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恋愛の比喩を使った文章の一覧(176件)
彼女はここ最近、「男はいねえか」「男はいねえか」とナマハゲのように喚(わめ)いている
七尾与史 / 死亡フラグが立ちました! amazon
慕情がフワフワと空に浮いている雲か霞のように捕捉しがたい状態
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
それから下着の中に彼女の細くてやわらかい指が入ってきて、@略@男の人のごつごつした指でやられるのとは全然違うのよ。凄いのよ、本当。まるで羽毛でくすぐられてるみたいで、私もう頭のヒューズがとんじゃいそうだったわ。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
いい男に足の裏を噛みつかれたみたいにいい気持ち
川端 康成 / 掌の小説 amazon
犬でも飼うことを決めるみたいに、あっさりと再婚する
連城 三紀彦 / 恋文 amazon
矢継ぎ早に接吻の雨を降らせる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
神に挑戦するような意気込みではじめた(激しい)恋愛
中村 真一郎 / 夜半楽 amazon
子供がおもちゃをもてあそぶように女の恥部をいじりまわす
渡辺 淳一 / 白き旅立ち amazon
さんざん棒でなぐられた犬みたいに震えて射精する
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
飢餓のように女を漁る
黒岩 重吾 / 背徳のメス amazon
ソーメンをチュルチュルとすするような、あっさりと軽やかな情事
胡桃沢 耕史 / ごきぶり商事痛快譚 (1) amazon
渇いた大地が降りそそぐ(雨の)しずくを受けるときの、銀の鈴を鳴らすような接吻
カレル・チャペック / 園芸家12カ月 amazon
子猫のように体をくねらせてキスを投げる
岡田 なおこ / 薫ing(イング) amazon
唇を奪うと、ゼラチン質を思わせる柔らかい肉が吸盤のように吸いついてくる
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
蓮の花が開くときのにするのに似た大きな接吻の音
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
絹のような軟らかい内腿が、羽布団のごとく男の腰骨から脾腹にまつわる
永井 荷風 / 腕くらべ amazon
熱い果実のような唇にディープなキスをする
五木 寛之 / ワルシャワの燕たち amazon
熱い唇の感触が火花のように貫く
福永 武彦 / 草の花 amazon
唇と唇が溶接したようにしっかりとくっつく
井上 ひさし / モッキンポット師ふたたび amazon
人生の落とし穴に足を踏み込む
川端 康成 / 掌の小説 amazon
憎しみと復讐心を縒(よ)りあわせた繊維のような血の通わない指一本で、結婚にぶら下がる
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
性交に没入すると肉食獣のようにふるまう女
小林 信彦 / 世界でいちばん熱い島 amazon
二人の仲が恋に発酵する
岡本 かの子 / 花は勁し amazon
ポッポと熱い恋の火を燃やす
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
所詮恋というのははかないものだ。雪の溶けるように、いずれ溶けてしまう。
福永 武彦 / 風のかたみ amazon
思慕をしっかり胸に抱きしめて、その暖かさに自足しているような稚純な恋心
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
ふところの淋しい恋愛というものは、出来の悪いマッチを擦るようなものだ。いつまでたっても燃え出すことがない。
庄野 潤三 / プールサイド小景・静物 amazon
遠ざかれば忘れてしまうに違いない希薄な愛情が、薄ら氷のようにきらきら美しい
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
二人の愛の熱度がシーソーのように上下する
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
そこには彼がこれまで感じたことのない激しい心の震えがあった。長いあいだ暮らしていた家屋に、実は秘密の小部屋が存在していたことを教えられたような気持ちだった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
彼女はつくるの上にまたがり、彼の硬く直立した性器を手にとって、手際よく自分の中に導いた。それはまるで真空に吸い込まれるように、何の抵抗もなく彼女の中に入った。それを少し落ち着かせ、息を整えてから、彼女は複雑な図形を宙に描くようにゆっくり上半身を回転させ、腰をくねらせた。長いまっすぐな黒髪が、鞭を振るうように彼の頭上でしなやかに揺れた。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
それは素晴らしい音楽と同じように心を慰撫し、肉を優しくほぐし、時の感覚を麻痺させた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
僕は本当に何もせずにそこにごろりと寝転んでいるだけだった。彼女が全部やってくれた。手際の良いガソリン・スタンドみたいだった。車を停めて鍵を渡せば、給油から、洗車から、空気圧のチェックから、オイルの点検から、窓拭きから、灰皿の掃除から、何から何までやってくれる。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
体の中心をきり揉みされるような快感が下半身に起こる。渦を巻いて頭まで昇り詰める。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
巡る血液と一緒に鋭い快感が全身を駆け、顳顬(こめかみ)に溜まっていく。一度からだに起こりこびりついた快感はどこにも出ていかない。火花に触れて火傷する皮膚と同じに顳顬の裏側の頭蓋に貼りつく薄い肉の層が音をたててただれる。そのただれに気付き快感をそこに集中すると、体中が全て巨大なペニスになったような錯覚に陥いる。女の中に入り込み、全身で暴れて女を歓ばせる小人になったみたいだ。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
焼けた石のように舌をただれさせる
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
脈を打って震えている僕のペニスを握りしめて、唇が僕の腹に触れる程深く含んだ。舌で押さえつけて舐め回し、噛み、ザラザラしたちょうど猫のように尖った舌で尿道を撫でる。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
閉じていく(エレベーター)のドアはまるでカメラのシャッターだ。姿が視界から消えても、安藤の脳裏には女のポートレートが鮮明に残った。@略@全体像が克明に記憶されてしまった。彼女の肖像は、いつまでたってもぼやけそうにない。
鈴木 光司 / らせん amazon
通りを眺めている。翳りのない宝石のような瞳で。わたしはどうしてもそれを自分のものにしたかったのだ。宝石と、その台座を。
椎名 桜子 / 家族輪舞曲(ロンド) amazon
年下の女性とセックスをするときには、そうはいかない。始めから終わりまで彼がいろんなことを考え、様々な選択をおこない、判断を下さなくてはならない。それは天吾を居心地悪くさせた。様々な責任が彼の双肩にのしかかってきた。荒海に乗り出した小さな船の船長になった気分だった。舵を取ったり、帆の具合を点検したり、気圧や風向きを頭に入れておかなくてはならない。自分を律し、船員たちの信頼を高めなくてはならない。細かいミスやちょっとした手違いが惨事へと結びつきかねない。それはセックスというよりはむしろ、任務の遂行に近いものになった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
「チベットにある煩悩の車輪と同じ。車輪が回転すると、外側にある価値や感情は上がったり下がったりする。輝いたり、暗闇に沈んだりする。でも本当の愛は車軸に取りつけられたまま動かない」
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
彼女は天吾の中にある一週間ぶんの性欲を、いつもどおり手際よく引き出し、てきぱきと処理していった。そして彼女自身もそこから十分な満足を味わった。帳簿の数字の複雑な操作に深い喜びを見いだす有能な税理士のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
鮮やかな色合いの羽をつけたいろんな鳥たちが、枝にとまってはまたどこかに飛び立っていくみたいに、女たちはやってきて、そして離れていった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女は天吾の勃起していないペニスを、眠り込んだペットを扱うみたいに手のひらに載せて、その重さを量りながら
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ふかえりはゆっくり前屈みになり、彼の顔に顔を近づけ、天吾の唇に唇をつけた。半開きだった唇が大きく開き、彼女の柔らかい舌が天吾の口の中に入ってきた。良い香りのする舌だった。言葉にならない言葉を、そこに刻まれた秘密のコードをそれは執拗に探し求めた。天吾の舌も無意識のうちにその動きに応えていた。まるで冬眠から目覚めたばかりの二匹の若い蛇が、互いの匂いを頼りに春の草原で絡み合い、貧り合うみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ふかえりはそのまま(騎乗位)の姿勢を続け、蜜を吸う虫のように、天吾の精液を最後まで効果的に搾り取った。文字通り一滴残らず。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
長いあいだずっと変わることなく僕の意識の中心にいた。僕という存在にとってのひとつの大事なおもしの役割を果たしていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
私の中に入って、思い切りかきまわしてほしい。スプーンでココアを混ぜるみたいに、ゆっくりと底の方まで。@略@内臓や子宮の奥まで。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
つがいの小鳥たちのように神経質に短くキスをしたりする。
村上 春樹 / 1q84「1Q84 BOOK 3」に収録 amazon
彼女を見ているだけで、彼の胸は重く厳しく締めつけられた。ふたつの壁のあいだに挟まれて身動きがとれなくなった人のように、そのまま進むことも退くこともできない。肺の動きが不規則でぎこちなくなり、生ぬるい突風の中に置かれたみたいにひどく息苦しくなった。これまでに味わったことのない奇妙な心持ちだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
その少女の留保のない率直な視線は、彼の身体からあらゆる力をもぎ取り、持っていってしまったようだった。なんという視線だろう。それは研ぎ澄まされた鋼の長い針のように、彼の胸を一直線に刺し貫いていた。背中まで突き抜けそうなくらい深々と。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
牛河はその少女から目をそらせることができなくなっていた。世界全体がそこでいったん動きを止められたみたいだ。風もなく、音は空気を震わせることをやめていた。(@略@少女は去ったが)牛河はなぜか床から腰を上げられなかった。身体が痺れたようになっている。ファインダー越しに送り込まれた彼女の鋭い視線が、行動を起こすのに必要とされる力を、牛河の身体からそっくり奪っていったようだ。(@略@少女が見えなくなると、)床を這うようにカメラの前を離れ、壁にもたれた。そして身体に正常な力が戻るのを待った。セブンスターを口にくわえ、ライターで火をつけた。煙を深々と吸い込んだ。しかし煙草には味がなかった。力はなかなか回復しなかった。いつまでも手脚に痺れが残っていた。そして気がつくと、彼の中には奇妙なスペースが生じていた。それは純粋な空洞だった。その空間が意味するのはただ欠落であり、おそらくは無だった。牛河は自分自身の内部に生まれたその見覚えのない空洞に腰を下ろしたまま、そこから立ち上がることができなかった。胸に鈍い痛みが感じられたが、正確に表現すればそれは痛みではない。欠落と非欠落との接点に生じる圧力差のようなものだ。彼はその空洞の底に長いあいだ座り込んでいた。壁にもたれ、味のない煙草を吸っていた。そのスペースはさっき出て行った少女があとに残していったものだった。@略@少女に、全身を文字通り揺さぶられていることに気づいた。彼女のみじろぎひとつしない深く鋭い視線によって、身体のみならず牛河という存在そのものが根本から揺さぶられているのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼女の目を見ていると、肋骨のあいだに畳針を刺しこまれたような鋭い痛みを感じた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
二人は口をきくこともなく、暗闇の中で時間をかけてお互いの身体を調べ合う。十本の指と手のひらを使って、何がどこにあって、どんなかたちをしているかをひとつずつ確かめる。秘密の部屋で宝探しをしている小さな子供たちのように、胸をときめかせながら。そしてひとつの存在を確かめると、そこに唇をつけて認証の封印を与える。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
男がちゅっと時子の白い足袋の先を吸った。「ああ」 時子の血液ばかりかすべての液体は、その足袋の上の続いて交差するところに流れるかのようだった。
林 真理子 / エンジェルのペン「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
君は二週間にいっぺん舞い込んでくる蝶々みたいでさ、僕のまわりをひらひら踊っててすごく可愛かった。
林 真理子 / 京都「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
恋をしたかったのだ。それも最適な場所で、最適な男と恋をしたかったのだ。京都は久仁子の好みに合い、高志は久仁子の好みに合った。なにもかもできすぎの舞台装置だったと、今さらながらため息がもれる。 その時だ。久仁子は耳をすませた。遠いどこかで、芝居が終る拍子木が聞こえたような気がしたのだ。
林 真理子 / 京都「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
平凡な庶民がマリー・アントワネットのごとく着飾ることを許される、一生一度の機会だぞ。
中村 うさぎ / 浪費バカ一代―ショッピングの女王〈2〉 amazon
人から愛されるということは、生ぬるい日向水(ひなたみず)に浸っているようなもの
福永 武彦 / 草の花 amazon
邦彦との関係に対して、浮き立つものを感じられなくなっていた。 期待に胸を膨らませて観に行った映画が、タイトルが映し出された時こそ感動が押し寄せてきたものの、上映時間が進むにつれ、「あれ?」と退屈を覚えずにいられなくなり、「いや、これから面白くなるはずだ」「だって、いい監督だもの」と自分に言い聞かせ、挽回を期待し、けれどそれでも気に入らない点ばかりが増していくような感覚だ。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
結婚は、蚕が成長して繭をくいやぶるように人間にとって自然なものであります
網野菊 / 風呂敷
唇を心の出先機関のように考えて、キスを拒む娼婦もいる。
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
人形のような花嫁ぶり
阿川 弘之 / 夜の波音 amazon
娘の頬に涙のようにおれの精液がとび散って光っている
大江 健三郎 / セヴンティーン「性的人間 (新潮文庫)」に収録 amazon
検印を押すようにキスをした。
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
世間の人は、結婚を、ゆるぎのない大きな石のように思っている
山本 有三 / 波 amazon
運命という河の中に踏み当り拾い上げた石のように、他にまぎれもなく、確かなものに感じられた
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
徳子の体を餅をこね回すようにこね回したい
井上 友一郎 / ハイネの月「日本の文学 64 井上友一郎」に収録 amazon
むず痒いような悦びと愛とが起って来るのであった。それは「新緑が胸の中に萌え出るような感じ」であった。
長与善郎 / 陸奥直次郎 amazon
清らかな小川のように陽の光に美しく輝き、風に吹かれると無数の優しい小波(さざなみ)を立て@略@そうしたものをこそ、愛であると思い込んでいたのです。
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
蓮の浮葉(うきは)のようなデリケートで艶冶(えんや)な花嫁姿
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
父親は電話でもかけるように母親の生殖器に口をつけ
芥川 龍之介 / 河童 amazon
その女子大学生を、彼は、自分の前方にかかっている虹のように空想した。
伊藤 整 / 氾濫 amazon
お玉杓子のような頭と尾を持った精虫の群
藤枝 静男 / 犬の血 amazon
接吻の味が十一氏の心に清涼な香水をそそいでくれるようだった。
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
満州の寒気にやられた正介は、肉体のそこまで萎縮して、冷凍魚なみの不能者(インポテンツ)になっていたのだ。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
劇烈な物語にふさわしくない子守唄のような愛撫
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
雨晴れて簑(みの)を脱ぎ、水尽きて舟を棄つるような気分で女に別れて
幸田 露伴 / 連環記 amazon
人工呼吸のようなキス
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
水仙のような、仄々とした接吻の味
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
愛の芽が須賀の中に芽ぶきはじめたのだ。
円地 文子 / 女坂 amazon
ロケットの発射とか花火とか、そんなものに似て、射精はお祭りのようなものだ。
村上 龍 / 受話器「トパーズ (角川文庫)」に収録 amazon
接吻を、春雨のように頭から浴びてみたい
なだ いなだ / 童話ごっこ amazon
冬の間は穴ごもりをして暮す蛇があるように僕の恋もじっと動かぬままに燃えていたのである。
宇野 千代 / 色ざんげ amazon
この男の射精には何の興奮もなかった。自動販売機のようだと思った。
村上 龍 / 受話器「トパーズ (角川文庫)」に収録 amazon
過ぎていく時を防ぐように重ねられた唇は離れなかった。
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
結婚して苔に湧く水のような愛情を、僕達夫婦は言わず語らず感じあっていた
林 芙美子 / 魚の序文「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
芋虫か何かのように、ベッドの上で動いている二人
庄野 潤三 / 鳥の水浴び amazon
新らしく着物を着変えるようにしか思っていない
横光 利一 / 悲しみの代価「日本の文学〈第37〉横光利一 (1966年) 悲しみの代価 日輪 上海 他」に収録 amazon
アンナは彼の無関心なペニスを乳搾りでもするように握りしめた。
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
子供をその温かい愛の翅(はね)で包むことが出来た。
加能 作次郎 / 世の中へ amazon
愛というものは、太陽のように明るく、輝かしく、神にも人にも、永遠に祝福されるべきもの
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
一日一日と、まるで仔犬が大きくなるように、愛も成長するものなのよ
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
蝶のようにすべての生命に祝福の接吻を与えながら楽しげに飛び廻る優しい「愛」
長与善郎 / 陸奥直次郎 amazon
「樹木か何か揺さぶられているような」自分の心持
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
ねえ。うーん、だって結婚って、相手のいいところも悪いところも飲みこんでいくんでしょ? もし悪いところのほうが多かったら、お互いタマッたもんじゃありませんよ。 @略@そうだ、おねえさん、蛇ボールの話、知ってます? @略@二匹の蛇がね、相手のしっぽをお互い、共食いしていくんです。どんどんどんどん、同じだけ食べていって、最後、頭と頭だけのボールみたいになって、そのあと、どっちも食べられてきれいにいなくなるんです。分かります? なんか結婚って、私の中でああいうイメージなのかもしれない。今の自分も、相手も、気付いた時にはいなくなってるっていうか。うーん、でも、それもやっぱ、違うのかなあ。違う感じもするなあ。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
今の自分の生活は、島流しと実は大差ないのではないか。こんな継ぎ目のないような生活をしていると、時間だけはたっぷりあるので、ついそんなしょうもないことを考えてしまう。果実のなる木があり、動物たちと好きなだけたわむれる時間があり、島は島でも楽園や極楽の類には違いないが、それでもたまに、無性に自分が元いたところが恋しくなってしまうのである。結婚したばかりの頃は、このままでは自分が駄目になると、島からの脱出をしばしば本気で考えもした。が、すぐに果実の奪い合いや、他人とのいざこざを思い出し、結局はこの極楽を捨てるほどの理由も見つからず、自分がどこか切り離された人間であるかのように感じながら、こうして今もふわふわ極楽の住人をしてしまっている。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
あいよ親父また来たよとのれんから顔を出すふうにベールを自分でめくりニに唇を押しつける。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
彼と結婚できたら私は夫を見張り続ける看守の花嫁になる。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
処女を捨てたいからって好きでもない人としたら、たぶん終わってすぐは普通だけど、だんだん取り返しがつかないほど後悔してぶつぶつひとりごとを言うようになり、自分の貞操を探して毎夜、上野公園の不忍池の辺りを這いずりまわる人生になるだろう。処女とは私にとって、新品だった傘についたまま、手垢がついてぼろぼろに破れかけてきたのにまだついてる持ち手のビニールの覆いみたいなもので、引っ剥がしたくてしょうがないけど、なんか必要な気がしてまだつけたままにしてある。自然にはがれたらしょうがないけれど、無理やり取っぱらうのは忍びない。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
気が合えば合うほど、二人の間の永遠に縮まらない距離が浮きぼりになる。気が合う、だからなに? ふつうよりちょっとだけ距離の近い平行線、なんの火花も散らなければ、なんの化学変化も起こらない。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
波に乗るような自然な流れで恋愛が結婚に行き着く
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
性欲を解き放ったあとの男の人は、すさんでいる、とまではいかないけれど、ぶっきらぼうな、少年のころの瞳に戻る。男の人たち自身は〝賢者モード〟なんて呼んでおちゃらけているけど、じっさいはどんなときよりも、一匹で山を歩くおおかみみたいな顔つきをしている。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
なんて傷つきやすい襞だろう みんな何をしているんだろう この孤独の海を どうやって泳いでいるんだろう 遊びすぎて炒めすぎて日々の油が焦げついてきた 倦怠は焦げついた油 慣れれば慣れるほど歪む 川の中で魚がいくら身をよじっても 川の流れる方向までは変えることはできない 本当はもう、どうでもいい。本当にもう、どうでもいい。 心のふちが乾いていく。ふちの薄い皮はめくれあがってきて、まんなかのジェル状のたまりだけが、まだなんとか透明な水色を保ってかさぶたとくっついているけれど、もう少ししたら真ん中の部分もすっかり乾いて、たまりがあったことさえ忘れてしまうのかもしれない。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
私の愛情は利己的だよね。注げば注ぐほど、うっとうしいだろう。内面だけではなく顔もこわくなってきてる。@略@あなたにしがみついている間に色んなものが私にぶつかってきて私の容貌を変えた。そして、あなたは泣き虫なゾンビに強い力で足首を摑まれたまま、足を引きずりながら歩いている。しがみつき続けるだけでもけっこう大変だから、しがみつくことが正しいかどうかなんていう根本的な問題を、考えてみるだけの余裕が今まで無かった。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
私たちは同じものを食べ、同じ寝床にもぐりこみながら、将来住みたい場所さえ違うんだから、今私たちがこの部屋にそろっていることは、ほとんど偶然みたい。 いつか人生が分かれてしまう 無理に束ねていた二つの茎が それぞれの太陽に向かって育ち始めてしまう だましだましでもいいから できるだけ長い時間を いっしょに生きたかった
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
軌道にもどった僕はまた宇宙のなか一つだけうかぶ恒星。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
男の人が首輪をつけた犬で私が鎖をしばりつけた杭になる、そんな関係性を築いたところで
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
からみあう見えない網のなかにとらわれて、息苦しくなります。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
一本一本の髪の毛をいとおしむような丁寧な愛撫
加賀乙彦 / 海霧 amazon
蝶の羽ばたきのように軽やかで可憐な愛撫
松浦理英子 / 親指Pの修行時代 amazon
指と指とは時計の歯車のように深く組み合わされて離れません
永井荷風 / 踊子 amazon
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