやっていくんだから、外交の交渉技術が必要なんだよ。一つ、毅然とした態度、二つ、相手の顔を立てつつ、三つ、確約はしない、四つ、国土は守る。そういうものだ。離婚だって、立派な選択だ。ともにやっていくことのできない他国とは、距離を置くほうがお互いの国民のためだからな
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
会話は嚙みあいかたの良い歯車のようにじっくり進展してゆく。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
音楽の二重奏みたいに、「イタタタ」「何だそれが?」「イタタタ」「わからない」「何のために僕」「イタタタ」と心の中でくり返したのだが、この二重奏で正介は案外慰安を覚えた。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
返事は、気の抜けた風船玉のようだった。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
奴隷のように彼の御機嫌を伺わなければならなかった。
長与善郎 / 陸奥直次郎 amazon
笛を吹くような美しい会話
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
大助の話は、数発の花火がポンポン打ち上げられたようなもので、瞬間的であり、印象的であり、結局なんの事やら訳がわからなかった。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに (1954年) amazon
栄養失調四度の患者が枯竹のような全身の最後の力をしぼり出した声で
北川正夫 / 苦力に変して―ソ満抑留記 amazon
気合いをかけるような挨拶
井伏 鱒二 / 遥拝隊長「山椒魚・遙拝隊長 他7編 (岩波文庫 緑 77-1)」に収録 amazon
出来事を、例の子供のクレヨン画のように、単純な、線の強い描き方で報告をした。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
経をよむようにくり返した。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
宇宙は有限か、無限か、といきなりきかれて、私はうとうとしていたのをちょっとこづかれた感じだった。
尾崎 一雄 / 虫のいろいろ amazon
腫物(はれもの)を切開して膿を出したようで、さっぱりするかも知れない。
徳田 秋声 / 縮図 amazon
鰻みたいな言い分をいいたてるやつを詭弁家という。
高田 保 / 我輩も猫である amazon
提案は、太い杭がうちこまれたように、会議室の散漫な空気を揺すぶった。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
頭が歌いすぎた喉のように乾いてほてるまで議論し続けた
大江 健三郎 / 死者の奢り amazon
爪の垢ほどもない小さな話を炭団ぐらいにふくらませて左へ伝え
井上 ひさし / 腹鼓記 amazon
一つ一つの言葉に注意して、綿か布にくるんだように、あたりを柔かに話す
大仏 次郎 / 宗方姉妹 (1954年) amazon
サンショ、やっぱり山じゃ生きていけないんじゃないですか。このあいだ、喫茶店を出たところで、私はそう言いかけた。けれど、なぜか直前で唇の形が崩れ出し、私も今度ナポリタンにしてみます、と全然関係ないことを言って、そのまま別れてしまったのだった。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
質問を重ねると、また黙ってしまう。キーを叩いても叩いても、なかなか反応しない古いパソコンを思い出させる。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
「はい」日比野は兵隊が上官に答えるように、答えた。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
老犬は厳しい躾でも受けていたのか、豊田から離れることもなかった。若い頃に軍隊で訓練を受けた老人が、記憶力は落ちても行進の作法を忘れないのと似ているのかもしれない。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
会話の端々に非常にさりげなく、彼自身のポジティヴな情報を入れ込んでくる。まるでトイレや洗面台に小さな黄色い花のポプリをそっと置くかのように。私にこれだけは言っておかなきゃならないという項目を決めてあるみたいだ。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
追村は沈黙した。癇癪玉が顔全体で不完全燃焼を起こしている。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
他人事のように担任の言葉を聞き流していた。窓もドアも閉めきった小さな真四角の部屋に閉じこめられるような話だ。耳が受けつけない。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
彼女たちはいつも交互にしゃべった。まるでFM放送のステレオ・チェックみたいに。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
誰かが質問しても注意深く引き出しを開けるようにいつもさしさわりのない答を出してくる
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
「何考えてる。どうして黙ってる」 「絃には分かってもらえない感覚かもしれないけれど、いま頭の中が空白なの」 「じゃあ、さっき暗い顔になってため息ついていたけれど、何も考えてなかったんだね?」 「さっきまで考えていたんだけど、絃にかれた途端、真っ白になった」 絃と一緒にいると感情と思考が言葉ではなく音楽で流れて、感情に合わせてメロディが暗くなったり明るくなったりする。演奏がいきなり途切れた今、ホールには何の音もしない。さっきまでは暗いメロディが流れていたのと正直に言ってみたかったが、事実だとしても口に出した途端頭のたがが外れかけているふうに聞こえるのはわかっていたので、彼には言い出せなかった。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
自分の言うことを聞かなければお前の息子はだめになると言わんばかり、ちょっと押しの強い占い師にひっかかったような感じだった。
中島 京子「小さいおうち (文春文庫)」に収録 amazon
針小棒大、狩った鼠を熊と自慢するような
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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