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静けさ・静寂の表現・描写・類語
厚い石塀の連なりは、夕暮れの静けさを一層引き立てている
季良枝 / 由熙 amazon
ボールの弾む音が、不規則なときを刻むほか、あたりは溶け入るようにしずかだった・・・。
石坂洋次郎 / 青い山脈 amazon
静寂が泉のように胸の中に溢れて来る
福永 武彦 / 草の花 amazon
髪の毛が落ちる音さえ聞こえそうなほどシンとする
内館 牧子 / あしたがあるから amazon
逃げ場のない濃密な静寂
竹西 寛子 / ひとつとや amazon
鼓膜が変になるような静けさ
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
静寂と寒気が身をつつみ、時間も空気も凝結したよう
加賀 乙彦 / フランドルの冬 amazon
静かというにはおそろしすぎる底なしの無音の世界
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
声だけが空にふわふわ漂ったような静寂
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
真空地帯みたいに静かな路地
田辺 聖子 / 休暇は終った amazon
たそがれのような静けさに満ちる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
生気に満ちた音がすっかり掃き清められたようになっていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
空気の音がジーンと地虫のように聞こえる静寂
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
草の芽の伸びる音さえ聞き取れそうにあたりは静か
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
妙に濃く煮つまった静けさ
日野 啓三 / 抱擁 amazon
ロビーが一瞬、冷蔵庫と化して、そこにいる人たちを沈黙させる
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
シーンと耳が沁(し)む、耳が痛むような静寂
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
地面の底に沈んでいくようにしんと静かになる
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
しんしんと静寂の中に引っ張り込まれるような無人の気配
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
総ての光彩を消したような閑寂な風景
外村 繁 / 筏 amazon
線を切られてしまった電話機のような完璧な沈黙
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
柚子の樹に包まれた家々は、ひっそりと静まりかえり、どこからも物音ひとつ聞えない。音という音はすべて、無数の柚子の実が吸いとってしまうのだろうか。
瀬戸内 寂聴 / 私の京都 小説の旅 amazon
聴き取れるのは自らの心臓の鼓動だけだった。その鼓動を聞いているうちに、自分が卑劣な盗賊になって、夜中に他人の家に忍び込んでいるみたいな気がしてきた。物陰に隠れ、息を殺して、家人が寝静まるのを待っているのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
雪はまだやまない。音はすべて雪に吸い込まれて、静かさよりもうひとつ上の状態にあるようだった。無をとおりすぎて、耳鳴りのようなかすかな音が聞こえるのだ。
林 真理子 / 京都「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
街中は、ジンと鼻をつまんだように静かになる
林 芙美子 / 放浪記 amazon
物音もなく、ひっ込むような静寂がじめじめと周りの世界に澱んでいた。
石坂洋次郎 / 若い人 amazon
一時の騒ぎが大嵐の跡のように静まり
正宗 白鳥 / 何処へ「何処へ・入江のほとり (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
肉を刻むような響きのない沈黙。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
眠ったように静か
檀一雄 / 花筐
(ひっそりとした町)首をしめられたような町の中
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
静けさがあたりを支配し、あたかも深い水底にでも陥ったような心地
豊島 与志雄 / 理想の女 amazon
ひっそりとして、真空のように閑(しず)か
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
頭の芯に何千もの針が突き刺さってくるような静けさ
高橋 三千綱 / 九月の空 amazon
あたりはめりこむように静かである。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
大風(たいふう)のあとのように、ひっそりとした街
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
始業のベルが鳴った。校舎のまわりの騒ぎは、潮がひくように静まって
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
大気は死んだように静寂だ
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
やかましく鳴っていたラジオのスイッチを急に切りでもしたように、物音や人声がぴたっと止り
山本 周五郎 / 青べか物語 amazon
ふすまを開けて廊下に出た。まるで夢の中で見る日本家屋のようにひっそりしている。
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
あの町ですよ。昼寝しているように、いつも静かな
大仏 次郎 / 帰郷 amazon
耳を塞がれたかと思うほど静か
竹西 寛子 / 天馬の丘「長城の風」に収録 amazon
まるで魔法のつえでひとなでされたようなしずけさ
小出 正吾 / ジンタの音「小出正吾児童文学全集 (3)」に収録 amazon
まるで大地の中にめりこんだように、あたりはひっそりと静まりかえっている。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
墓場は完全な沈黙に被われた
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
下校したあとで、楽器の音も駆け足の音も聞こえてこなかった。校舎の影がのびる校庭には、静けさが淀んだ水のように満ちていた。
小川 洋子 / 夕暮れの給食室と雨のプール「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
時の流れのように秘 やかに流れて行く
夢野久作 / ドグラ・マグラ 青空文庫
その気味の悪い静けさは、死人の呼吸も聞えるかと疑われるくらい
夢野久作 / ドグラ・マグラ 青空文庫
すべてが影のようにヒッソリと静り返っている。
夢野久作 / ドグラ・マグラ 青空文庫
墓の中のようにしんと静まり返って
芥川龍之介 / 蜘蛛の糸 青空文庫
簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、甕 でも瓶子 でも、皆赭 ちゃけた土器 の肌 をのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。
芥川龍之介 / 運 青空文庫
金槌を打つ音が、どこからかかすかに聞こえる。 真昼と夕方のはざまの時間、この町は静かすぎて、ずっと遠くの音までが風に乗って耳に届く。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
一面はしんとして、雨垂れほどの音もしない。
夏目漱石 / 吾輩は猫である 青空文庫
川の音と、山の木々が風にこすれる音しかしない。恐ろしいほど静かだ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
(迎えに車は)僕が近づくと何も言わずにドアを開け、僕がきちんと座席につくのを見届けてからドアを閉めた。そして自分も運転席に乗り込んでドアを閉めた。何から何まで新しいトランプのカードを一枚ずつめくる程度の音しかしなかった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
耳栓をつけて湖の底に座っているような静かさ
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
自分がいったいどこにいるのかわからなくなってしまいそうなほどの百パーセントの沈黙だ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
飼育場はしんと静まりかえっていた。羊たちはあのブルーの目でそれぞれの沈黙の空間をみつめているのだろう。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
おそろしく静かだった。風の音さえ広大な林の中に呑み込まれていた。黒いむっくりとした鳥が時折赤い舌を出してあたりの空気を鋭く裂いたが、鳥がどこかに消えてしまうと、沈黙がやわらかなゼリーのようにそのすきまを埋めた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
あたりはおそろしいほどしんと静まりかえった。まるで生あるものの全てが死に絶えてしまったあとのような沈黙だった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
時計が九時を打った。九つめの鐘がゆっくりと暗闇の中に吸いこまれてしまうと、沈黙がその間隙にもぐりこんだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
身が竦むほど静かなまま
吉田修一「悪人」に収録 amazon
耳の底がかーんとするほど空恐ろしい寂莫
有島武郎 / 或る女(前編) 青空文庫
あたりは深山のようにしーんとしていた。
有島武郎 / 或る女(後編) 青空文庫
金属の何かを、小さい槌ででも叩いているらしい、澄み渡ったカン、カンカンカンという連続的な音で、だんだん伸子は眼を醒した。人の手先が細かに動いて発するその音には濃やかさがあり、その音のために却って朝の閑寂が増すようであった。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
界隈がしずかなので、彼女がたたむ厚い包紙の、ゴワゴワいう音ばかり耳立った。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
自分の声のひびきに、一種の不気味さを感じるほど、そこは静かである。
吉川英治 / 銀河まつり 青空文庫
まるで、真空のような静かさだ。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 青空文庫
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