日本語表現インフォ：ピンとくる言葉や描写が見つかる辞典

夜景・夜の眺めの表現・描写・類語

ほんの少しだけ欠けた白い月が目の前に浮かんでいた。右手には新宿の街の光が、左手には池袋の街の光が見えた。車のヘッドライトが鮮やかな川の流れとなって、街から街へと流れていた。様々な音がまじりあったやわらかなうなりが、まるで雲みたいぼおっと街の上に浮かんでいた。

村上春樹 / ノルウェイの森　amazon関連カテ車のヘッドライト

眼下に広がる街の夜景を見下ろしていた。街はまるで平板な鋳型に流し込まれたどろどろした光のように見える。あるいは巨大な蛾が金粉を撒きちらした後のようにも見える。

村上春樹 / 1973年のピンボール　amazon関連カテ見下ろした風景

家々が夜の深い闇に沈んでいる

ライトアップされた庁舎は雨に濡れて妖しく光っている

関連カテ山

灯入り模型都市のような遠景

稲垣足穂 / 弥勒　amazon

最上階の窓からは、広い場所に薄く撒かれたような光の粒が見える。

都心のきらびやかな夜景

明るく点（とも）して泊る艦隊の灯が水平線に横たわる星河のように望まれた。

石原慎太郎 / 行為と死 (1967年)　amazon関連カテ船・ボート

崖下の町の灯がいさり火のようにきらきら光っていた

林芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録　amazon

全面光るガラス片に覆われていて、ときどきある黒っぽい箇所にしか緑がない東京の夜景

綿矢りさ / 勝手にふるえてろ　amazon関連カテ都会

町の灯（あかり）は、暗（やみ）の中をまるで海の底（そこ）のお宮（みや）のけしきのようにともり

宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜　青空文庫関連カテ街灯・外のあかり

夜景──もう、雨は上がって湿気を含んだ透明な大気にきらきら輝いて、それはみごとに映っていた。

吉本ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録　amazon関連カテ雨上がり・晴れ間がのぞく

店が閉り、家並みが左右で急に低くなったように思われる深夜の電車道

宮本百合子 / 伸子　青空文庫関連カテ町並み・集落

さっきからこまかい虫の集りのように蠢（うごめ）いていた、新嘉坡（シンガポール）の町の灯がだんだん生き生きと煌（きら）めき出した。

岡本かの子 / 河明り　青空文庫関連カテ街灯・外のあかり

電飾を浴びて水晶の花さしのように光っている噴水

岡本かの子 / 巴里祭　青空文庫関連カテ噴水・間欠泉

闇の遠くの正面に、ほの青く照り出された大きな官庁の建物がある。その建物の明るみから前へ逆に照り返されて威厳を帯びた銅像が、シルエットになって見える。

岡本かの子 / 母子叙情　青空文庫関連カテシルエット・影絵

雨上りの夜の天地は濃（こ）い墨色（すみいろ）の中にたっぷり水気を溶（とか）して、艶（つや）っぽい涼味（りょうみ）が潤沢（じゅんたく）だった。

岡本かの子 / 渾沌未分　青空文庫関連カテ夜空雨上がり・晴れ間がのぞく夜の雨

池の縁を取りまいて若い並木の列がある。町並の家総体が一つの発光体となった今は、それから射出する夜の灯で、これ等の並木は影くろぐろと生ける人の列のようにも見える。並木に浸み剰（あま）った灯の光は池の水にも明るく届いて

岡本かの子 / 雛妓　青空文庫関連カテ街灯・外のあかり並木道シルエット・影絵

電燈が輝いていた。雨に光沢を得た樹の葉がその灯の下で数知れない魚鱗（ぎょりん）のような光を放っていた。

梶井基次郎 / 城のある町にて　青空文庫関連カテ青葉・葉っぱ雨上がり・晴れ間がのぞく雨の景色、視界

夜の靄が遠くはぼかしていた。円山、それから東山（ひがしやま）。天の川がそのあたりから流れていた。

梶井基次郎 / ある心の風景　青空文庫関連カテ霧・かすみ・もや

真っ暗な参道のくねくねした坂道を、２人で歩いた。建物はみな古く、木の匂いがした。風が強く、見上げると細い道はばの建物の透き間に星がくっきりとまたたいていた。

吉本ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録　amazon関連カテ夜町並み・集落

大通りから１本入ると、めまいのように夜が暗かった。

吉本ばなな「N・P (角川文庫)」に収録　amazon関連カテ暗い・闇路地・小道

（使われていないマンションの屋上）白いコンクリの床、うち捨てられた物干し台。夜景の粒々だけが息づいている死の空間。

吉本ばなな「N・P (角川文庫)」に収録　amazon関連カテ屋根・かわら・屋上

夜は油のように重く、静かに町並みを満たしていた。あらゆる路地、街角が意味を持って暗く黙っているようだった。

吉本ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録　amazon関連カテ夜

夜空はただそこにあって、街あかりを映してぼんやり光っていた。

吉本ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録　amazon

サイパンの夜の明かりはダイヤモンドみたいだった。建物が少なくて、明かりが大きい。空気が澄んでいて、海の水分が満ちている。

吉本ばなな「アムリタ（上） (新潮文庫)」に収録　amazon

夜の明かりが全て、光る真珠やルビーのように鮮やかに夜景に浮き上がって、澄んだ外気に映って見えた。

吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた／サンクチュアリ」に収録　amazon関連カテネオン・イルミネーション

街の光が近づいてきた。長い坂の先に小さな光の粒が重なり合って弾けていた。

小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録　amazon

観覧車は老いた動物のようにかたかたと身体を揺すりながら、空に上り始める。まわりにひしめき合っていた雑多な見せ物小屋が、眼下に小さくなっていく。それにつれて町の灯火が夜の闇の中に浮かび上がっていく。

村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録　amazon関連カテ見下ろした風景観覧車

ヘッドライトの流れ、逆行する車の赤いテールランプの流れ、その脇をまばらに歩く人々の点の動き。

山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録　amazon関連カテ見下ろした風景

次第に暗くなって、窓からは、坂の下の、明りのともった箱のような、貸間のならんだ夜の風景がながめられた。

野間宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録　amazon

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