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抱擁・抱き合う・抱きしめるの表現・描写・類語
正面から抱きついて脂肪の溜まった腹部をすり寄せながら、耳もとで露骨な言葉をささやく女
吉行淳之介 / 原色の街 amazon
会社員風の男は、あんまり一生懸命に女を抱いたため、女の裸の脇腹の肉に、男の指頭が食い込んでいる。
内田百閒 / 解夏宵行「無紘琴」に収録 amazon
白い蛇のようにぴったりからまりあっている二つの体
胡桃沢 耕史 / ごきぶり商事痛快譚 (1) amazon
二人の身体の間には、空気の分子すら入れたくない気持ちだった。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
ふいに引っ張られる。引き寄せられて、睦月の胸に頰があたった。腕が背中に回り、強く抱きしめてくる。白い綿シャツを通してあたしの頰に睦月の体温と鼓動が伝わる。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
私は絃のあぐらをかいた脚のなかにうしろむきで腰を下ろして、絃が手と足で作り出す空間にしっかりと収まる。絃の腕がうしろからまわってきて肩を抱くと、抱きしめられているというより、暖かい木枠のなかに収まった、という感じがする。ここが私の居場所。もし絃の心が冷めきっていたとしても、彼の身体はいつも温かい。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
彼と抱き合う度、私は言葉でない言葉を知った。親でもない自分でもない他人と近くにいることの不思議を思った。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
倉地の広い胸と太い腕との間に羽 がいに抱きしめられながら
有島武郎 / 或る女(前編) 青空文庫
葉子の膝 の上に巣食うように抱かれて、黙ったまま、澄んだひとみで母の顔を下からのぞくようにしている定子
有島武郎 / 或る女(後編) 青空文庫
腕の中に我を雌雉子 の如く抱きしめた。
横光利一 / 日輪 青空文庫
骨が砕けそうに伸子を擁 き締めた。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
狂気のような力で彼女を抱き締めた。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
娘をわしづかみのように抱いて
岡本かの子 / 巴里祭 青空文庫
(彼女を抱きしめる洋子)いよいよ堪えきれずに嗚咽する彼女を抱き締めた。無力感に耐えているかのように、洋子はやさしかった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
クレアに抱きしめられた。そして、その抱擁の時間が、単なる挨拶にしては、些か長くなりすぎてしまったのだった。 その長引いた分だけ、彼女は安堵し、もうこのまま楽になりたいと感じた。からだの力が抜け落ちてしまったかのようで、自分の足で立っているので精一杯だった。 続けて、リチャードと交わした三カ月半ぶりの抱擁もまた、あとにはもう引き返せない長さとなってしまった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
その体の震えを鎮めようとするように、ソリッチは娘を更に強く抱擁した。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
(後ろから羽交い絞めに抱かれる)彼の腕は、まるでわたしがしがみついている、バーみたいだった。それは、突風が吹いてきても、人生から振り落とされずにいるためのバーに似ていた。 「この腕……」とわたしは彼の腕をさすりながら言った。「ジェットコースターに乗ってる時、身体を支えてくれるバーに似てる。握ってるだけで安心する」
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
博士はルートを抱き締めた。博士の腕の中で、彼の身体はほとんど半分に押し潰されていた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
スタンはサユリを抱き締めた。彼女の 耳朶 は彼の心臓の音にたたかれる。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
ティエンは急いでサユリの許へ駆け寄って抱きしめた。サユリは彼の胸に貼り付かんばかりに寄りかかり溜息をついた。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
私は抱きしめた。 睦子は小さくて柔らかくて、こわれないように力をおさえなければならなかった。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
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