服装・身なりの比喩表現の例文 一覧

髪をお下げにして白い羅（うすもの）の着物を着ている彼女はほのかな街の灯かげでは夕顔の花のようである。

若葉の影が令嬢のうしろの障子にうつって、花やかな振袖の肩や袂（たもと）にやわらかい反射があるように思える。髪も光っているようだ。

ながねん体にくっついていたために、そいつはいまでは僕の皮膚の一部のように感じられる

タクシーの座席の隅によりかかっていた。@略@彼女のミッドナイト・ブルーのワンピースはまるでタクシーの片隅の闇にあわせてあつらえたように見えた。

すそが朝顔の花のように広がったフレアースカート

注文して作らせたように帽子がぴたりと合う

差し込んでくる光を受け、ネクタイの木目の模様が水に浮く油のように変化してゆく

水晶の念珠が真ん中から二つに切れ、珠が霰（あられ）のように戛然（かつぜん）と四方へ飛び散る

生き物のようにあやしくおどり上がる裾さばきが乱れ

糸くずを蹴鞠のように丸める

いもりがはらわたをだしたような洋服

前の割れた光った薄いローブをうろこのようにきらめかせる

ハンガーを背負ってるような肩の張ったコート

雲母を薄く引き延ばしたような、光った白い衣装

罪人のようにオーバーの襟に顔を埋める

蝶々の翅（はね）のような大きな襟

アストラカンの毛皮帽の渦巻き毛に氷の玉ができて、宝石をちりばめた王冠のよう

京都の舞子の帯のようにだらりと結んだ、赤い反幅帯

しゅうしゅうと泣くように鳴る博多帯をきゅっと結ぶ

帯の下の背縫いが、絹糸に錘（おもり）をつけて垂らしたようにぴんと一本の直線になっている

旅行用のトランクが貝のようにパックリと口をあけている

宝石の光彩が虹のように輝く

ドレスの裾がこうもり傘のように広がる

風のように軽い下着

お釜を逆さに伏せたような山高帽子

真綿を紙のように薄く伸ばした綿帽子

剃刀の刃のようにプレスしたズボン

着物や帯を、自分の皮を一枚剥ぐような仕草で脱ぎ捨てる

他人の手の内側に指を入れていくような気味の悪い感触を味わいながら、炊事用のゴム手袋をはめる

土塊（つちくれ）のように汚い宝石の原石

にぶく光って美しさが遠くからやってくるような奥ゆかしい感じの首飾り

着物を何枚も重ねて着て、熊みたいにもこもこ膨れる

クラゲのようにただよいついた半透明のビニール袋

三色アイスクリイムみたいな派手なスポオツシャツ

白い絹の部屋着が太股の上で渦を巻いて、菓子の上に飾られる薔薇の花のクリームを思わせる

死んだ蝙蝠（こうもり）の翼のように黒いショオルを長々と垂れる

長い臑（すね）を包んだズボンが蝙蝠（こうもり）のように踊る

真っ黒い喪服のスカートが、階段の暗がりで夜の波のように光る

着物の上前の裾が、蝶々のようにハタハタと跳ね上がる

体にも心にも制服をまとう

今までしめていたネクタイは、テーブルの上に置いてみると、思っていた以上にくたびれて見えた。気がつかないまま続けていた不適切な習慣のようにも見える。

これから吹雪の中に出ていく人のように、帽子をしっかりとかぶり直し

水着は小さなハンカチをいくつか結びあわせたみたいなワイルドな代物だった。強い風が吹いたら飛ばされてしまいそうに見える。

抑圧された夢みたいに妙にリアルな非現実性を漂わせながら、僕の視界を右から左へとゆっくり横断して消えていった

ショルダーバッグが腰の辺りで振り子のように規則正しく揺れている

僕は彼女のブラウスの襟もとのレースを眺めていた。それは上品な動物の清潔な内臓のひだのように見えた。

まるで絨毯にできた小さな焦げ跡か染みのように、小さく丸められて遠くにある

長いスカートが波のように揺れる

私にはこのダイヤが偽物とは信じられない。おどろくばかり美しい輝き。母の心が放射されて来るようだ。

垢染んだ着物の胸に、まっ紅な薔薇の花を徽章（きしょう）のようにくっつけて

ダチョウのようにヒラヒラとお洋服をなびかせて

褌（ふんどし）ひとつの二人の姿は、老いさらばえた二匹の鬼が酒盛りをしているようにみえた。

風祭警部は彼特有のセンスを存分に発揮した白いスーツ姿。警察官だからいいようなものの、もしもヤクザ社会なら、これは若頭のファッションだ。

体型はドラム缶に似ている。胴体に巻かれたベルトがなければ、どこがウェストなのか判別できない。

首に巻いた長すぎるマフラーの端を自分の足で踏みつけてしまい、「ぐえ」と窒息寸前のカエルのような呻き声。

清潔で身だしなみは良いが、おそらく服装なんぞに興味がないことを世界に示すためだろう、常に似たような服しか着ない。ツイードのジャケットに、白のオックスフォード綿のシャツか淡いグレーのポロシャツ、ネクタイはなし、グレーのズボン、スエードの靴、それがユニフォームのようなものだ。色と生地と柄の大きさがそれぞれわずかに異なるツイードの三つボタンジャケットが半ダースばかり、丁寧にブラシをかけられ、自宅のクローゼットに吊されている光景が目に浮かぶ。見分けをつけるために番号だって振られているかもしれない。

タイトなミニスカートだったが、それでも時折下から吹き込む強い風にあおられてヨットの帆のようにふくらみ、身体が持ち上げられて不安定になった。

そのようなそぐなわさによって、彼女は自分なりの世界観を表現している

これからやってくるであろう厳しい寒さに備えるように、カーディガンの襟をしっかりとあわせ、

サラダボウルをふたつ並べたみたいな（大きな）ブラ

まるでできたてのほかほかみたいに見えた

教室の黒板のように広い

彼の着たグレーのスーツには無数の細かいしわがよっていた。それは氷河に浸食された大地の光景を思わせた。

ネクタイの結び目は、まるでそこに存在しなくてはならないことの不快さに身をよじったみたいに歪んでいた。

ネクタイの柄は、腕の悪い画学生が、素麺（そうめん）がのびてもつれたところを心象的に描写したものかもしれない。

ただ単に着こなしがひどいだけではない。そこには服飾という概念そのものを意図的に冒瀆（ぼうとく）しているような印象さえうかがえた。

洒落たカットの亜麻のジャケットは、風のない昼下がりに天国から降ってきた美しい織物のように見えた。

鎧をまとうように、隙のないビジネス・スーツに身を包んだ男

彼女たちの身につけた小ぶりではあるけれど高価なアクセサリーは、血を求める吸血鳥よろしく、反射のための微かな光を希求している。

いつ作られたのかは見当もつかないが、いずれにせよそれが作られたときから既に流行遅れだったのではないかとおぼしきウールのスーツには、防虫剤の匂いが微かに漂っていた。色はピンクだが、どこかで間違った色を混ぜ込まれたような、不思議なピンクだった。おそらくは品の良い落ち着いた色調が求められていたのだろうが、意図が果たせぬまま、そのピンクは気後れと韜晦（とうかい）とあきらめの中に重く沈み込んでいた。おかげで、襟元からのぞいている真新しい白いブラウスは、まるで通夜に紛れ込んだ不謹慎な客のように見えた。

ニットの帽子は大きな頭の上で、キノコの傘のように広がっている。

微妙にサイズがあっていない。まるで限られた在庫品の中から、急いで間に合わせに選ばれたみたいに。

ペルシャ猫の女王様みたいな毛皮のコート

マリー・アントワネットのごとく着飾る

カンヌ映画祭の女優みたいにドレスで着飾る

花のように着飾る

身体には必要以上にきついブラとガードルが食い込み、その他の場所には押し出された贅肉がこれまた必要以上に盛り上がって、ほとんどタコ糸で縛られたボンレスハム状態@略@アレに似てたわよ。ミシュランのタイヤ男。

ボロ雑巾巻いてるようにしか見えないエスニックファッション

鼻くそみたいなプチジュエリー

新聞の集金みたいなセカンドバック

文豪のような浴衣姿の男性

西部劇から引っ張り出してきたかのようなテンガロンハット

シナ襟の黒いコートを着けていたから、こうもりのように見え

箍（たが）のようにきっちり締めつけたエナメルの黒いバンド

ふとんが死んだ蛇のように、よじれたかたちでのべられてあった。

紅い鼻緒の立った籐表の女下駄が、日ぐれどきの玄関のうす明りに、ほんのりと口紅のように浮んでいる

頭から耳まですっぽりとかくれてしまう兜のようなシャッポをかぶって

人形のような花嫁ぶり

礼服とは、野獣を縛る縄、危険動物をおとなしくさせるための手かせ、足かせであるように見えてくる。

制服の垣（人名）は、有刺鉄線のように、ひきしめられ、とげとげしくなった。

兵児帯（へこおび）の結び目のよう

白い画用紙を切り抜いたような麻のスーツ

わかめのような帯

涼しげな夏着にきかえた姉の美和子が、庭の芝生を横ぎって、白い帆のように駈けて来た。

蜂の腹のようなだんだらの襯衣（しゃつ）

皮の大黒頭巾のような大きなハンドバッグ

向日葵のような大仰な帽子

太い棍棒のようなステッキをついて

羽衣のような衣装

竹骨に張った凧紙のようにしゃんと上衣を肩に張りつけ

赤や青や黄のドレスの裾が蝶々のように翻って

帯の解かれるちょうど蛇の威嚇のような鋭い音と、やわらかな着物の崩れ落ちる音が近くでした。

腕時計が、疣（いぼ）のように小さく見える魁偉な手首

雑巾のようにつぎの当ったあの三装略衣（さんぞうりゃくい）

キャンディーの包装紙のような服を着た女の子

土耳古（トルコ）の大官のようにぐるぐる巻きにした。

巨大な青虫のような、何でもかでも無造作につめこんだ合切袋

何度も水を潜って垢の噴き出たようなネルの単衣

白木綿の肌襯衣（はだシャツ）をぴっちり肌につけ、だぶだぶの膝切りズボンを穿いて、手拭で頭を結んでいる娘たちは海鷗（うみがもめ）の並んでいるようである。

薄い霞（かすみ）のような衣服

なんどもあらっていろがはげ、ガーゼのようにやわらかくなったゆかたのねまき

昆虫の皮膚のように彼女の胴を、キッチリと細くしめつけているコルセット

白っぽい綿くずが埃（ほこり）のようにつもっている

脱ぎすてられたそれらのものは、誉れの墓地のような印象を与えた。

糸のように細い金の首輪

華美を極めた色彩はかえって盛りの絶頂に達して今はただ散るのを待つ花に対するようなはかない気をさせた。

押し出してしまった後の絵の具チューブかなんぞのように、ピッタリ一重にくっついた

襤褸（ぼろ）っ屑の塊（かたま）り見たいな少女

新聞を並べた台の傍に、古ぼけた鳥打帽（とりうちぼう、ハンチング帽のこと）を被った爺さんが背中を丸めて坐っているのを見ると、何となく昔の倫敦（ロンドン）がぽつんとそこに残っているような気がする。

ドラ焼を叩きつけたような帽子

風が強いので疲れたネクタイが眼の前を鰻のような皺の寄りかたで泳いでいた

里い山高帽、チョビ髭－まるでチャップリンが出世をしたような男である。

洒落た壁紙のような花もようのワンピース

草履のようにすりへった下駄をひきずっている

蚊帳（かや）のように粗い法衣（ころも）

袖を通していない白い上着が肩のうえで翼のようにひらひらしながら

貂（てん）の毛皮を、まるで愛犬の背でも撫でるようになでまわし

紺色に細い白線がとびとびに飛んでいて、それを雨のようだといって彼女は「雨ふりの着物」などと手紙のなかで書いていた。

背中に手をまわすと、ランドセルはロボットのような感触で

釣鐘のような長い合羽（かっぱ）

白い上衣に汗と埃が木目のように手のこんだ縞をつけていた。

羽衣のような、透けた水色のネグリジェ

まるでデパートの飾窓（ショーウインドー）から連れてきたような、豪奢な盛夏の粧いの夫人や、令嬢の姿も見られた。

若布（わかめ）のようにさけたパンツをはき

女たちはたいてい、裾が地面とすれすれの、うしろが長く割れたコートを着てゐて、それは足の動きにつれて蝙蝠の翼のやうにひるがえる。

相撲取りの化粧まわし見たような前掛け

夜具をかついだような大きい着物を着て

衣紋竹（えもんだけ）を背負ってるように肩の張ったスプリングコート

しめなわのような浜縮緬の兵古帯（へこおび）をした男

古いマントを蝙蝠（こうもり）のように動かした。

その胸には金いろの輪つなぎの重々しいネックレスが揺れており、それがあたかも、神輿（みこし）のように威のある胸の七五三縄（しめなわ）を思わせた。

焦茶のレエスの手袋が、枯れた杉の葉を束ねたように丸めてある。

ところ剥げのしたニッケルの大きい金具のついた袋のようなカバン

黒い折り鞄（かばん）は、仔豚ほどにいつもふくれ上っている。

破けた女の靴足袋（くつたび）が腐った蛇の死骸みたようにだらりと横たわっている

薬指には婚約指輪が、バスの窓からの陽を受けて、溶けかかった雪のように輝いています。

バスの車掌のような黒い革の鞄

薄緑色の鱗のようなコンタクトレンズを外してハンカチに包みテーブルの上におく

料理長みたいな細長い帽子