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キス・口づけの表現・描写・類語
やさしくて穏やかで、そして何処に行くあてもない口づけだった。《…略…》あたたかくて親密な気分になっていて、そのことを何かのかたちで残しておきたいと無意識に考えていたのだろう。我々の口づけはそういうタイプの口づけだった。
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
矢継ぎ早に接吻の雨を降らせる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
子猫のように体をくねらせてキスを投げる
岡田 なおこ / 薫ing(イング) amazon
蓮の花が開くときのにするのに似た大きな接吻の音
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
熱い果実のような唇にディープなキスをする
五木 寛之 / ワルシャワの燕たち amazon
唇と唇が溶接したようにしっかりとくっつく
井上 ひさし / モッキンポット師ふたたび amazon
つがいの小鳥たちのように神経質に短くキスをしたりする。
村上 春樹 / 1q84「1Q84 BOOK 3」に収録 amazon
接吻の味が十一氏の心に清涼な香水をそそいでくれるようだった。
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
水仙のような、仄々とした接吻の味
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
過ぎていく時を防ぐように重ねられた唇は離れなかった。
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
僕はもう一度唇を重ねに行った。今度は自然と舌を絡ませていた。彼女の歯並びを確認し、舌の動きを追っているうちに、もう何がなんだかわからなくなってくる。ただ気持ち良いという感覚だけが今の僕だった。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
絃の舌が柔らかく絡みついてきて、唇から身体全体に安心が広がる。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
私と隆大は唇を重ねて、その瞬間に言葉を交わすことでは決して伝わらないものが、なにか光って消えた。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
伊吹がおずおずと、あかんべをするみたいに舌の先を出した。私は自分も舌を伸ばして、アイスキャンディを舐めるように、伊吹の真っ赤な舌の先を舌でつついた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
(自分の舌で触れた相手の舌の感触)溶けたガムのようだったあの舌
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
互いに食べ合うみたいに、口を動かしている。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
佃は半ば夢中であった伸子に接吻した。伸子はそれを彼の情熱の告白と感じて応えた。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
若い生ものの魅力の精をば吸い取った。
岡本かの子 / 渾沌未分 青空文庫
(強引なキス)素っ気なく返した瞬間、中野に顎を掴まれ、顔の向きを変えさせられた。彼の顔が視界を埋めた。 「やめてよっ!」 顔を逸らすと、湿った感触が唇から頬へと走った。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
水島は十和子の頭を両手で抱え込み、壜のなかの蜂蜜を舐め取ろうとする熊のように、口腔の内側を尖った舌で入念に探る。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
水島の舌はとても長い。この舌こそが特別だ。十和子が自分自身の舌では決して触れられないような場所に届き、二つの口から大量の唾液が溢れ出る。舌の付け根をえぐられるとアーという発声がどうしてもエーになってしまう。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
汗ばんだ肩に軽く唇をつける。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
口腔と口腔をつないでつくる小空間の内部で、ふたつの舌が 猛り狂ったように動く。舌が肉片であること、硬くなったり柔らかくなったり尖ったり捻じれたり震えたりする熱く濡れた肉片であることを、異様なほど意識する。水島が何か言うが、食べ物を頬張りながらしゃべっているようで聞き取れない。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
階段の真下まで行った時、野呂が足を止め、ゆっくりとわたしのほうに顔を傾けると、わたしの頰に手をあてがってきた。ああ、ここでキスをされるのだな、と思った。 酔いが感覚を鈍麻させていたために、わたしがそう思ったのと、彼が唇を合わせてきたのはほぼ同時だった。眠ろうとして目を閉じる時のように、わたしはそっと目を閉じた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
それは多分、演技ではない。実在の彼の肉体がわたしに向かってこようとする時のキスであるに違いない
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
わたしの顎を持ち上げると、わたしの唇にキスをした。なめらかな熱いキスだった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ちょっと見つめ合ってから、どちらともなく近づいて、私たちは一回だけ軽いキスをした。ほんの短い間だった。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
彼の粘膜が、わたしの中で丁寧に体温を吸い取ってゆく。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
道で交すにはあまりにも丁寧な口づけが、唾液の糸を甘やかに交錯させ、欲望という布地を織り上げる。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
スタンは顔を斜めに傾けた。そして、ゆっくりとサユリの顔に自分のそれを近づけた。彼女の瞼は彼の唇の移動するのと同じ速さで閉じられた。そうして、彼は自分の存在をかけて、六本木の雑踏の中、甘やかな口づけを恋する女に贈った。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
サユリの唇が離れて行く気配で目を開けると、ほんの数インチほどの位置で、彼女は微笑んでいた。その皮膚は生き生きと呼吸していてスタンの瞳を曇らせた。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
彼女は目を開けたまま唇を寄せ、彼もそれに目を開けたまま答えた。お互いがお互いの睫毛の羽ばたきを味わった後、彼女の方から唇を離した。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
唇を求めて体を寄せて来た。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
言葉が終わると同時に、まち子は邦彦に近づいてきた。ただ単に、まち子は顔をあげただけかも知れなかったが、邦彦はそこに顔を埋めていった。それはすぐに離れて行ったが、初めて嗅いだ口紅の 匂いが、いつまでも邦彦の 唇 に残っていた。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
邦彦はそれ(女の唇)を自分の前歯で軽く 噛んだ。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
(二つの影)二つの頭はひとつになり、たがいをむさぼり合う音が聴こえてきた。
浅田次郎 / 悪魔「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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