「心」の言葉を含む悲しみの表現・描写・類語

音楽的な心地よさを伴う悲しみ

悲しみが心の痛みのように走り抜けるのを感じる

悲しみが心を侵す

心が悲しみでいっぱいになる

胸も心も何かしらに押し付けられたような悲しみ

人に言いがたい傷心と悲しみ

淡い悲しみを心の上に浮かべる

心から悲しんで泣き叫ぶ

身も心も寒々するほど悲しい

心からつらくて悲しい

心底悲しい

心が悲しくなる

悲しくてやるせない思いが心にのしかかってくる

暗くて悲しい心持ち

悲しく揺れる心

一筋の悲しい心

悲しい心の高揚を感じる

悲しい響きが心に伝わる

心の底を叩くと悲しい音がする

張り詰めた心の糸が切れ、悲しい快さがおそう

しきりに心悲しい

悲しさが心の底からしみじみ湧き出る

悲哀が心を侵す

心が煙たくむせる

心から嘆く

心を揺すられ涙ぐむ

哀れな心に浸る

哀れな心持ち

かわいそうで心の中がすさむ

心せわしい寂しさ

寂しさが心に沁み広がる

さみしさが夕立雲のように心に広がって、泣きたいほどの気持ちに侵される

うす雲のような寂しさが心の一面に広がる

さみしさが心にのしかかる

寂しさで体も心も冷たく凍りつく

寂しく心が青ざめる

癒しがたい寂しさが心を占める

木枯らしのような寂しさが心に押し寄せる

寂しさが風のように心をなでる

心寂しい

心にどっぷり浸っている侘しさ

全身の力が抜けてしまったようなもの寂しい心地

心の愁い

哀愁に心地よく酔う

うつろな心

心がうつろになる

虚しさが心の内側に広がる

心の中が空洞のように寒々とする

心が冷たくしびれて石のようになる

心が水をかけたように冴え返る

氷のように冷え切った心

心が凍る

心が冷却するのを感じる

体中の血液が凍るような心地

心の底から湧きあがる懐かしさ

心が意識のエアーポケットに落ち込むように暗くなる

心が暗くなる

心が暗く沈む

心が次第に暗く沈んでいくのを感じる

心が闇に閉ざされる

闇に包まれたような心

暗然とした心

心がナメクジのように萎縮する

心が滅入りこんでいく

心に闇を抱いて悄然とうなだれる

心が痩せ枯れる

心に軽い失望が起こる

心を締めつけられるような息苦しさを感じる

不安と恐怖と絶望で首まで心臓が飛び上がったように息苦しい

傷心

地面に心臓が落っこちた気分

寂しさというのは、ふと目覚めてしまった夜明けに、窓一面に映るあの青のようなものだ。いつの間にか、気づかないうちに人の心に沁みてくる。

恋人との別れ、という心を傷つける鋭い角が風化するまでは

心は妙にしんと底冷えしたように刺々しく澄み切っている

私は心に気の滅入る虫を飼っているよう

いつもは心を癒してくれる歌声も今日ばかりはまるで効果がない

心の中は曇りのち雨

心の壁に大きな風穴が開く

心が冷えて石のようになる

ぐらつく椅子に座っているように心許ない

切り傷が風に触れるように心が痛い

心が虚ろになり、一日が一月のように長い

怒涛のような悲泣の心が募る

心が憂鬱に乾く

澱のような空しさが心に沈殿している

心に儚い影が住みついたようにモヤモヤして気分が晴れない

希望なき零落の海から希望なき安心の島にと漂着する

（死ぬことばかり考えていた日々）その頃は、ただじっと深く自分の内奥を見つめていれば、心臓はやがて自然に停止してしまいそうに思えたものだ。精神を鋭く集中し、一ゕ所にしっかり焦点を結んでいれば、レンズが陽光を集めて紙を発火させるのと同じように、心臓に致命傷を与えられるに違いないと。彼はそうなることを心から期待していた。しかし彼の意に反して、何ゕ月経っても心臓は停まらなかった。それほど簡単に心臓は停まらないものなのだ。

十七歳の心に巣食う、この何者にもなれないという枯れた悟り

悪夢のような事件に心を引き裂かれる

鳥井の今の心の内は、からからに干からびた砂漠そのものだ、と思った。果てがなく、精神が乾燥し、方向感覚を失っている。《…略…》これからどう歩き出せばいいのか、途方に暮れている。

「死んだ妻のことを考えると、暗い深い穴に落ちていく感覚に襲われます。もしくは、妻は今でも、広大な砂漠に取り残されているのではないか、ってそんな気分になるんです。彼女は暗黒の砂漠の中で、声も出なければ音も聞こえず、何も見えなくて、不安を覚えながら、永遠に漂い続けていて、その孤独を、僕は救ってあげることができない。彼女を見つけることもできず、うっかりすると、彼女のことを忘れていることだってある。暗黒の、広漠な土地に放置された、巨大な心細さと悲しみしかありません」

絶望が、心の中にぎざぎざと鋸（のこぎり）のような歯を立てる。

（日記の）全体が持っている悲しい心が、通って行く雲の影のように彼の胸を閉ざして行った。

園山夫人は、おそらくその時点で、死んでいたのかもしれない。心臓は動いているが、心は閉ざしていた。呼吸はするし、食事も摂るが、笑うことをやめた。

ずっと消えることなく心に掛かっていた鬱屈の霧

同情されるのって、真冬に飲む温かなココアみたいに、ほっとする心地よさがある。言い方にもよるけど、「だいじょうぶ？」と心配されると、気分がほこほこするときもある。

からだの内側で直接心を摑まれたように、私の全身がぎゅっと苦しくなる。

〝かわいそう〟という言葉は嫌われがちだ。私たちの心には、この言葉に該当する感情が確実にあるのに、なかなか使いたがらないし、使われることも嫌う。

泣きたかった。隣の木にいるヨキに笑われたくない一心でこらえる。ぐっと歯を食いしばり

僕は一心に畳を見つめていた。

憐（あわ）れみとも愛ともつかぬ涙ぐましい心持ち

悲しい心もちばかりが、たちまち私の心を凍らせてしまう。

客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はいなかった。外を覗（のぞ）くと、うす暗いプラットフォオムにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯（ただ）、檻（おり）に入れられた小犬が一匹、時々悲しそうに、吠（ほ）え立てていた。これらはその時の私の心もちと、不思議な位似つかわしい景色だった。

遠い昔のような、心もちがする。

葉子の心は急に暗くなった。戸外の天気もその心持ちに合槌（あいづち）を打つように見えた。

足を進めることを、生きてゆくことを心底投げ出したかった。きっと明日が来て、あさってが来て、そのうち来週がやってきてしまうに違いない。それをこれほど面倒だと思ったことはない。きっとその時も自分が悲しい暗い気分の中を生きているだろう、そのことが心からいやだった。

彼が死んだ夜から私の心は別空間に移行してしまい、どうしても戻ってこれない。昔のような視点で、どうしても世界を見ることができない。頭が不安定に浮き沈みして、落ち着かずにぼんやりいつも重苦しい。

なるべくいたずらにひまな時間を作らないように必死で努力した。 それはそれは不毛な努力だ。本当はしたいことなんて、なにひとつありはしなかった。等に会いたかった。しかし、私はどうしてもなにか手や体や心を動かし続けなくてはいけない気がした。そして、この努力を無心に続ければいつかはなにか突破口につながると思いたかった。

（喪失感をまぎらすためにジョギングを始めた私と亡くなった彼女のセーラー服を着て過ごす柊という男）彼のセーラー服は私のジョギングだ。全く同じ役割なのだ。私は彼ほど変わり者でないので、ジョギングで充分だっただけのことだと思う。彼はそのくらいでは全くインパクトに欠けて自分を支えるにはもの足りないのでバリエーションとしてセーラー服を選んだ。どちらもしぼんだ心にはりを持たせる手段にすぎない。気をまぎらわせて時間をかせいでいるのだ。 　私も柊もこの二カ月で、今までしたことのない表情をするようになった。それは失ってしまったものを考えまいと戦う表情だった。ふっと思い出して突然に孤独が押してくる闇の中に立っていると知らず知らずのうちにそういう顔になってしまうのだ。

自分がなんだかとてつもなく巨大なものと戦っているような気がした。そして、もしかしたら自分は負けるかもしれないと生まれて初めて心から思った。《…略…》人が出会ういちばん深い絶望の力に触れてしまったことを感じた。

なつかしさが胸にこみ上げ、その姿形のすべてが心の中にある思い出の像と焦点を合わせる。

（恋人の等を亡くした喪失感に区切りをつける）私は幸せになりたい。長い間、川底をさらい続ける苦労よりも、手にしたひと握りの砂金に心うばわれる。そして、私の愛する人たちがすべて今より幸せになるといいと思う。 　等。 　私はもうここにはいられない。刻々と足を進める。それは止めることのできない時間の流れだから、仕方ない。私は行きます。 　ひとつのキャラバンが終わり、また次がはじまる。また会える人がいる。二度と会えない人もいる。いつの間にか去る人、すれ違うだけの人。私はあいさつを交わしながら、どんどん澄んでゆくような気がします。流れる川を見つめながら、生きねばなりません。 　あの幼い私の面影だけが、いつもあなたのそばにいることを、切に祈る。

心は風のない池か沼の面のようにただどんよりとよどんでいた。

感傷的になった葉子の心は涙に動こうとした。

葉子の心は幌（ほろ）の中に吹きこむ風の寒さと共に冷えて行った。世の中からきれいに離れてしまった孤独な魂がたった一つそこには見いだされるようにも思えた。

懺悔（ざんげ）の門の堅く閉ざされた暗い道がただ一筋、葉子の心の目には行く手に見やられるばかりだった。

自分の心を自分の涙にひたしきって泣いた

太陽が消えてなくなったような寒さと闇（やみ）とが葉子の心におおいかぶさって来た。

彼の顔にいつも変らず現れている一つの表情――何かが足りない、心を風が吹き過ぎる、と云っているような表情――が、彼の全生活を支配するこの異様なこんぐらかりの照り返しであるらしい

隙間風のような寂しさが伸子の心を通った。

がらんと空虚に銷沈（しょうちん）しがちな心

しんしんとして、寂しいもの、惜（お）しまれるもの、痛むものが心臓を掴（つか）み絞るのであった。

私は酒を飲んでいた。しかし心は沈んだまますこしも酔っていなかった。

暗愁が彼の心を翳（かげ）っていった。

（ストーブのついた）部屋の中の暖かさは、私の心と五百里位は離れている。

母がしょんぼりしたかっこうで、私を見るので、私はにゅっと舌を出してみせた。涙がこぼれぬ要心のために、舌を出していると、こめかみと鼻の芯（しん）がじいんと痛くなる。

手おくれになった手術のようで、死を待つばかりの心細さ

〝助かるまい。本人も、助かりたいとは思うまい〟 　身内ばかりだというのに、しかもみな彼女を愛していたのに、その考えは私達がすわっている冷たいビニールのソファーのまわりを離れず、まるで大声でくりかえしているように心に響き、病院の白く 空ろな壁にこだましていた。

ずっと救命を続けているんですが、ちょっとこれ、心臓が動き出す気配がないもんですから……」 　尋恵は重い空気に全身をからめとられて、身じろぎ一つできなくなっていた。

（不仲な姑の死）あんなに大きな存在だったのに。 　魂を込めて、全力でぶつかっていた相手だったのに。 　尋恵は、自分の戦争が唐突に幕を下ろしたことに心から虚脱した。そこに勝者も敗者もいなかったことを噛み締め、ただ寂しいと思った。

「穴が空いたような」心の空白に、今は止め 処 もなく寂しさが染み出している。

ソファに腰を下ろすと、放心したように 項垂れた。

悲痛さは、日々そのかたちが曖昧になって、少しずつ、音もなく崩れていっているように感じられた。時の流れの中に 零れ落ちていって、少なくとも心は軽くなってゆきつつある。そのお陰で、自分が危機から遠ざかりつつある安堵を覚えてはいたが、死の直後の恐ろしい寂しさとはまた違った、ゆっくりと染み入るような寂しさを、時折、からだの深い奥で感じた。

目に映るものはそこにたまたまある現実の風景でしかなくなり、聞こえてくるのは現実の音だけだった。あんなに心の中で豊かに息づいていたはずの世界は、乳色の霧にまかれたように、その輪郭すら見えなくなっていた。

泣きそびれてしまったのだ。ただ、心ががらんとした。

（自殺した友子）そしてわかった。自分が実は友子を恨んでいるということ。あの夜彼女は自分の言いたいことだけ言い、思い残すことなくこの世を去り、智明の心だけがあの夜の中に置き去りにされたこと。

淋しさというのは、いつの間にか、気がつかないうちに人の心にしみてくる。ふと目覚めてしまった夜明けに、窓いちめん映るあの青のようなものだ。そういう日は真昼、いくら晴れても、星がどんなにたくさん出ても、心のどこかにあのしんと澄んだ青が残っている。ずっと二人で暮らした母が急に生活からいなくなって、私はまっ青に染まっていたのだと思う。

（失踪した好きな人が残した手紙を読み返す）ぼくは何度も何度もその文章を読んだ。記憶して暗唱できるくらい綿密に読み返した。そしてそれらを読み返しているあいだだけ、ぼくはすみれとともに時間を過ごし、彼女と心をかさねあわせることができた。それはぼくの心を、ほかのどんなものよりも親密に温めてくれた。茫漠とした夜の荒野を抜けていく汽車の窓から、遠くの農家の小さな明かりが見えるように。それはあっという間に背後の闇に吸い込まれて消えてしまう。でも眼を閉じると、その光の点はしばらくのあいだ網膜の上に淡くとどまっている。

彼は恐ろしく惨めな気持に絶えず追いつめられ、追いつめられ、そして安々とは息もつけない心の状態で来た

謙作 はその冬、初めての児を失い、前年とは 全まる で 異ちが った心持で、この春を過して来た。都踊も八重桜も、去年はそのまま楽しめたが、この春はそれらの奥に何か不思議な淋しさのある事が感ぜられてならなかった。

彼の心臓は悲しみを絞り出しながら、縮んだ。

心の中に苦い水が湧いて来るのを感じた。目には新しい涙が滲む。その涙は、聞きわけのよい薬のようにクラウスの心に染み込み、毒を流した。

ぼくの心は白々とむなしかった。

子供たちの唄は意味はわからなくてもどこか物悲しい節まわしがある。それは唄のせいか、それともそれを聞く心のせいかわからない。

その時の悲しみと恐ろしさは何と表現していいかわかりませんね。心に釘か何かを打ち込まれるみたいな感じでした。

（悲しみの席で食べた寿司）心とはうらはらに、 頬 のとろけるような寿司の 旨 さが悲しかった。

（返ってくるはずのない父を待って）何台ものバスが過ぎた。乗客は次第に減って行った。一台をやりすごすたびに、恭一の心もうつろになって行った。からっぽのバスが来ると、胸もからっぽになった。

鋭い悲しみが私の心を貫いた。