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胸で感じる心の乱れの表現・描写・類語
七尾は、自分の視界が狭くなるのが分かった。焦りのため、鼓動が早鐘を打ちはじめる。息が上がり、えもいわれぬ不安で胸が締め付けられる。頭を振った。どうする、どうする、と頭の中に囁き声が充満する。思考が、氾濫した水で押し流される。渦を巻き、思い浮かべた言葉や感情を、洗濯でもするかのようにごちゃまぜにする。七尾はその、焦燥感の洪水に身を任せた。激流が頭を搔き回す。もちろんほんのわずかな時間に過ぎず、たとえば、まばたきを数回するほどの間だったが、その奔流が止んだ途端、気持ちが切り替わった。頭の中の濁りが消え、思考や逡巡もなく、体が動く。先ほどとは打って変わり、視界が広くなる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
動揺と呼べるほどの波立つ思いが、悠木の胸に広がっていた。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
ジッとしているのがたまらなかった。胸が焼けるように熱く、今にも大声を張り上げてしまいそうだった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
この時鈴木君の胸のうちにちょっとの間顔色にも出ぬほどの風波が起った。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
心を集注する熱が、何だか胸の辺で欠乏している。
宮本百合子 / 伸子
胸の焼けるような焦りを感じる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
わたしの胸は相変わらず気持ち悪くて混乱していたので、説明の中身を一直線に理解することができなかった。いろいろな言葉が仕付け糸のように絡まっていた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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