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晴れ・曇りの比喩を使った文章の一覧(145件)
硫酸かなんぞの雨のようにひりひりとした日のひかりが雫(したた)りつづけている
三島由紀夫 / 花ざかりの森 amazon
窓からは一昔前のポーランド映画みたいにうす暗い光がさしこんでいた
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
灰汁を掻き回したような夕立色の曇天
室生 犀星 / 室生犀星作品集〈第9巻〉汽車で逢った女,餓人伝 amazon
曇天の日は時間が寒天の中で溶解してしまったよう
池田 満寿夫 / 10フランの恋人 amazon
くっきりとした朝の光がまるでテーブルクロスでも引き払うように闇を消し去るころ
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
「お日様ニコニコ」の絵のように、白い屋根屋根の上に日がかがやく
安岡 章太郎 / 安岡章太郎全集〈5〉質屋の女房,家族団欒図 amazon
引きしぼられた巨大な強弓が、はるかな宇宙の縁から、巨大な黄金の矢を放つ
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
差し込んでくる光を受け、ネクタイの木目の模様が水に浮く油のように変化してゆく
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
猛烈な音を立てていた土砂降りが、手綱を引いたようにやむ
カレル チャペック / 園芸家12カ月 amazon
砂山が、まぶしい日のうずまきを頂いている
室生 犀星 / 室生犀星作品集〈第9巻〉汽車で逢った女,餓人伝 amazon
雲母のようにきらきらと光る午後の光
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
病人の顔色のように空が暗くにごっている
山本 有三 / 波 amazon
落葉樹の古木がレースのような影をひろげる
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
草地から跳ね返る日ざしが、かすかに陽炎のようにゆらめく
日野 啓三 / 夢の島 amazon
地上の花を暖かい夢につつんでとろとろとほほえましめる銀色の陽炎
中 勘助 / 銀の匙 amazon
神様が贈ってくれたとしか思えないような快晴
山口 瞳 / 私本歳時記 amazon
日の光が、数知れず枝をさしかわしている低い灌木の隙間をようやくのことで潜り抜ける
堀 辰雄 / 風立ちぬ amazon
霧がたっぷりと月光を含み、羽二重のようにほの白く光っている
山手 樹一郎 / 山手樹一郎作品集〈第6巻〉久楽屋の娘 amazon
太陽がその反映を、赤い煙霧が漂うように直下の水に落とす
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
優しい春の日ざしが、爽やかな葉の透き間から、煙のように匂いのように流れ込む
佐藤 春夫 / 佐藤春夫 amazon
新緑を透した日の光が洪水のように一室に漲り渡る
田山 花袋 / 田舎教師 amazon
朝日を受けて天頂の相輪(そうりん)の金具のひとつひとつにきらめき渡り、後光のようにまばゆい光を投げかけている
宮尾 登美子 / 楊梅(やまもも)の熟れる頃 amazon
雲が出て、暗い中で粉雪でも醸しているように、日の目を密封する
夏目 漱石 / 門 amazon
天井の明かり取りから落ちてくる、淡い木漏れ日のような琥珀色の光
森 瑤子 / 傷 amazon
木洩れ日がまるで地肌を豹の皮のように美しくしている
堀 辰雄 / 風立ちぬ・美しい村 amazon
大きな紗で掩(おお)うたかと思うように薄い陰翳が世間を包む
長塚 節 / 土 amazon
遠い山々が雪が煙ると見えるような柔らかい乳色につつまれる
川端 康成 / 雪国 amazon
桃色真珠をばらまいたような暖かい光が広がる
林 京子 / やすらかに今はねむり給え amazon
ほんの少しだけ光が入ってくるはりぼての中で暮らしているような気分だった
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
どんよりと曇った灰色の朝だった。雪こそ降ってはいないが、空は継ぎ目ひとつなく灰色の雪雲に覆われ、街は隅から隅までたっぷりとその灰色にそめれられていた。目に映るものすべてが灰色だった。@略@地球の終わりを予言するような天気だった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
時刻は昼らしく、天井の明かりからまっすぐに日が差し込んでいた。光は何本かの太い柱となって床から直立し、その中で細かな塵が舞っているのが見えた。その光の柱は刃物で切り取られたようにくっきりと鋭角的で、南国の太陽の激しさを部屋の中に送り込んでいた。光のない部分は暗く冷やかだった。そのさまあまりにも対照的だった。まるで海底にいるみたいだな、と僕は思った。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
裸で朝の光の中に立った。まるで充電しているみたいに。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
地下倉のなかに夕暮は微細な霧のようにしのびこんでくる。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
空の底が突き抜けたような天気
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
家の軒端からのぼる朝の煙が、光を透して紫の羅(うすもの)のように柿の枝にまつわった。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
煙は(木漏れ日の)光の斑点を縫ってゆらゆら立ち迷ったかと思ううち、虹のように美しく消えていった。
檀一雄 / 花筐「花筐・光る道 他四編」に収録 amazon
晴れた天気の光の反射が、液体のように、みずみずしい閑寂の空気を室内に湛えている。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
大地から立ちのぼる炎に似たかげろう
北 杜夫 / 谿間にて「新潮日本文学 61 北杜夫集―楡家の人びと・他」に収録 amazon
太陽が、ギラギラとした光を投げていました。空は、水色というよりは、まぶしい大きな濃い火の粉の渦でした。
なだ いなだ / 童話ごっこ amazon
雲ひとつない深い空は、いちめんほのおのように大きくうずまき
松谷 みよ子 / 貝になった子ども amazon
空がキキョウの花びらのようにすみきって
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
人と別れた瞳のように、水を含んだ灰色の空
池谷 信三郎 / 橋 amazon
雪も歇(や)むんだ。空がさもがっかりしたようにぼんやりした。
長塚 節 / 土 amazon
赤みがかったぎらぎらした太陽が白樺の雑木林を踊るように照らしている。
林 芙美子 / 松葉牡丹「林芙美子文庫〈〔第9〕〉松葉牡丹 (1950年)」に収録 amazon
日は血のように毒々しく照った。
夏目 漱石 / それから amazon
銅(あかがね)を磨いたような朝日が、遠くの榎の大樹を染めていた。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
軽金属のような朝陽が林や畑のうえに輝いていた。
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (1960年) (新潮文庫)」に収録 amazon
西日が燃える焔のように狭い家中へ差し込んで来る
永井 荷風 / すみだ川 amazon
静かな蒼空は、澄んで、幅広い白金のような日光を漲らして
梶井 基次郎 / 三等船室「筧の話」に収録 amazon
正午の日光の明るさは孔雀が羽翅(はね)を拡げたようである。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
木の葉を洩れた日光の白い片が、その海の小魚のように隆の肩や、枝にかけた手に戯れた
野上 弥生子 / 哀しき少年「野上弥生子短篇集 (岩波文庫)」に収録 amazon
子供の爪の先きが人の肉体をこそこそと掻きおろしてくるようなきつい温かさを含んだ日光
田村 俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
静かな慰めるような秋の日光が樹木の間に差し込んで
長与 善郎 / 陸奥直次郎 (1950年) amazon
日光が妙に肌膚(はだ)へ揉み込むように暖かでかつ暑かった。
長塚 節 / 土 amazon
少しばかり零(こぼ)れてくる程度の日の光までが、黄燐をともしているようで、かび臭かった。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
晩春の午後の陽の光が引き潮のようにおとろえて行った
大江 健三郎 / セヴンティーン「性的人間 (新潮文庫)」に収録 amazon
朝日の光が靄のように街路に溢れていた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
庇をくぐり、廊下を通って、ようようそこまで辿り着いた庭の陽光は、もはやものを照らし出す力もなくなり、血の気も失せてしまったかのように、ただ障子の紙の色を白々と際立たせているに過ぎない。
谷崎 潤一郎 / 陰翳礼讃 amazon
あたりは夕日に近い真昼の陽で丹霞(たんか)の中に籠められたようである。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
曇った空からにじみ出た陽が、むしあつい靄のように古い町並に立ちこめていた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
ズボンもプレスがされていて、そこに窓から差しこんだ黄昏の陽が染みのようにあたっていた。
遠藤 周作 / 影法師 amazon
南へ低くなった日がそれを覗くように射しかけた。
長塚 節 / 土 amazon
夏の月光が洪水のように蚊帳の中に満ちあふれた。
太宰 治 / 斜陽 amazon
月の光が木の間から細い噴水のようにながれこんで
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
林の中にも月影が、松葉のように一ぱいこぼれ落ちている。
太宰 治 / お伽草紙 amazon
暗い部屋の中に、明るい光が平たい板のような形に射し込んできている。雨戸の隙間から射す朝の光だ。
吉行 淳之介 / 風景の中の関係 amazon
雨戸の隙間が、赤い色ガラスのような光をはなち
安部 公房 / 他人の顔 amazon
栗の木の茂った葉の間から針の先で突くようにぽちりぽちりと洩れて射す光
長塚 節 / 土 amazon
藪をすけてくる光の斑点が格子をとおして、晋作の心を百本の小針のようにちかちかと刺した。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
こずえの葉のあいだから、光のかけらが星のように光っていた。
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
日ざしの中では光の粒子たちが生き返ったように生気を帯びてはねまわり始めていた。
日野 啓三 / 夢の島 amazon
掃除の行きとどいた朝の郵便局の光線は、海の底のように静かで、平和であった。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
窓から流れこむ斜光線の明るい小川
開高 健 / 裸の王様「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
水のような夕やみが、ひたひたと水車小屋のなかにみちてきた。
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
空は赤白く曇って、山の端だけが、剥げたように透明になっていた。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
小笹の藪が傾いた日光を含んで金と緑の斑をつくっているのが、@略@今めいた織物の華やかな絵模様のようにみえて
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
日向の流れは珠(たま)を砕いたようにきらめき
大原 富枝 / 婉という女 (1963年) amazon
外は、一面クローム鍍金をしたように、光の中でかすんでいた。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
電気スタンドの覆(シェード)のように雨上りの太陽を青くすかしていた。
平林 たい子 / 桜「平林たい子全集 2」に収録 amazon
夕立ちが過ぎ去ると、あとには水浸しになった道路が残った。太陽が戻ってきて、その水を全力で蒸発させ、都市はかげろうのような蒸気に覆われた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
雨はもうすっかりあがっていたが、車はまるで水の中をくぐり抜けてきたみたいに全身から水滴をしたたらせていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
カーテンの隙間から光がくさびのように差し込んでくる。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
重い布がまくれると、朝の光が線となってこぼれ出した。「希望」というものをもし絵に描くのなら、こんなふうになるのではないかと思われるほど、光は薄暗い部屋をまっすぐにつきぬけていった。
林 真理子 / 京都「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
洗い立てのブナの葉、洗い立てのクモの巣、洗い立ての空、何もかもが輝いていて、まるで世界が生まれ変わったよう
細田 守 / おおかみこどもの雨と雪 amazon
正面の窓から陽が射し込み、麻生氏の言葉に太鼓判を押すかのように、白々と光った。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
石段の石の色が、こまかく灰が降ったように見えるのは、木かげを洩れる弱日(よろび)の色だ。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
売家は、早春の陽だまりの中でゆらめいている蜃気楼のように見えた。
大庭 みな子 / 啼く鳥の amazon
薄日が軒先の物干し竿の影ごと、進藤の膝に射して、すぐ吸い取られるように消えた。
永井 龍男 / 冬の日「一個・秋・その他 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
広い額は、昼の光の反映が波の退(ひ)いた砂浜のように淋しく角度をつけている。
岡本 かの子 / 春「岡本かの子全集 (第2巻)」に収録 amazon
沈みかけている秋の日を斜めに受けてその一部分が網の目のように透いていた。
伊藤 整 / 氾濫 amazon
日はうららかに川面を射て、八畳の座敷は燃えるように照った。
谷崎 潤一郎 / 刺青「刺青・秘密 (新潮文庫)」に収録 amazon
真夏の海岸のように陽にさらされた窓辺
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
時刻は午前十時を回り、海に洗濯された太陽も、徐々に使い古されて黄ばんでゆく。
綿矢 りさ / 仲良くしようか「勝手にふるえてろ (文春文庫)」に収録 amazon
高い窓からルーベンスの絵のように差しこんだ日の光が、テーブルのまん中にくっきりと明と暗の境界線を引いている。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
そんな土地にふりそそぐ陽光は、うまくできたたまご焼きのように、しあわせな黄色をしているものです。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
花曇りの空が林の上に眠っているように静か
三浦 綾子 / 続氷点(上) amazon
晩秋の薄日に照らされた集合住宅の屋根がキラキラとさざ波のように光って見えた
泉麻人 / ヴァンサンカン amazon
日よけは、重い金塊を支えるように緊張して激しい直射日光を支えている
三島由紀夫 / 真夏の死 amazon
靄は濃くなって、林の中に夕日が溶けた鉄のしずくのようにだった
小川国男 / 小川国夫作品集〈第2巻〉(平地の匂い) amazon
若葉の隙間をくぐり抜けた日差しが太い雨のように振っている林の小道
三浦哲郎 / ユタとふしぎな仲間たち amazon
その他の風景を表す比喩表現
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