カツレツ・トンカツの味、おいしさを伝える表現・描写

キャベツがとんかつの味を一段と引き立てる

カリッとした厚めの衣の表面を噛むと続いてフワッとした肉の柔らかさとよい香りが口の中に広がる

キツネ色に揚がったやつにナイフを入れると、バリッと衣がはがれる。これがたまらない。

カツレツの白い脂とソースが溶け合い、まるで煮こごりのようになっている

揚げ立てのカリカリしたカツレツが真っ白い皿の上へ。その味も、添えてあるキャベツの若草のように柔らかく香り高い舌触りも、ウスターソースの匂いも素晴らしい。

溶けると思うほど柔らかくて、トンカツソースのきつい味もいい

サクサクとした衣の中に美味しさが詰まったポークカツ

千切りキャベツを添えてこそ豚カツ

ヨーロッパのパン粉は細かい粒でサラサラしているので、厚い肉をトンカツにすると、肉に火が通る前に焦げてしまう。日本のパン粉は適度に厚みがありサクサクしている。独特の歯触りと食感、風味を持った、ボリュームたっぷりのトンカツに仕上がるのはこのためだ。

食べ終わった後のおいしさ、風味とコクの余韻は、大きな満足感を残す。「ご飯と味噌汁つきでまた食べたい！」と思わせる、そんな魅力がトンカツにはある。

トンカツは洋食でありながら、ナイフとフォークを使わずにすむよう、包丁で切ってあるから、和食として堂々と箸で食べられる

或る人は、帝国ホテルの西洋料理よりもむしろ露店の立ち喰いにトンカツの噯（おくび）をかぎたいといった。露店で食う豚の肉の油揚げは、既に西洋趣味を脱却して、しかも従来の天麩羅と抵触する事なく、更に別種の新しきものになり得ているからだ。カステラや鴨南蛮が長崎を経て内地に進み入り、遂に渾然たる日本的のものになったと同一の実例であろう。

フライ一族で一番偉いのは、これはもうトンカツで、異論の出る余地はない。

（ハムカツ）カツの正統を肉とするならば、純血という意味では明らかにハムカツはメンチに負ける。 　メンチは、挽き肉ではあるが、ハムに比べれば肉としての純血度は高い。

豚肉を揚げただけのものが、これほどに、店によってちがうものか……と、おもうほどにちがう。

仁王さまの掌（て）のような、いかにも無骨なカツレツ。

〔美登広〕のポークカツレツは、ロースの薄切りを何枚か重ね、丹念に庖丁で叩く。だから子供の口にも年寄りの口にもやわらかかった。

都会のカツレツのように体裁をととのえるわけでもなく、ただ豚肉をぶった切って揚げたにすぎないという、山の湯の宿の武骨なカツレツ。

トンカツのパン粉がザラザラと立っている。