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歯・舌の比喩を使った文章の一覧(30件)
歯の欠けた男が、空洞のような口をあける
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
この犬の大きなあたたかい雑巾のような舌
倉橋 由美子 / ヴァージニア amazon
数日前に大波に洗われた浜辺の杭のように、その歯はいろんな角度に曲がり、いろんな方向を模索し、いろんな種類の汚れ方をしていた。今さらそれを矯正することは不可能だろう。しかし少なくとも、誰かが彼に正しい歯の磨き方を教えるべきなのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
自分の舌を眺めるのは久しぶりだった。そこには苔のようなものが厚く生えていた。本物の苔と同じようにそれは淡い緑色を帯びていた。彼は明かりの下でその苔を詳しく点検した。気味の悪い代物だ。そしてそれは舌全面にしっかりと固着し、もうどうやっても落とせそうになかった。このままいけば俺はそのうち苔人間になってしまうかもしれない、と牛河は思った。舌から始まって身体中のあちこちの皮膚に緑色の苔が生えてくるのだ。沼地でこそこそ暮らす亀の甲羅みたいに。そんなことを想像しただけで気持ちが暗くなる。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
心もちあいた唇の隙にも、糯米(もちごめ)のように細かい歯が、かすかに白々と覗いていた。
芥川龍之介 / 南京の基督 amazon
ふしぎな生き物のようにうごいた真赤な舌
北 杜夫 / 狂詩「北杜夫全集 第1巻 牧神の午後」に収録 amazon
義歯をはずされた口はくろぐろとホラ穴のようにひらかれたままだ。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
真珠のような美しい歯
嵯峨の屋お室 / 初恋
なにやらさけんだその口に、まっしろな硬い歯ならびが礦石(こうせき)のように光った。
石川 淳 / 黄金伝説 amazon
ギシギシという音がして、@略@どこか床が腐っているのかと思ったら、それは泰山の歯ぎしりの音なのであった。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
ビーバーのような前歯
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
軟らかい唇の内側に、粒のそろった種子のように歯が一列並び
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
前歯がないから折角の笑いも、障子の破れを吹き抜ける風みたいに張りがない
梅崎春生 / 紫陽花 amazon
その他の人物を表す比喩表現
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