暗い・闇の表現・描写・類語
闇はテントのように膨れ
三島由紀夫 / 花ざかりの森 amazon
その先に潜む闇は黄泉の国へ導く入り口のように力強い
本間千枝子 / たゆたう時間・避暑地のくらし「父のいる食卓」に収録 amazon
淡い闇が風に吹かれる膜のように都市の上をさまよい流れていた
村上春樹 / 回転木馬のデッド・ヒート(タクシーに乗った男) amazon
縁側だけは、屋内の宵闇から取り残されていた
小川国夫 / 小川国夫作品集〈第2巻〉(里にしあれば) amazon
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
川端康成 / 雪国 amazon
空に立ち込める黒煙のためにほの暗い
井伏鱒二 / 黒い雨 amazon
うるしを塗りつぶしたような闇がたちこめている
池波 正太郎 / 鬼平犯科帳〈1〉 amazon
闇が躰(からだ)の輪郭すれすれまで、ひたひたと押し寄せてくる
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
闇が澱んだ水のように重い
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
油煙を塗った錫箔(すずはく)のように、べっとりと暗さがまといつく
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
まっくらで、深い森の中を歩いているよう
太宰 治 / 貨幣 amazon
真の暗闇の中では自分の存在が純粋に観念的なものに思えてくる。肉体が闇の中に溶解し、実体を持たない僕という観念がエクトプラズムのように空中に浮かびあがってくる。僕は肉体から解放されているが、新しい行き場所を与えられていない。僕はその虚無の宇宙を彷徨っている。悪夢と現実の奇妙な境界線を。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
(暗闇の中で)壁のありそうな方に(手を)伸ばしてみた。闇の奥に僕は固い縦の平面を感じた。壁がそこにあった。壁はつるりとして冷やかだった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
)暗黒の水のような暗闇がぼくをすっぽり包んで逃さない。どこまでもどこまでもその暗闇は続いている。地球の芯まで。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
五秒かもしれないし、一分かもしれない。暗闇の中では時間がはっきり定まらない。揺れ動き、引き伸ばされ、凝縮する。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
(闇が恐い)それはどんな理屈も通じない根源的な恐怖だった。それは僕の遺伝子に刻みこまれ、太古の時代から営々と伝えられた恐怖だった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
目を開くと闇が油みたいに内にたまってくる
古井 由吉 / 水 amazon
鼻を摘まれても判らぬような、黒い闇
獅子 文六 / 胡椒息子「胡椒息子 (1953年) (角川文庫〈第668〉)」に収録 amazon
あたりは墨を落したように暗かった。
檀一雄 / 花筐「花筐・光る道 他四編」に収録 amazon
闇は不思議に平面的だった。実体のない物質を鋭利な刃物でスライスした切口のようにも見える。奇妙な遠近感が闇を支配していた。巨大な夜の鳥がその翼を広げ、僕の目の前にくっきりと立ちはだかる。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
電球は全部切れたままで、学生寮の隅々にまで夜がなだれ込んでいた。掌のべとべとも汚れたスリッパも気にせず、夜を押しやりながら寮の中を走った。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
手を伸ばせば指先が黒く染まりそうなほど暗闇が立ちこめている
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
窓ガラスにそっと額を押しつけて外を眺めたが、ただ黒く塗りつぶされているだけで、景色はなにも見えなかった。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
外の景色はわからない。一面の闇だ。背後になにかを隠しているのではなく、どこまでいっても涯のないような、深い闇。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
目を閉じているような暗闇
吉田修一「悪人」に収録 amazon
有島武郎 / 或る女(前編) 青空文庫
(薄暗い場所で)娘の顔は急に痩 せて、その上、歪 んで見えた。ウェーヴを弾 ね除 けた額は、円くぽこんと盛上って、それから下は、大きな鼻を除いて、中窪 みに見えた。顎 が張り過ぎるように目立った。
岡本かの子 / 河明り 青空文庫
鼻を抓 まれても分らないような暗闇
吉川英治 / 八寒道中 青空文庫
梶井基次郎 / 闇の絵巻 青空文庫
(闇は)街道を呑 み込んで
梶井基次郎 / 闇の絵巻 青空文庫
道も灯もない大きな暗闇
梶井基次郎 / 過古 青空文庫
闇の中のとかげ(人名)が、その白い歯が、白いシャツが、夢の中のように映えて見えた。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
もう海岸は暗くて、ほんの少し離れると彼の姿は闇に吸いこまれてしまう。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
家々の明かりだけが照らす暗い道
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
真暗な 夜 で、見えるものは何にもなかった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
顔の白ささえうかがうことのできない 漆黒 の中
阿刀田 高 / 透明魚「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
ひきずり込まれていくような暗黒の中で、
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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