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家・建物の比喩を使った文章の一覧(139件)
四階建ての雑居ビルは築四十年以上。ひび割れが目立つ煤けた煤けた外壁には触手のようなツタがびっしりとからみつき不気味な雰囲気を醸し出している。今日も入り口に猫の死骸が転がっていたが陰気な風景にオブジェのようになじんでいる。
七尾与史 / 死亡フラグが立ちました! amazon
二階建ての物件は見るからに骨董品だ。階段も手すりも各部屋のサッシも赤茶色に錆び付いている。細いヒビが毛細血管のように走る壁は汚水が染みこみ、淀んだ色に染まっていて新築当時の色彩が判別できないありさまだ。
七尾与史 / 死亡フラグが立ちました! amazon
みやげ物の店と店の間に、ぽっかり穴があいたような静かな店がある
三浦 綾子 / 続 氷点 amazon
店が入店している年季の入った雑居ビルは東新宿の奥まった路地にひっそりと佇んでいる。大通りに出るとあれほど人間でごった返しているのにここだけは人を寄せつけない磁場のようだ。人通りがほとんどない。
七尾 与史 / 死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) amazon
村落の茅屋が落ち葉をもたげて出た茸のよう
長塚 節 / 土 amazon
巨大な要塞が、不吉な白蟻の塔のごとく夕暮れの淡い闇の中にくっきりとそびえ立つ
村上 春樹 / 螢・納屋を焼く・その他の短編 amazon
もう何年も前から人の住んでいないような荒れた翳(かげ)がにじんでいる建物の肌
原田 康子 / 挽歌 amazon
ブック・エンドを不意にはずした書籍のように、家々が倒れる
獅子 文六 / てんやわんや amazon
家全体が木管楽器となって悲しげな曲を奏でる
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
御伽噺の挿絵のような、一風変わった様式の家
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
ちまちまとしたペンションのようなカラフルな家
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
孤独地獄の闇に閉ざされたように暗く荒涼とした家
森村 誠一 / 深海の迷路 amazon
煤けた傘を伏せたような家の中
水上 勉 / 越前竹人形 (1980年) amazon
氷室のように湿っぽく暗く冷たい家
山本 周五郎 / やぶからし amazon
流れる霧の中で、別荘の建物が西洋の亡霊の家のように不気味
笹沢 左保 / 終りなき鬼気 amazon
暑さにへたった犬が、だらしなく舌の垂らしているように見えるアパート
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
華やかな色彩が童話風に輝く菓子屋
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
古びた寮の建物が、夜の色に包まれて暗く年取った大きな獣のように陰気くさい
佐藤 愛子 / 窓は茜色 amazon
やくような日の下に、渦を捲いて狂い出しそうな瓦の色
夏目 漱石 / 門 amazon
銀の鱗を並べたような人家の屋根が連なる
獅子 文六 / てんやわんや amazon
繁華街の中にぽっかりエアポケットような場所ができた感じの店
吉行 淳之介 / 夕暮まで amazon
本で作られた洞穴のような店内
三上 延 / ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ amazon
お伽噺に出てくる魔の城のような煉瓦の建物
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
夜の茅葺(かやぶ)き屋根の威嚇するような重さ
三島 由紀夫 / 潮騒 amazon
思春期の少女のようなみずみずしい感じのする街
五木 寛之 / ワルシャワの燕たち amazon
無人のように静まり返ったコンクリートの箱の中に、各戸のドアが貝の蓋のように閉じられている
森村 誠一 / 深海の迷路 amazon
傘を半すぼめにしてその中へくぐりこんだみたいな格好の家
水上 勉 / 越前竹人形 (1980年) amazon
シャッターが古びた厚紙のようにそりかえる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
一度カシャーンと砕け散ったあとのガラスを拾い集め、再びつなぎ合わせたような虹色のビル
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
やくような日の下、渦を捲いて狂い出しそうな瓦の色
夏目 漱石 / 門 amazon
城郭のように古い堅牢な艶光りのする木造家屋
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
礼拝堂のシルエットが棺のように黒い
加賀 乙彦 / フランドルの冬 amazon
蜘蛛のように小屋がけをする
中 勘助 / 銀の匙 amazon
病院の古風な赤煉瓦の建物が、中世の城砦(じょうさい)か牢獄のように冷え冷えと孤独に立っている
加賀 乙彦 / フランドルの冬 amazon
古い瓦屋根が慌てて化粧でもしたようにまぶしく光る
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
街が、自分を拒んでいるようによそよそしく見える
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
古自動車の解体された残骸が、近代の戦場のような無残な姿をさらす
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
白魚のくねったように細長く湾曲している町の姿
宮尾 登美子 / 楊梅(やまもも)の熟れる頃 amazon
館が往時の古城のように深い木立の中にある
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
中世の城のような賑やかな重層感をもって聳え立つ建造物
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
町屋根が、向こう土堤の下に墨をとかしたように沈んでいる
水上 勉 / 越前竹人形 amazon
十二月の雨に濡れた三本脚の黒犬みたいに哀しげ
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
東方の三博士が夜空の星を目標に簡単にエルサレムだかベツレヘムだかにたどりついたみたいに、
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
校舎の屋根の下に入り、雨と風を避けると、空に浮いた飛行船の影に包まれているような感じがした。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
軒下に、貯水槽を伏せて、トタン板がかぶせてある。それに雨垂れが落ちかかって、お会式の太鼓のように響く。
上林 暁 / 聖ヨハネ病院にて amazon
うすよごれのした人間が蠅のようにたかっている屋台
石川 淳 / 焼跡のイエス (1949年) amazon
蔦の絡まるレンガ造りの西洋建築は、よくいえば文化財的な価値を持った豪邸。悪くいえば朽ち果てつつある過去の遺物のようだ。
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで amazon
西洋式の甲冑やら象牙やら鹿の剥製やらが飾られ、住人の趣味の悪さをこれでもかと誇示している。
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで amazon
この一角に足を踏み入れると、時間の歩みが少しばかり遅くなったような気さえする。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
それは地方都市の近郊によく見かける、二階建ての安普請のアパートだった。比較的最近に建てられたものらしいが、既にあちこちで経年劣化が始まっていた。外付けの階段は音を立てて軋み、ドアの建て付けは悪かった。重いトラックが前の道路を通ると、窓ガラスがかたかたと震えた。壁も見るからに薄く、どこかの部屋でベース・ギターの練習でもしたら、建物全体がサウンドボックスになってしまいそうだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
アパートを出入りする人間は一人もいなかった。公演が不入りのうちに終わり、誰からも見捨てられ忘れられた舞台のように、玄関は無人のまま静まりかえっていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
霧の底に沈んで鋼鉄のように青ざめた町
ウィリアム・アイリッシュ / 黒いカーテン amazon
小さな門があるだけの、古いアパートだ。こんにゃくを横向きに立てたような形をしている。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー 角川文庫 amazon
もとの家老とかの屋敷を買い入れて、そのまま開業したという話だが、なるほど見かけからしていかめしい構えだ。家老の屋敷が料理屋になるのは、陣羽織を縫い直して、胴着にするようなものだ。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
黒く錆び果てた巨大な金無垢の碇のように沈んでいた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
丘つづき、空と、雑木原と、田と、畑と、雲雀(ひばり)との村は、実に小さな散文
詩であった。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
自分に向って生きもののように大きく全身を開いているのを感じた。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
氷屋が砂漠の緑地のようにわずかに涼しく眺められる。
水上 瀧太郎 / 山の手の子「俤 (百年文庫)」に収録 amazon
千代紙細工のような、不思議な書院造りだった。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
講堂の時計塔が霧に包まれ、城のようだった。
大江 健三郎 / 死者の奢り amazon
売家は、早春の陽だまりの中でゆらめいている蜃気楼のように見えた。
大庭 みな子 / 啼く鳥の amazon
夜の別荘群はまるで墓のように暗く、ぽつりぽつりと整った形で並び、森林にひそんでいた。
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
普門寺は日だまりに転び寝したような閑寂さの中に古りさびていた。
石川 達三 / 日蔭の村 amazon
金閣そのものも、時間の海をわたってきた美しい船のように思われた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
大森林の大木のように日光を吸収して枝をひろげ葉をひらいて行く高層建築の林立。
石川 達三 / 日蔭の村 amazon
大木の日蔭にある草が枯れて行くように小河内は発展する東京の犠牲になって枯れて行くのである。
石川 達三 / 日蔭の村 amazon
編笠(あみがさ)を被せたような藁屋根
火野 葦平 / 麦と兵隊 amazon
高いビルディングの層が凹凸の線を空に描いて、削りたてた丘のようにつらなり
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
まるで軍艦みたいな建物がふえている。
林芙美子 / 馬の文章「(003)畳 (百年文庫)」に収録 amazon
明るい筈の家庭内が陰気にしめりかえり、ぬるぬるとした蛇穴のようなむれ気が家内の隅々にたちこもっていて、すがすがした爽やかさはみじんも感じられない。
中山 義秀 / 醜の花「厚物咲・碑―他六篇 (1956年) (角川文庫)」に収録 amazon
丁度枕元をすり足で人が通るような森閑とした家構えで
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
地面に這いつくばるように立っている沼田の小さい家は、黄色く灯をともしていた。
吉行 淳之介 / 闇のなかの祝祭 amazon
小路の突当りにある、古い、巨きな空箱のような建物
稲垣 足穂 / 弥勒 amazon
陽炎(かげろう)のなかにトタン屋根もぎらぎらと漣(さざなみ)のようにさわいでいる。
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
はるかかなたの木立ちの頭に、小山のように高く出ているのは寺院の家根だ。
小杉 天外 / 初すがた amazon
ああ、もうおりんはいなくなってしまうのだと思うと村全体がかさかさに乾(ひ)からびてしまうような気がした。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
この小さい、蝦蟇(がま)がつくばったような平家(ひらや)
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
赤い屋根を翼のように拡げたサナトリウムの建物
堀 辰雄 / 風立ちぬ amazon
地べたにへばりついたようなトンネル長屋
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
私たちの田舎ずまいは、一銭銅貨の表と裏とのようにいろんな家畜小屋と背中合わせだった。
堀 辰雄 / 麦藁帽子 amazon
屋根瓦が高いところで、幽かに光る。数万の甍(いらか)に、数万の月が落ちたようだ
夏目 漱石 / 草枕 amazon
白堊(はくあ)が、ゴミゴミした黝(くろ)い甍(いらか)の上に聳(そび)え立っていた。それは、早春の土を破った、草の芽のような力を感じさせた。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
高柏寺の五重塔が森の上へ抜け出して針のようにとんがってる。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
水蜜、青リンゴ、メロン、西瓜と、一時の軍需工場を見るように、やさしい弾丸の列が、色とりどりに並んださまは、新鮮そのものの美しさだ。
永井竜男 / 風ふたたび「永井龍男全集 5 長篇小説 1」に収録 amazon
その建物は運命の悪意のように、いつも人待ち気に建っていた。
福永 武彦 / 草の花 amazon
雑居して、さながら人種の博品館のような感を呈していた。
井伏 鱒二 / ジョン万次郎漂流記 amazon
大きな鳥が羽根をひろげて伏したようなイギリス風の邸宅
伊藤 整 / 氾濫 amazon
あやしげな葭簀(よしず)張りの、からの小屋が立ち残っているだけで、それが馬のいない厩舎の列のようであった。
石川 淳 / 焼跡のイエス (1949年) amazon
牢獄(ひとや)のような大きな構造(かまえ)の家
水上 瀧太郎 / 山の手の子「俤 (百年文庫)」に収録 amazon
できものの瘡蓋(かさぶた)のような藁屋根
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
この小屋に一人でいることが、まるで深い井戸の底に嵌ったように、ぬき差しならない感覚に陥った。
田久保 英夫 / 海図 amazon
猫の額見たような小さな汚ねえ町でさあ。
夏目 漱石 / 草枕 amazon
遠い平原のはてに点在する村々が緑のかたまりのように見え
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
終電車はもうとうに終わっている。駅舎もホームも照明が落とされて暗い。駅周辺の商店も、住宅も、明かりの漏れている建物は少なく、林や畑はもとより夜の闇そのものみたいに真っ暗、というか真っ黒に映る。 そのなかをまばらな街灯が繫いで示す道は細く頼りなく曲がりくねり、今は寝静まっているこの街の人々の住まいと住まいを結びながら闇に突っ込んだように途絶えたり、明るいオレンジ色の街灯とともに北側を太く力強く走る国道に届いたりした。 その国道こそ時折トラックなどが走ってきて去っていき、動きの乏しいこの町の夜景が、時間の止まった静止画ではないことを気づかせてもくれるのだったが、南側の畑が広がる間の細い道路を移動する自動車の光があると、むしろ時間と空間を超え来た物体を夜空に見ているような錯覚に陥った。
滝口 悠生 / 死んでいない者 amazon
ひっそりと立つ塔の姿は、寂しげで、老いた人間のようだった。老年期を迎えた人間が「誰もわたしを覚えちゃいない」と呟く姿を思わせた。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
尖っている塔が見えた。夜に息を潜めて立つキリンのような格好をしている。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
双子のマンションと言われるのも分からないでもなかった。住宅街に細長いマンションが二棟並んで立っているのだ。無用のシンボルなのか給水用のタンクなのか、さもなくば住人専用のプラネタリウムでもあるのか、屋上には球体のオブジェが載っていて、建物全体が巨人の姿にも見える。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
人の気配がどこにもなかった。白くて綺麗なビルだらけの街は、画用紙で作った模型のような偽物じみた光景だった。 まるでゴーストタウンのような、ビルだけの世界。
村田 沙耶香「コンビニ人間」に収録 amazon
光る白い水槽のような店
村田 沙耶香「コンビニ人間」に収録 amazon
二十五年も前のことだから、給食室といってもこことは全然違っていた。木造で、古くて、暗くて、狭くて。家畜小屋みたいなものでした。
小川 洋子 / 夕暮れの給食室と雨のプール「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
彼女達の小さい家は、いかにも、女世帯らしいチャーミングな家だった。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
蚕が桑を食べている音が四六時中雨のようにしている家
小川国夫 / 小川国夫作品集〈第2巻〉(里にしあれば) amazon
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