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におい・香りの比喩を使った文章の一覧(53件)
あたり一面に夜気で凍りついた木のにおいが立ち込めていた
阿部昭 / 阿部昭集〈第8巻〉(みぞれふる空) amazon
そのときの気分しだいで、立ち停まって改めて吸い込んでみたくなるような芳香であったり、我知らず足を速めて立ち去ろうとさせる寂しい匂いの塊りであったりしたが、いまの邦彦にはどちらでもない、霧散も発揮も沈黙もせず、ただひたすらその一線にゆらめているぶ厚い匂いの扉に思えるのだ。
宮本輝 / 道頓堀川 amazon
薄荷が混じっているのではないかと思われるような空気を吸うと、からだがすうっと洗われるような気さえする
林真理子 / ウフフのお話 amazon
何かが腐るときの匂いに似ていた。それも魚とか肉とかが腐るときのような猥雑な匂いでなくて、もっと重量感のある、譬えていうなら温度の高い匂いであった。(中略)もし金属が腐敗したらこんな匂いがするのではないかと英明は思った。
鷺沢萠 / 朽ちる町「帰れぬ人びと」に収録 amazon
臭気に、人を気絶させるだけの悪霊が踊る
有吉 佐和子 / 三婆 amazon
一つのにおいがアメーバみたいにどろっと広がって、別のにおいがそれを包み込んで膨張して
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
犬のように男の匂いを嗅ぎ分ける
石川 達三 / 独りきりの世界 amazon
花びらの薫りの中に、自分の首がすっかり埋まってしまったような夢見心地
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
淡い甘さの澱粉質の匂いに、松脂(まつやに)と蘭花を混ぜたような熱帯的な芳香
岡本 かの子 / 過去世 amazon
香りが靄(もや)のように揺らめきながら立ち上る
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
古い忍従と知性の結晶が徐々に崩壊していくときの嘆息のような香り
高橋 和巳 / 捨子物語 amazon
花びらの薫りの中に、自分の首がすっかり埋まってしまったような夢心地
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
飼葉の枯れ草みたいな甘いにおい
安岡 章太郎 / 悪い仲間 amazon
福寿草があちこちに黄色い毬(まり)のように群がって咲く
原田 康子 / 挽歌 amazon
熟れた果実の重々しい香気が、噴煙のように沸き起こる
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
臭いがして来て、杏子の顔に網のようにそれがかかった。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
熟れた果実の重々しい香気が……噴煙のように湧き起る。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
看護婦達に、彼は山野の清冽な幻想を振り撒いてやるために、そっと百合の花束を匂い袋のように沈めて
横光 利一 / 花園の思想 amazon
掃き溜めをあさる痩せ犬のように、鼻さきが鋭敏になって
岩野 泡鳴 / 耽溺 amazon
その匂いをすいこんでいると自分が空気中に口をだしてぱくぱくやっている金魚のような気がした。
野間 宏 / 真空地帯 amazon
白い百合の花が三本入った花瓶が置かれていた。百合は大きく、瞑想に耽る異国の小さな動物のようにもったりしていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
花瓶にはダリアに似た花がいけられていた。機転のきかない中年女性を連想させるいかにも鈍重な花だった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
嗅ぎなれた薬品の臭いは、履きなれた靴のようだった。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
煙草の匂いが、まだ微かに、香のように、立ちこめているような気がした。
福永 武彦 / 草の花 amazon
家そのものが一つの押入れのようで、戸を開けて入って来たとたん、黴臭い匂いがむっと立ちこめている。
上林 暁 / 聖ヨハネ病院にて amazon
匂いが細かな霧のように辺りを漂っている
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
プレッツェルは香ばしいというより、焦げくさい煙草の煙の味がする。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
その他の感覚を表す比喩表現
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